妊婦ジャケット着てみたら?ベビーカーで改札を通るのは大変?ピジョンの「赤ちゃんを知る授業」を中学3年生が体験!

周囲の理解を得られず、子育ての取り巻く環境は年々、厳しくなっていると感じているHugKumの子育て世代も多いのではないでしょうか?ピジョンは、その原因の一つは、赤ちゃんに触れる機会が少なくなったからと考え、日本全国の中学生に向けて赤ちゃんを知る教育プログラムを提供。中学生たちが妊婦ジャケットを装着しての妊婦体験やベビーカーの走行体験する様子などをレポートします!

「赤ちゃんを知る授業」ってどんなもの?

受精卵から生まれてくるまでの月齢別に成長過程が分かる実物大で実際の重さの人形。奥は、10ヶ月目の生まれた時の赤ちゃんの人形を抱く生徒さん。

HugKumの子育て中の読者のみなさんにも馴染みのあるベビー用品を扱うピジョン株式会社。哺乳瓶やおしりふきなど、使ったことのある方も多いのではないでしょうか?

「赤ちゃんを知る授業」は、ピジョンが開催する「Baby Friendly Future Project」で、中学生に赤ちゃんへの興味・関心を持ってもらい、社会の一員として自らできることを考え、行動につなげる教育プログラムです。

先生方が授業を実施するための教材を無料で提供するほか、一部の中学校では、ピジョン社員が出向いて授業を行い、赤ちゃんと家族についてより深い学びの機会を提供しています。

赤ちゃんにやさしい未来の実現を目指し、年間約140校、1万人以上の生徒に対し、授業を実施しているそうです。

今回は、かえつ有明中学校で中学三年生に向けてプログラムが開催されたので、その様子をレポートします!

赤ちゃんだった頃を振り返る

授業のはじめに赤ちゃんだった頃を振り返り、自分も赤ちゃんだったことを認識します。

まずは、赤ちゃんだった頃の印象的な出来事やエピソードを思い返し、かつては生徒自身も赤ちゃんだったことを改めて認識することから授業は始まります。

普段、意識する機会がないせいか、何も覚えていないという声もありましたが、中には、なんでも興味があって図鑑が好きでずっと眺めていたり、「なぜなぜ」と聞いてばかりいたという生徒さんもいました。

赤ちゃんが生まれてくるということを学ぶ

「妊婦さんのおなかの大きさ」のスライドの前で、平均的な体重の赤ちゃんと小さく生まれてくる赤ちゃん(右)を人形を使って見比べる様子。

赤ちゃんが生まれてくるということを妊婦さんのイラストのスライドや月齢に合わせた実物大の人形やを用いて学びます。

特に妊婦さんというと、お腹が目立つ6ヶ月以降くらいからというイメージがあるかもしれませんが、「妊婦さんのおなかの大きさ」のスライドでは、それよりずっと前から、お腹の目立たない妊婦期間もあるということが分ります。

赤ちゃんの胃はさくらんぼ程しかない

また、大人の胃は2リットルで大きめのペットボトル一本分にもなりますが、赤ちゃんの胃はさくらんぼくらいの大きさしかありません。胃が小さいため、数時間おきに母乳やミルクをあげなくてはいけないという話を聞き、生徒のみなさんは、両親になる大変さを感じているようでした。

実物大の赤ちゃんの人形を抱っこしてみる!

実物大の赤ちゃんの人形を抱っこして微笑む生徒さん。

そして、実際に、新生児と同じくらいの重さと大きさの赤ちゃんの人形を抱っこしてみます。

首が座らず不安定な赤ちゃんの人形を慎重に手渡す生徒さん。スタッフが抱っこのアドバイスもしてくれます。

「思ったより重い!」との声が教室に飛び交っていました。ずしっと来る重みに、人形とはいえ、恐る恐る、慎重に手渡す様子も見られました。

赤ちゃんの行動について、その意味や特徴を理解する

赤ちゃんの可愛らしい映像に思わず笑みが溢れる中学生たち。口に何でも入れてしまう映像に驚いたりもしていました。

座学の最後は、スライドを使って、赤ちゃんはなぜ泣くのか?なぜよく寝るのか?など、その行動について特徴や意味を理解し、赤ちゃんとのコミュニケーションに不可欠な知識を身につけます。

赤ちゃんの映像に「可愛い!」と思わず声をあげたり、微笑む姿が印象的でした。

妊婦ジャケットは重い?!妊婦の体験をしてみる!

妊婦体験ジャケットを装着してポーズをとる生徒さんたち。

座学の後は、妊婦ジャケット着て妊婦の体験をします。妊婦ジャケットは8ヶ月から9ヶ月の妊婦さんの体型を再現したもので7kgほどの重さがあります。

妊婦ジャケットを着たまま教室内を歩く生徒さん。

装着したとん、「重い!」との悲鳴が次々と聞こえました。歩くのもやっとで、前屈みになって靴紐が結べなかったりと、想像以上の不自由を体験できたようでした。

妊婦ジャケットは8ヶ月から9ヶ月の妊婦さんの体型を再現したもので7kgほどの重さ。

サッカー部の男子生徒さんは、「これくらいの荷物を部活で持つことはあるけれど、一日中ではないし、背中に背負っているので、前にずっと重たいものがある不自由さを実感した。すぐに何ができるかわはわからないけれど、いつでも助けることができるよう、妊婦さんがいたら意識したいと思う」と話してくれました。

「重い、辛い!帰ったら、お母さんにありがとうって言おう」という生徒さんの声もありました。

言葉だけではなかなか伝わらないことも、こうして体験することで、実感できる貴重な機会であると感じました。

ベビーカーで改札は通れる?

通路に見立てた教室の机の間をベビーカーを押して歩く生徒さん。

妊婦体験の後は、ベビーカー走行体験も行われました。実際は、道は平らではありませんし、今回は、赤ちゃんの人形が乗っているだけですが、ベビーカーは荷物が常にパンパンで、こんなに身軽な形で出かけることはまずありませんが、それでも、慣れないベビーカーに、戸惑っているようでした。

駅の改札口の幅を模した通路をベビーカーを押して歩いていく様子。

ほとんどの生徒さんがベビーカーを押すのは初めてで、思ったよりも真っ直ぐ進まない、ぐらつく、などの声が上がりました。

妊婦さんや子連れの家族が困ってる!自分なら何ができるか考えよう

アイディアを付箋に書いて貼り付けていきます。

授業の最後は、妊婦さんや小さい子連れの人が困っているときにどんなことができるか、グループディスカッションの時間となりました。

たくさんのアイディアが付箋に書かれていきます。

「変顔」と一度書いて、提案してみるのものの、やっぱりダメかもと、紙をくしゃっと丸めてしまった生徒さんがいました。他の生徒さんが、「赤ちゃんは変な顔をしたら、きっと笑うし、面白いから、いい案だよ」と意見のやりとりの場も見られました。

代表のグループが意見を発表している様子。

最後に、グループで意見を発表。どのグループも真剣にどうしたら良いか考えている様子が伺えました。

ベビーカーをお手伝いするときのお願い

ベビーカーを運ぶお手伝いの声がけをしたいという意見もあり、子育て中の筆者としても、大変ありがたいと感じました。声をかけにくいかもしれませんが、当事者としては、手伝ってもらえたら大変ありがたいです。

ちなみに、この時は、必ず赤ちゃんは保護者に抱っこしてもらって、赤ちゃんの乗っていない状態のベビーカーを運ぶようにとのピジョンの担当の方からアドバイスがありました。筆者もついつい、乗せたままベビーカーごと運んでいたので、気をつけようと思いました。

生徒さんや先生の反応は?

「赤ちゃんを知る授業」の「赤ちゃんの行動を学ぶ」のスライドの映像の一つを見ている生徒さん。

「赤ちゃんを知る授業」が終わった後に、生徒さんに授業の感想を聞いてみました。以下のような意見が聞けました。

・赤ちゃんのことを学んで、親になるのはとても大変なことが分かった。生まれてからは大変なのはもちろん、妊婦の時も大変なことが分かった。

・赤ちゃんが何でも口に入れるのを見て、自分も赤ちゃんと接する機会があれば、側に置くものを気をつけようと思った。

・すぐに行動は移せなくても、妊婦さんを気にかけ、いつでも、手助けができるように、意識することが大事だと思うようになった。

教室に入ってきた時は、消極的な感じだった生徒さんも、授業が終わる頃には前のめりになり、意見も飛び交う様子に意識の変化を感じることができました。

学校では提供できない貴重な授業

家庭科主任の吉井先生も「生徒の生き生きとした表情が見えて、大変有意義な授業だったと感じています」と話してくれました。また、妊婦体験のジャケットやベビーカーなど、学校の教科書だけではカバーしきれない授業内容や教材に、大変価値があると感じているとのことでした。

ピジョンの使命

ピジョンの担当の方からは、HugKumの読者の皆さんに向けて、「子育て中の保護者の方の大変さや喜びも含め、日頃の声を中学生に伝えるのが使命と思っています。これからも子育て世代を応援すべく、この活動を続けていくことができたらと思っています」とのコメントを頂きました。

取材を通して

核家族化や少子高齢化が進み、赤ちゃんと接する機会が少なくなってしまった中、とても貴重な体験ができる授業だと感じました。「中学生でもできることがある」という一過性の授業だけではなく、これからの行動に続く、気づきを与えることができる内容がとても印象的でした。

特に、思春期に入る中学生の時期にこのような体験ができれば、子育てを取り巻く環境を意識ができるようになり、それが、ゆくゆくは、社会全体の育児の助け合いができるゆるやかな繋がりを作ることになると思います。このプロジェクトが全国の学校で、より広まっていくことを期待します。

>>>ピジョンの「赤ちゃんを知る授業」についてはこちらから

文・取材/Rina Ota

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