【サイエンスまんが】クラゲもミツバチも徹夜に弱い? 生物の「睡眠」の謎が深すぎる!〈ゆーまん博士の最新科学CatchUP〉

科学の世界は日進月歩。パパママの時代の常識が「過去の学説」となっていることも。最新サイエンスを大人たちがキャッチアップすることで、子どもたちの科学センスも磨かれます。「ゆーまん博士」の漫画で、最新科学をキャッチアップしましょう!

「魚は寝るの?」アリは? クラゲは? 実は知らない生き物の睡眠事情

ゆーまん博士の「説明しよう!」

2017年にアメリカの大学でクラゲが眠ることが判明した※1。夜になるとクラゲの動きが鈍くなり、5秒間ほど完全に止まることが何度も繰り返されたというんだ。

クラゲが寝てる? そう考えた研究者は、24時間クラゲの動きを監視し、クラゲが動きを止めるたびにつついて起こすことを繰り返した。すると翌日、クラゲは昼間でも動きを止めた。徹夜だったので、昼間にうたたねしてしまったみたいなんだ。

それまで睡眠は脳のある生物に特有の現象で、脳は眠ることで記憶を整理すると考えられてきた。しかしクラゲには人間でいう末梢神経しかなく、脳に相当するものはないのだ。では何のために眠るんだろう?

クラゲが眠ることで、生き物が眠る理由は謎になってしまった

クラゲの他にもミミズやカタツムリも眠ることがわかった。アリやカブトムシのような昆虫も含めて、すべての生き物は眠るらしい

睡眠中、生き物は無防備になる。それでも眠る必要があるのはなぜだろう?

ミツバチは蜜のありかを仲間に教えるため、巣に戻るとダンスをする。ところが眠らせずに寝不足にしたミツバチは、ダンスが雑になり役に立たなくなるそうだ※2。生き物は眠らないとダメみたいだ。

マグロのようにずっと動いている魚は動きながら眠る。イルカは泳ぎながら脳の半分だけを眠らせるという器用なことをする。脳は右脳と左脳に分かれているが、脳が半分づつ眠るのだ。渡り鳥も脳を半分づつ眠らせ、飛びながら眠る

睡眠時間が長い生き物のトップはコアラだ。なんと22時間も眠る。コアラが食べるユーカリの葉には毒が含まれていて、他の動物は食べない。だからエサを奪い合う競争はない代わりに、コアラは毒を分解するための時間が必要で、非常に長く眠る。

キリンは睡眠が短く、20分しか寝ないと言われるが、これは間違い。キリンは1回20分ほどの短い睡眠を何度か繰り返すが、合計すると1日で25時間程度は眠っている※3

キリンは、立ったままの仮眠は2時間程度で、地面に座って体を丸めて眠るのはなんと数分~20分程度なんだとか。

寝る時にテープを流すと、寝ている間にテープの内容を覚えてるという睡眠学習。本気にして試験でひどい目に遭った人もいるだろう。あの睡眠学習も、まったくないわけではないらしい

イスラエルで行われた実験で、タバコを吸う人が眠っている間に、魚が腐ったような嫌な匂いとタバコの匂いを一緒に嗅がせると、起きてからタバコを吸う本数が減ったというから面白い。

寝ている間に英単語は覚えられなくても、禁煙ができたら、それはそれですごいよね。

ゆーまん博士のワンポイント

●「脳」をもたない生き物も眠る

●魚や渡り鳥など、右脳と左脳で半分づつ交互に眠る生き物もいる

●睡眠中の情報が起きたあとの行動に影響する「睡眠学習」らしき効果も報告されている

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構成・文/川口友万 漫画/まめこ

参考:※1「The Surprising, Ancient Behavior of Jellyfish」(Caltech September 21, 2017)https://www.caltech.edu/about/news/surprising-ancient-behavior-jellyfish-79701
※2「睡眠不足の虫は作業が雑になる」(ナショナルジオグラフィック 2015.05.25)https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/051900002/
※3「Behavioural sleep in the giraffe (Giraffa camelopardalis) in a zoological garden」(J Sleep Res. 1996 Mar;5(1):21-32)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8795798/

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