みんなが使いやすいノートってどんなものなのでしょうか?
色の工夫
教科によって色を分けました
ラインナップを見るととてもカラフルに見えます。ですが、よく見ると同じ教科は同系統の色を使用しています。
例えば「さんすう」は青系の色、「こくご」はピンク系の色、「かんじれんしゅう」はオレンジ系の色となっているのです。
学年が変わってノートの罫線が変わっても表紙の色は同じですので、使い続けるほどわかりやすいのではないでしょうか?
あなたが見えている色と隣の人が見ている色は違うかもしれません
上の写真をご覧ください。
同じように色を塗った四角と色名が写っていますが、色が少しずつ異なって見えます。
これは「色のシミュレータ」という様々な色覚特性を持つ方の色の見え方を体験するためにつくられたアプリで撮影したもので、一番左が一般型(C型)の色の見え方です。これは塗った色鉛筆の色と同じ四角が写されています。そして右3つは一般型の方と違う色の見え方をする方の見ている世界をシミュレーションしたものです。1型(P型)、2型(D型)、3型(T型)と呼ばれる見え方の方との違いはこれだけ違うのです。
表紙の色の名前を書きました
使うノートを説明するときに表紙の色を使うこともあるかと思います。
「れんらくちょう」を例に先ほどと同じアプリを使用してみたところこれだけ色が異なりました。
そこで、色の見え方が違うお子さんでもわかるように、表紙の色の名前が印刷されています。
色覚の多様性に配慮したという点が「みんなの学習ノート」のポイントの一つです。
罫線の工夫
タテ方向に書くの?ヨコ方向に書くの?
ある程度の年齢になれば「国語は縦書き、そのほかは横書き」とごく自然に手が動くでしょう。ですが、慣れていないお子さんにできるかというといかがでしょうか?
このシリーズでは罫線の見やすさも一つのポイントとなっています。まず、罫線を見やすい色に変更しました。その上で、国語のノートではほんのわずかな違いではありますが、縦線が太くなっていて、自然とタテ方向に文字を書いていくように導かれます。
そのほか、算数・理科・社会のノートは同じ方眼状ですが、横線が太くなっているために、自然とヨコ方向へ文字を書けるように工夫されています。
1マスがわかりやすく工夫
特に方眼ノートについて、今までは罫線に強弱がなく、点線で表される「十字リーダー」もそれなりに存在感がありました。そうすると、どれが1マスを表す線なのか、どれが枠の中を四つに分けるための補助的な線なのかがわかりづらくなっていました。
今回はその部分も工夫し、枠を表す線は太く力強くて十字リーダーは控えめに印字することで1マスがわかりやすくなったのです。
間違いやすい位取りに一工夫
1〜4年生に適用と想定されているさんすう 17マスは縦方向に向かって交互に列にうっすらとした編みかけが入っています。
この理由として挙げられる一つは、ひっ算をするときに一の位がこの数、十の位がこの数…という位取りが上手くできないお子さんが意外と多いことです。あみかけを入れることにより計算時に同じ位の数字を認識しやすくして、計算のミスを減らすことができます。
間違いそうだからリーダーを削除
新一年生が最初に使う、マスの大きな横開のさんすうノートがあります。今まではそこにも十字リーダーが入っていました。しかし、十字リーダーで区切られた1/4マスに数字を書き込む子もいるため、リニューアルに際して十字リーダーをなくしました。
十字リーダーは文字の練習をする場合にバランスを取るために特に使われるイメージが筆者にはあります。今回のリニューアルは算数のノート。十字リーダーが削除され、1マスがはっきりとわかるようになったのでマスがスッキリして数字が読みやすくなっているように感じました。
小文字を書く部分が広くなっている
なれない文字を書くとき、ついつい大きくなってしまうことありませんか?小学校にも導入された英語。鉛筆の太い芯で細かな文字を書くのはなかなか難しいものです。そこで小文字を書くときに主に使う上から2番目の行にあみかけで色付がされました。また他の列よりも高さがあるので、小さい文字を書くのが苦手なお子さんでもしっかりと書けるよう改良しました。
マス目の工夫
ふりがなを大きく書ける
漢字練習帳には、ふりがなを書くための欄が右側に用意されています。でもこの欄、意外と小さくて、音読みと訓読みがギリギリ入るかどうか程度のものでした。
今回の工夫では1ページあたりに書ける文字数を減らし、全体的にゆったりとした記入ができるように変更になりました。もちろん、ふりがなの欄も広く取られました。
加えてセミB5だけではなくA4サイズのノートも新登場。画数が多い文字数でもゆったりと書けるように大きなマス目のものも用意されています。
マス目があるから書きやすい
最近はタブレットに置き換えられてきた連絡帳ですが、ノートと併用する学校もまだ多いようです。連絡帳は縦長の記入欄が並んでいるフォーマットが特徴ですが、文字のバランスを取るのが難しく、特に低学年には記入しづらいものだったのではないでしょうか?
今回のリニューアルでは縦書きの連絡欄に、一文字ずつ記入するマスを用意しました。これにより、整えられた読みやすい連絡帳づくりがしやすくなっています。
また、罫線の太さに差をつけて、自然と縦書きがしやすいようになっています。
優しいノートは使いやすいノート
今回のこのノートのテーマは「ユニバーサルデザインの視点から生まれた」です。使いやすいノートを使うことは授業に集中できるかどうかの一つの要因になると筆者は考えます。
今回登場したノートには上の写真のUD(ユニバーサルデザインの頭文字)が表紙に表示されています。
変更された点は全体を通して、表紙の名前を書く欄を大きく見やすくしていたり、
1年間で何冊も使うノートだからこそ裏表紙には「使い始め」「使い終わり」「冊目」の記入欄も追加されました。
授業に欠かせないノートだからこそ、使いやすいものを使って欲しいというのが多くの保護者の気持ちではないでしょうか?夏休み明け、新しいノートを選ぶときの選択肢として加えてみてはいかがでしょうか?
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文・構成/ふじいなおみ