赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はいつわかる?症状と原因、治療法を小児科医が解説

肌に湿疹が出て、かゆみをともなうアトピー性皮膚炎。「もしかしてアトピー?」と疑う前に、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎のことを知っておきましょう。北浜こどもクリニック院長・北浜直先生に、赤ちゃんのアトピーの症状や治療法、ケア法について伺いました。

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赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の特徴や症状は?

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、「アトピー性疾患」や「アトピー性素因」と呼ばれます。これは、アレルギーが原因で出る症状の総称で、アトピー性皮膚炎はそのなかのひとつの症状です。

赤ちゃんのアトピーの特徴

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の特徴は、顔や頭、ひじ、ひざなどの関節部分、耳の裏側や耳たぶなどの皮膚に赤い湿疹が現れます。それらの部分がジュクジュクになり、強いかゆみをもちます。

いつわかる?アトピーと診断されるまで

症状が現れるのは、生後4か月以降が一般的です。治りにくい湿疹が乳児の場合は2か月以上、小児の場合は6か月以上続くとアトピーと診断されます。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎には、どのような症状があるのでしょうか。診断基準とともに解説します。

アトピーの診断基準

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準には、
1 そう痒(かゆみ)
2 特徴的皮疹と分布(乳児期:頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降)
3 慢性・反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在する、乳児では2か月以上、その他では6ヵ月以上を慢性とする)
上記1、2、および3の項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断する。
とあります。
アトピー性皮膚炎の診断基準-公益社団法人日本皮膚科学会より引用)
簡単に言えば、「かゆみがあり、特徴的な部分に発疹が現れ、しばしば繰り返す」、「乳児の場合は2か月以上続く」というのが、アトピー性皮膚炎と診断されることになります。

アトピーの症状

乾燥・かさぶた

2歳くらいから小学生くらいになると、全身の皮膚がカサカサになり、粉をふいたようになります。赤ちゃんのころだと、粉をふいたような乾燥は見られませんが、じゅくじゅくとした部分が乾き、かさぶたになり、乾燥してかさぶたになるという状態を繰り返します。

かゆみ・痛み

乳児期は赤い湿疹部分に強いかゆみをともなうため、赤ちゃん自身の指でひっかいたり、顔や体を衣服やふとんにこすりつけたりすることがあります。

赤み

おでこや目のまわり、ほおが赤くなり、小さな赤い湿疹ができます。かくと、液体が分泌され、それが水疱となり、ジクジクしてきます。同じような湿疹は、胸、腹、背中、手足、頭、髪の毛の生えぎわにも現れます。

アトピーが出やすい場所

多くの場合、生後2~3か月であれば顔や頭に出やすいでしょう。湿疹とかさぶたが同居し、全身が赤くなることもあります。3~4歳くらいになると、膝の裏や肘の内側、首など皮膚のやわらかい部分に出ます。

乳児湿疹とアトピーの症状の違いは?

赤ちゃんは、生後2〜3週間から2か月頃、額や頬などを中心に、湿疹が現れることがあります。この症状を早急に「アトピー」と判断するのは誤りです。これは、ほとんどの赤ちゃんに見られる「乳児湿疹」であることが大半だからです。乳児湿疹とは、皮脂の分泌が活発になったことで起きる湿疹のことで、「新生児ニキビ」や「あせも」も乳児湿疹の一種。症状もさまざまなので、アトピーとの区別がしにくいこともあります。もし、お子さんに湿疹ができ心配であれば、素人判断せずに病院へ行きましょう。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の原因

アトピーの原因は、まだはっきりわかっていません。しかし、悪化因子は次のようなものが挙げられます。

アレルゲン(原因物質)

アトピー性皮膚炎は、荒れた皮膚にアレルゲンが侵入することによる「経皮感作」が原因と考えられています。アレルゲンには、ダニ、ハウスダスト、ペット、食べ物の卵、牛乳、大豆、そば、植物などの花粉などがあります。

汗・よだれ

汗で悪化するという人も多く見られます。また、赤ちゃんであればよだれや食べこぼしなども刺激のもととなります。

その他

空気の乾燥や、髪の毛や毛糸のセーターなどの皮膚に触れるさまざまな物質、ストレスなども悪化させる原因となることがあります。

赤ちゃんのアトピーの治療法

アトピー性皮膚炎の治療法には、どのようなものがあるのでしょうか。

ステロイド外用薬

「ステロイドは怖い」と思われるママは多いかもしれませんが、ステロイドは、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤です。ステロイドを適正に、最低限使うことにより、アトピー性皮膚炎の炎症を鎮静することができます。

カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)

1999年に登場したアトピー性皮膚炎の新たな治療薬です。ステロイド外用薬とは異なり、皮膚の防御機能を損なうことがなく、皮膚萎縮を起こすことがないため、顔や首によく使われます。

かゆみ止めの飲み薬

アトピー性皮膚炎はかゆみも症状のひとつです。辛いかゆみを和らげるたたり、ひっかくことで悪化するのを防ぐために、抗ヒスタミン作用のある内服薬が使われることもあります。

プロアクティブ療法

プロアクティブ療法は、悪化してから治すのではなく、悪化を防ぐ治療法です。治療して症状がおさまった後も、週に数回、湿疹が出やすい部分に少量のステロイド軟膏を塗り続け、肌の状態に合わせて薬の量や回数を調整します。アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪化したりをくり返し、コントロールしにくいため、このプロアクティブ治療が現在では推奨されています。

赤ちゃんのアトピーは治る?

アトピーを発症してしまうとなかなか治らないイメージがありますが、赤ちゃんのアトピーは正しい治療法を施せば、ほとんどの場合完治します。基本的なスキンケアを徹底し、患部にステロイド軟膏を適量塗ります。スキンケアはそのまま続け、徐々にステロイド軟膏を弱いものに変えるもしくは塗る回数を減らしていき、最終的にはステロイドが必要なくなるまでになります。どのくらいの期間で治るのかは、ケースバイケースで、はっきりとしたことは言えません。

赤ちゃんのアトピーのケア方法

ここでは、お家でできる赤ちゃんのアトピーケア法をご紹介します。

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体を清潔に保つことは大事なアトピーケアのひとつ

もこもこの泡でやさしく洗う

アトピーケアで重要なのは、お肌を清潔にすることです。赤ちゃんを洗ってあげるときは、低刺激のボディソープや石鹸を使い、泡立て用のネットなどを使ってしっかり泡立てます。しっかり泡立てる理由は、泡が細かいほど、汚れを吸着しやすいためです。洗うときはスポンジなどは使わず、手で丁寧に洗います。洗った後はぬるま湯でしっかり流してあげましょう。

たっぷり保湿する

お肌を清潔にした後は、保湿します。保湿することにより肌のバリア代わりになってくれるので、経皮感作を防ぐことができます。市販の保湿剤を、肌がテカるくらい塗ります。肌がザラザラしているお子さんには、1日5~6回塗っても問題ありません。乾燥するとかゆみが出てしまうので、それを抑えるためにも、しっかり保湿しましょう。

ハウスダストの除去

ダニ・ホコリなどのハウスダストの除去も、アトピーケアにつながります。とくに布団はハウスダストの温床です。布団カバーは、最低週1回以上洗濯し、洗濯した布団カバーは最低週1回以上日干します。そのあと布団カバーに掃除機を、1m四方につき20秒間かけるようにしましょう。

食べる物を過剰に気にし過ぎない

多くの方がアトピーの原因を食べ物に結び付けがちですが、アトピーは、ほとんどの場合皮膚からアレルゲンが侵入し、発症します。そのアレルゲンはさまざまですが、ハウスダストが主で、食べちらかして皮膚についた卵や乳製品などで発症することはわずかです。ですので、口にする食べ物は過剰に気にし過ぎなくても大丈夫です。

日焼け止めはNG

紫外線は湿疹を悪化さるので、紫外線対策も大切です。ただし、日焼け止めを塗るのは控えてください。アトピーを悪化させる恐れがあります。ベビーカーの日よけを利用したり、肌が露出しない服を着せたりすることで、紫外線を防止しましょう。

アトピー性皮膚炎はスキンケアとハウスダスト除去で対策を!

毎日のスキンケアとハウスダストを除去することで、アトピー性皮膚炎の予防にもつながります。もちろん、湿疹がひどい場合はかかりつけの小児科で受診するようにしましょう。

監修:北浜 直(きたはま ただし)先生

北浜直

神奈川県川崎市・北浜こどもクリニック院長。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている。

北浜こどもクリニック

 

文・構成/HugKum編集部

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