中学数学のつまずきは小学算数の積み残しから繋がっている!【算数芸人・タカタ先生】数学嫌いにならないためには「国語好き」にも刺さる論理的思考での理解が必須

「この公式でなにがわかるの?」「何を学んでいるかよくわからない」「なにかの役に立つの?」、算数嫌いが言いがちなこれらの言葉を受け止め、興味をひくような漫画、文章、ギャグを組み合わせてわかりやすく解説してくれるのが算数芸人・タカタ先生の新著『5日間で身につく!爆速でやりなおす中学数学』。その魅力を算数が苦手なライターがママ目線でご紹介します。さらに著者のタカタ先生にもお話を聞きました。

算数・数学嫌いでも興味を持てて、わかりやすさに特化した本

数学教師芸人 タカタ先生
数学教師芸人 タカタ先生

算数が苦手なお子さん、算数・数学が苦手なまま大人になったパパやママはきっと多いですよね。お笑い芸人と数学教師の二刀流で活躍し、YouTubeチャンネル『スタフリ』の登録者が26万人を超えるタカタ先生の新著『爆速でやりなおす中学数学』は、算数・数学嫌いこそ読んでほしい、興味を持てて、わかりやすさに特化した本。

学習内容は中学生向けですが、漫画とイラスト付きの文章で読みやすいので小学校のお子さん、そして学びなおしたいパパやママにもおすすめです。

【ここがすごい!】「5日間で身につく!爆速でやり直す中学数学」は単元の内容から実生活で役立つことまでがマンガでわかる

まず、中学数学のつまずきは小学算数の積み残しから繋がっているという耳の痛い現実を話してくれたタカタ先生。

小学算数のやり直しが必要なら、「5日間で身につく!」というのは実際は厳しいのでは?と疑問を持ちます。しかし、マンガで展開する本書は問題がストーリー仕立てになっているので、問題に隠された意味や背景を簡単に想像することができるのだそう。

確かに、普段学校で算数の新しい単元を習うとき、先生に「今日からここをやります」と言われれば、教科書のそのページを開き、なんとなーく学びがスタートしています。そんな感じで唐突に始まった学習は、教科書に並んだ数字と文字やちょっとした図の説明だけでは、頭に入ってこないことが多く、この単元でなにを学ぶのか、よくわからないまま、言われたとおりにこなす日々だったことを思い出します。そして結局深いところまで理解できていないから、すぐ忘れたり、応用が利かないなんてこともよくありました。

中学生は小学生と比べて理解のスピードが格段に上がっているので、たとえ問題が解けなくても、「コレを求めたいが、どういう式にしたら良いか」というように、求めたいことが分かっていながら自分に何かが足りなくて答えにたどり着くことができないということに気付くことができる年齢です。

そこでこの本では「数」「方程式」「関数」「図形」「資料の活用」それぞれの章の冒頭で、なにを学ぶのかをマンガで紹介。これが面白いほどにわかりやすく、なぜ生まれたのか、実際の生活でどう役立つのかまで紹介されていて、勉強に興味がわいてきます。

【ここがすごい!】学年を超えた縦のつながりで学ぶからわかりやすい

例えば方程式。学校では中1で一次方程式、中2で連立方程式、中3で二次方程式と、分野をぶつ切りで習うため、以前習ったことを忘れていたり、どうつながっているかがわからなくなりがちです。本書はこれを一気に学ぶ構成なので短時間で習得できます。効率がいいのはもちろん、つながりが明確でわかりやすく、理解が深まります。

著者のタカタ先生曰く、「数学は基本的に全部繋がっています。だから学校のように横のつながりで教えることは理にかなっているんです。正負の数を学ばないと文字式の計算もできないし、方程式も解けない。だからまずは正負の数をやって、それを使って文字式をやって、文字式を使って方程式をやって、方程式を別の捉え方して関数やってって。学校のやり方が悪いわけではないんです」とも教えてくれました。

【ここがすごい!】数学の言語化が秀逸!国語好きにも刺さる言い回しがたくさん

 方程式のページでは、「方程式はスマホである」と紹介されています。現代人がスマホがないと生活できないように、数学人にとっては方程式がないと生きていけない。それほどに便利なものであるということを表していて、どちらかと言えば文系だったり、国語が好きな人の頭にもすっと入ってくる表現です。

 苦手な人が多い図形の章でも、図形の回転移動は「ワイパー」対称移動は「本を開くイメージ」など、わかりやすい言葉が続々登場。また「確率」についても、「あることが起こる可能性」を数で表したものと紹介。野球の「打率」も確率の一種など、より簡単に考えられるような言い回しが多数採用されていて、”難しいもの”という意識が軽減されそうです。

【ここがすごい!】読者の疑問を登場人物の愛さんが代わりに質問してくれる!

本書は、タカタ先生と数学が苦手な愛さんの会話形式で進んでいきます。この愛さんが算数・数学が苦手な読者の強い味方。読んでいて「これどういうこと?」と頭にハテナが浮かんだら、ナイスタイミングで愛さんが質問してくれるのです。

読みながら「愛さんよく聞いてくれた!」と何度も思いつつ、わからないことをわからないままにせず、じっくりと学べます。

ただこの愛さん、作中でどんどん知識を吸収して、ハイスピードで賢くなっていきます。これについてタカタ先生は「本当は愛さんには徹底的に算数とか数学に苦手意識を強く持ってる方に寄り添ってもらうようにしたかったんですよ。でも、そうなると質問ややりとりが増えてって。ページ数など構成上の都合で、途中から愛さんが覚醒したかのように、急に物分かりがよくなっちゃって(苦笑)」と裏話を教えてくれました。

【タカタ先生のおすすめポイント】算数数学が怖くならない「理解のバリアフリー」

この本の見どころについて、著者であるタカタ先生にお話を聞きました。

――この本を作るにあたってどんな工夫をしましたか?

タカタ先生 僕は数学はめちゃくちゃ面白いエンタメだと思っています。実際に数学の問題を解いていたらいつの間にか朝になっていた、というような経験を何度もしていますし。

2万年前の人が素数の研究を一番最初にやったのではという説もあるくらい、言葉ができる前から一部の人間を熱狂させ続けてきたのが数学。だから1回好きになっちゃえば、その後は無限に楽しめると思うんです。

そこで僕の役割は、まだ数学を楽しいって思っていない人を、数学の方向に向かせることだと思っています。どうすれば数学好きになってくれるかなと考えると、自分が好きなものと結びつけて説明されると、興味を持つと思うんですよね。

――具体的にはどんな内容にしましたか?

タカタ先生 それぞれが好きなもの、興味が持っているもの、知っているものはバラバラなので、例えばマンガで描いたり、ギャグを入れてみたり、社会で何の役に立つのか、あとは偉人の話をしたり。

起源を語ることも意識しています。当時はこういう世の中で、この部分で困っていたので、こういうものが作られました、世の中がこう変わりましたみたいな。起源の話は、何かの役になるために生まれたことを伝えるので、「数学って必要なんだな」と感じ取ってもらえると思います。

全体像を伝えるのも大事かな。単元の全体像を伝えて、全部で大事な項目が5個ありますよ、それを1つずつやっていきますとすると、わかりやすいかなと。

自分が知ってることと結びつけることが理解の助けに

タカタ先生 新しく習うことについて、自分が知ってることと結びつけることも理解の助けになるとも思います。

例えば、小学校で□を使ってやってたのを文字xに変えたものが方程式なんだよとか。みんなが知ってるであろうところからスタートして、それを発展させたものが中学で習うこれなんだよ。だから知っていることだよ。全然怖くないよ。大丈夫だよって(笑)

みんなが知ってるものといかに中学数学が結びついているのかっていうところを、色々工夫して書いたつもりなので、そこを注目していただけると理解も深まると思うし、理解しやすくなると思うので。理解のバリアフリーをしてる部分がたくさんあると思います。

現役の中学生はもちろん両親の学びなおしや、小学生の子どもにもおすすめ!

現在、数学の学習内容につまづいている中学生のお子さんはもちろん、中学校の数学がいかに小学校の内容とつながっているかもわかるので、小学生のお子さんにもおすすめ。読むことで、勉強にやる気がでそうです。

また、もう一度数学を学びなおしてみたいと思いパパママにもぴったり。各章を1日ずつ読んでいけば、5日間で中学数学をやり直しできます。ぜひチェックしてくださいね。

爆速でやり直す中学数学
価格:1,760円(税込)
販売:SBクリエイティブ

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    数学教師芸人で日本お笑い数学協会 会長。「老若男女に算数・数学の楽しさ」を伝えることと、「算数・数学嫌い」をなくすために各地を飛び回り、ユニークでわかりやすい授業は子どもに大人気! 監修したドリル『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)も大ヒット中。YouTubeチャンネル『スタフリ』やオンライン授業『算数わくわく探検隊』、 RKB毎日放送『算数わくわくラジオ』でも算数のわくわくを届けている。
    公式ホームページ https://www.takata-anzan.com
    公式X(旧Twitter)https://x.com/takatasenseiw
    公式Instagram https://www.instagram.com/takatasennsei/

取材・文/長南真理恵

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