ベナン基本情報
まずはベナンの首都、面積、人口といった基本情報から見てみましょう。
国名
ベナン共和国
首都
ポルトノボ(Porto-Novo)
首都はポルトノボですが、政府官公庁をはじめ国際空港、各国の大使館などがあるのはコトヌで、実質的首都機能はコトヌにあります。
場所

ベナンがあるのは西アフリカ。北にブルキナ・ファソとニジェール、東にナイジェリア、西にトーゴと隣接し、南は大西洋のギニア湾に面しています。
日本との時差
8時間
日本のほうがベナンより8時間進んでいます。
面積
11万2,622㎢
日本の面積が約38万㎢ですから、ベナンの面積は日本の約3分の1です。
エリア
ベナンには12の県があり、首都ポルトノボはウェメ県にあります。

人口
1335万人
東京都の人口が約1400万人ですから、ベナンの人口は東京都の人口とほぼ同じです。
言語・公用語
フランス語(公用語)
通貨
CFAフラン
1 CFAフラン=0.26円(2025年10月3日現在)
宗教
イスラム教(27.7%)、カトリック(25.5%)、プロテスタント(13.5%)、ブードゥー教(11.6%)、その他キリスト教(9.5%)、その他伝統的宗教(2.6%)
歴史
ベナンの歴史は、17世紀にダホメ王国がこの地を治めていたところから始まります。しかしこの地域では、主にヨーロッパ人がこの地に住む黒人を奴隷としてプランテーションに連れていく「奴隷貿易」と呼ばれる人身売買が多く行われるようになりました。

Photo by Fonssagrives, Jean Baptiste Joseph Marie Pascal, Wikimedia Commons(PD)
奴隷制度が廃止になるとダホメ王国は滅亡し、やがて1892年にはフランスの保護領に、1946年にはフランスの海外領土となったのです。
そこから1960年に「ダホメ共和国」としてフランスから独立しました。しかし政情は混乱し、軍事クーデターが五度も続くことに。1975年には「ベナン人民共和国」に国名が変更となり、最終的には1990年に現在の「ベナン共和国」になりました。
国旗
ベナンの国旗は、緑、黄色、赤の3つの色を組み合わせたデザインです。
緑は南部の森林を、黄色はサバンナを、赤は土や独立のために流した血などを表しています。

天気・気候
ベナンは熱帯雨林気候に属します。しかし国が南北に長い形をしているため、南部と北部で気候が異なります。
南部は赤道型で、大乾季(11月中旬~3月中旬)、大雨季(3月中旬~7月中旬)、小乾季(7月中旬~9月中旬)、小雨季(9月中旬~11月中旬)の4つの季節にわかれています。
北部はサバンナ型で、小乾季(10月中旬~3月)、大乾季(3月~5月中旬)、雨季(5月中旬~10月中旬)の3つの季節にわかれます。北部は昼夜で気温差が激しく、12月から3月頃はサハラ砂漠からハルマッタンと呼ばれる熱風が吹きます。
ベナンの治安・住みやすさ
ベナンの治安や住みやすさについて見てみましょう。

治安は不安
ベナンの治安は、他のアフリカの国々に比べると安定しているといわれています。しかし恐喝、ひったくりのほか、空港やホテルでの置き引きなどが頻発しています。外務省「海外安全ホームページ」によると、南部はレベル1(十分注意が必要)、北東部はレベル2(不要不急の渡航は止めてください)、北部はレベル3(渡航中止勧告)が発令されています。
コトヌのような都市部でもひったくりやスリ等が多く、また麻薬や銃器の密輸も多く行われていることから、銃を用いた殺人や強盗が多くあります。さらに日本人や日本企業などの外国企業を狙った詐欺事件も多発しており、LINEやInstagramなどのSNSを利用して金銭をだまし取ろうとする犯罪も報告されています。
住みやすさは×
ベナンはアフリカ最貧国のひとつで、インフラがまだ整っていません。また医療水準が低く、大きなケガや病気をした際は海外の医療機関へ搬送が必要となります。そのような環境を考えると、住みやすい国とはいえないでしょう。
ベナンの見どころ・観光
ベナンの見どころや観光スポットをいくつかご紹介しましょう。

コトヌ
コトヌはベナンで最大の都市です。首都はポルトノボですが、国際空港や在ベナン日本国大使館など各国の大使館などがあるのはコトヌです。特にゴダメ地区には古い建物が点在しており、奴隷貿易の歴史を感じられたり、マーケットで現地の人々の生活を見たりできます。
グランポポ
グランポポは、ベナン南部にあるビーチリゾートです。トーゴとの国境に近い、大西洋に位置した町です。ビーチにある椅子やハンモックでのんびりしたり、ゆっくり休暇を過ごす人々の姿があります。先進国のような豪華な施設があるわけではありませんが、こじんまりとしたコテージなどがあります。

水上都市ガンビエ
ガンビエは、コトヌの北にあるノクウェ湖に隣接する水上都市です。「アフリカのベネチア」と呼ばれ、およそ4万人の人々の社会があり、住居はもちろん学校、病院、警察なども水上にあります。
水上での生活になじみのない人からすると、不思議な世界に迷い込んだよう。丸木船で移動して、水上での暮らしをのぞいてみるのも面白い体験でしょう。

ベナンの特徴・有名なもの
ベナンの特徴や有名なものをご紹介しましょう。
46の部族が存在する国
ベナンは数多くの部族が存在する国。その数は46ともいわれ、フォン族、ヨルバ族、アジャ族、バリタ族などがあります。ベナンでは公用語としてフランス語が使われていますが、それぞれの民族の言葉も話されています。
これだけ多くの部族が暮らしていても、ベナンでは部族間の争いがほとんどありません。特にベナンの民主政治については「アフリカ民主化のモデル国」とも表現されます。

Wikimedia Commons(PD)
奴隷貿易の歴史
アフリカの伝統的な王国では奴隷制があり、奴隷を労働力として使ってきた歴史があります。大航海時代以降になると、主にヨーロッパ人がアフリカの黒人を奴隷として売買する「奴隷貿易」が盛んに行われるようになりました。
ベナンもそのような歴史をたどった国のひとつで、沿岸部はかつて「奴隷海岸」と呼ばれたほどです。産業革命以降は奴隷貿易に対して批判が高まり、次第に廃止されていきましたが、アフリカ諸国が現在の貧困や飢餓に苦しめられている原因のひとつはこの奴隷貿易といわれています。
深刻な貧困
ベナンはアフリカの中でも最貧国のひとつです。主産業は綿花とパームオイルで、多くの人々が農業によって生計を立てています。
安全な水が国民に十分に供給されていない劣悪な衛生環境のため、特に5歳未満の子どもの死亡率が高いことが問題となっています。また教育の面でも不十分であり、15歳以上のうち5人に1人は読み書きできないともいわれています。

CC 表示-継承 4.0, Wikimedia Commons
西アフリカのベナンに目を向けてみよう
日本から遠く離れた国ベナン。日本のバラエティ番組などにもタレントとして出演している、駐日ベナン大使のゾマホン氏の出身国でもあることから、国名を耳にしたことがある方もいるかもしれません。
十分な医療体制がないため、多くの幼い子どもが命を落として貧困に見舞われている現状があります。日本からも、この記事をきっかけにベナンについて関心を持ってみてくださいね。
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文・構成/HugKum編集部