「コロンブスの卵」ってどんな意味? 由来となったエピソードから、使い方、類語、対義語、英語表現までを解説!

アメリカ大陸を発見した航海者・コロンブスの逸話をもとにした『コロンブスの卵』ということわざをご存じですか。15世紀から使われていたこの言葉の、正しい意味や逸話、使い方、関連語を把握しておきましょう。

「コロンブスの卵」とは?

まずは、この言葉の読み方と意味を押さえておきましょう。

読み方と意味

この言葉は、『コロンブスの卵』と書いて「ころんぶすのたまご」と読みます。

大航海時代の探検家・航海者であるクリストファー・コロンブスにまつわる逸話をもとにしており、「どんなに簡単そうに見えることでも、はじめに行うのは難しいこと」や「ありそうでなかった発見や発想そのもの」を指すことわざです。

リドルフォ・ギルランダイオによるクリストファー・コロンブスの肖像画 Wikimedia Commons(PD)

語源となった逸話とは?「道具を使わず卵を立ててみよ」

『コロンブスの卵』の語源となったといわれる以下の逸話は、イタリアの歴史家・探検家のジローラモ・ベンゾーニが広めたとされています。

ある貴族のパーティーで…

卵を立てるコロンブス (ウィリアム・ホガース画)Wikimedia Commons(PD)

スペイン貴族とのあるパーティーの日、コロンブスは一人の貴族に「もしあなたが新大陸を発見しなくても、他の誰かが発見しただろう」と言われました。コロンブスは反論せず、ただ卵を持ってくるように頼みます。そして、その場にいた貴族たちに、道具を使わずに卵を立てることができるかと賭けを提案。

貴族たちは試行錯誤をしますが、誰一人として、コロンブスが言うように卵を立てることはできません。諦めた貴族たちを前に、コロンブスは卵の片側の先端を打ち付けて平らに潰し、卵を立てて見せます。一見誰でも思いつきそうな事柄でもはじめに行うのは難しいことだと、貴族たちは気付かされました。

使い方を例文でチェック!

では実際には、『コロンブスの卵』はどのように使うことができるのでしょうか。ここでは、例文を通して使い方をチェックしていきましょう。

1:〇〇は××すれば△ △できることに気がついた。一見シンプルだが今まで誰も気が付かなかったなんて、まさに【コロンブスの卵】だ。

このように、一見誰でも思いつきそうなのに、実際にはなかなか発想されなかった気づきってありますよね。そのような発想・発見の難しさを言い表す際に『コロンブスの卵』を用いることができます。

2:子どもが思いつく数々の発想の中には、ありそうでなかった【コロンブスの卵】のようなアイディアが多い。

子どもは時折、大人が思い付かないような驚きの発想をすることがありますよね。このように、ありそうでなかった、けれども発想するのは難しいアイディアそのものを『コロンブスの卵』と形容することもあります。

類語や言い換え表現は?

『コロンブスの卵』にはどのような類語があるのでしょうか。言い換えに使えそうな表現からご紹介します。

1:パラダイムシフト

“paradigm(物事の見方や考え方の枠組み)”と“shift(交代、変化)”を組み合わせた『パラダイムシフト』という言葉。「その時代に当然のこととされてきた物事の見方や考え方が、劇的に変化すること」を意味する言葉です。

「誰も思い付かなかった事柄を発想すること」を指す『コロンブスの卵』の類語と言えます。

2:発想の転換(はっそうのてんかん)

『発想の転換』は、言葉のまま、「一般的な考え方やものの見方を変えること」「視点を新しくすること」といった意味で使われます。

「発想の転換による斬新なアイディア」などとすれば、「ありそうでなかった発見」を指す『コロンブスの卵』の言い換え表現として使えそうです。

3:コペルニクス的転回(こぺるにくすてきてんかい)

『コペルニクス的転回』とは、「既存の発想を根本的に転換させること」「逆転の発想」を指す言葉です。ポーランド出身の天文学者・コペルニクスが天動説を捨てて地動説を唱えたことを用いた比喩的表現です。

「ありそうで誰も思い付かなかった事柄を発想すること」の意味を持つ『コロンブスの卵』とは少々ニュアンスは異なりますが、新たな発想へと繋がる点や、偉人の名前を用いた成句である点において、似た言葉と言えます。

対義語は?

『コロンブスの卵』には明確に対となる対義語が存在しません。ここでは、『コロンブスの卵』の反対に近い意味を持つ言葉をご紹介します。

1:陳腐(ちんぷ)

『陳腐』とは、「ありふれていて新鮮さがないこと」「古臭くてつまらないこと」を意味する言葉です。「ありそうでなかった」という新鮮なニュアンスを含む『コロンブスの卵』とは反対に近い意味を持つと言えるのではないでしょうか。「陳腐な発想」「そのアイディアはあまりにも陳腐だ」といった形容詞的な使われ方をします。

2:類型的(るいけいてき)

『類型的』とは、「型にはまっていて、ありふれている様子」を意味する言葉です。こちらも「ありそうでなかった」という新鮮さに焦点をあてた『コロンブスの卵』とは反対の言葉と言えそうです。こちらも「類型的な考え方」のように形容詞として用います。

英語表現は?

元となった逸話は海外から広まったものですが、では『コロンブスの卵』は英語ではどう表現することができるのでしょうか。最後に、『コロンブスの卵』の英語表現をご紹介します。

1:Columbus’ egg.

『コロンブスの卵』は、英語でそのまま“Columbus’ egg”と訳されます。“egg of Columbus”と表記される場合もありますが、どちらも意味は変わりません。“His idea is truly Columbus’ egg.(彼のアイディアはまさにコロンブスの卵だ)”のように使いましょう。

2:lateral thinking

“lateral thinking”とは「水平思考」と直訳できる言葉で、「常識や前例にとらわれない自由な思考」を指します。「ありそうでない発想」を指す『コロンブスの卵』とは若干ニュアンスが異なりますが、奇抜さ・ユニークさ・新鮮さのある思考や発想を言い表せる点において、近い意味を持つ英語表現と言えそうです。

「医者の卵」「芸術家の卵」の言い回しとは異なる点に注意!

今回は、『コロンブスの卵』の意味や語源となった逸話から、使い方、類語、対義語、英語表現までをご紹介してきました。
「〇〇の卵」と言われると、「医者の卵」「芸術家の卵」のような、なにかの「見習い」を指すものと勘違いしてしまう方もいるかもしれませんね。しかしながら、ここまで述べてきた通り、『コロンブスの卵』の意味はこれらとはまったく異なります。混同しないように注意しましょう。

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文・構成/羽吹理美

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