勉強をなかなかしない小一の息子。「終わったらゲーム」のご褒美制度は有効?【現役教諭がアドバイス】

月刊誌『小学一年生』に寄せられたパパママからのお悩みに、現役の小学校の先生がアドバイス。今回のお悩みは、勉強の「やる気スイッチ」の押し方について、うかがいました。

Q:勉強をなかなかしない息子。「やる気スイッチ」を上手に押したいです!

小1の息子は、勉強に対してやる気がありません。

なんとかやらせなければと思い、「終わらせたらゲームができるよ!」などと、いつも「ご褒美」を用意しています。
するとようやく始めますが、早く終わらせてゲームがしたい気持ちが伝わってくるので、私はイライラしてしまいます。

どうすればやる気スイッチを上手に押せるでしょう。 (こまいこさん)

A:取り組んだ過程や努力に対するご褒美は、モチベーションアップにつながります!

ご褒美作戦ですね!  じつは学校でもよく使う方法なんですよ。学校の場合は、シールやハンコを使う先生が多いと思います。

低学年で自分から勉強に取り組む子は、ほんのひと握りしかいません。ですから、大多数の子は「ドリルがここまで終わったら、シールを1枚ね」などとご褒美を用意すると、みんな喜んで取り組みます。

すると、クラスの平均点が上がったり、成績が伸びたりするんですよ。ですから、ぜひご家庭でも取り入れてもらえたらいいなと思います。

このように、学習に取り組んだ「努力」に対して与えるのはいいのですが、100点を取ったなど、「結果」に対して物を与えるのはNGです。なぜなら「ご褒美のために100点を取る」ことが目標になってしまうからです。

これと同じように、こまいこさんが嫌だなと思うのは、「ゲームをするための勉強」になってしまっていることではないでしょうか。それならば、生活習慣として、歯磨きやお風呂、食事などと同じようにゲームも勉強も取り込んでしまうのも一案です。

例えば、夕飯は7時だとすると、「その前にお風呂に入る、夕食後にゲームを30分してから宿題」といった具合です。ルーティン化してしまえば、ゲームをするための勉強にはなりませんよね。その代わり、親御さんも夕飯の時間を守ることが必要になってきます。

とくにゲームと勉強の時間は、お子さんに決めさせましょう。自分で決めたことには責任感が生まれますし、守れなかったときも「自分で決めたよね」と伝えることができますよね。

低学年のうちに、自立して勉強ができるような生活サイクルを作っておくと、中・高学年になったとき、お子さんも親御さんも間違いなく楽になります。

子どもの「やる気スイッチ」は生活習慣とご褒美がカギだと言えるでしょう。

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私がお答えしました

佐々木陽子先生 | 公立小学校教諭
低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育情報サイト『みんなの教育技術』に執筆も行う。
『小学一年生』2024年8月号別冊『HugKum』
イラスト/ミツコ
構成/天辰陽子

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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