算数ドリルマニア2人が激推しする【低学年向け】ドリルはこれだ!夏休みに算数を苦手にさせない「使いやすく楽しい」ものを

夏休みに入り、宿題のほかになにか課題を…とお探しの方も多いかもしれません。
今回は算数ドリルを知り尽くした算数ドリルマニア吉田真也先生と数学教師芸人タカタ先生という最強コンビに、算数ドリルについてお聞きしました。初回は【低学年向け】算数ドリルについて、選び方とおすすめをご紹介します!

吉田真也先生&タカタ先生によるドリル選びのコツ!

まずはお二人提案のドリル選びの極意をご紹介。数あるドリルから、子どもに合うドリルを選ぶ際のちょっとした選び方のコツを教わりました。

【1】子どもの学力に合ったドリルを選ぶべし!

親としては、学力アップを狙ってつい一段上のレベルのドリルを選びがち。しかし学力以上のものは、子どものやる気につながらないため、レベルに合ったものを選ぶのが重要です。

【2】ドリル冒頭の前書きは必ず読もう!

大体のドリルの冒頭には前書きがあります。そこにはこのドリルがどんな内容なのか、著者がどんな思いで作成したのかが書いてあり、ドリル選びの大事な判断要素に。

【3】低学年は大きいサイズで文字が大きいものを!

ドリル自体のサイズが大きいと、子どもがのびのび書けます。また情報が見開きでドーンと出てくるとわかりやすさもアップ。文字も大きな文字で書かれていると、子どもの心理的には“簡単な問題だ”と認識されるそう。特に勉強が得意でない子にとっては、大判で大きな文字のものを選ぶとドリル学習へのハードルが下がります。

【4】売れているドリルのプレ版を探せ!

吉田先生いわく、売れ行きのいい大ヒットドリルは、次回作にプレ版を発売することが多いそう。低学年向けのドリルを探す際、ヒット作のプレ版を探してみるのはいいドリルに出合うためのちょっとしたコツ。

【5】子どもに選ばせるのも手!

一緒に書店に行き、「これとこれではどっちがやりたい?」と聞いてみるのも有効。自分で選んだことで、やる気アップにつながります。

算数ドリルマニア・math channelの吉田真也先生

ひと言で小学校の算数と言っても、学年により学ぶ内容やつまずきやすいポイントは異なります。今回は“小学校低学年向け”に限定した、ドリルをピックアップ。低学年の子どもがやってみたい!と思えて、しっかり力のつくものばかりです。

ゲーム感覚がうまく導入されているこの2冊のドリルは低学年の入門編におすすめ!

ここからはお二人のおすすめのドリルをピックアップ。それぞれの魅力を対談形式で紹介してもらいます。

ポケモンずかんドリル (1年生)』

ポケモンずかんドリル 小学1年生 すう・ずけい・たんい
発行:小学館 価格:1078円(税込)

マインクラフト 公式ドリル さんすう ステップ2』

マインクラフト公式ドリル さんすうステップ2
発行:小学館 価格:935(税込)

 

吉田先生「算数の入門時期に、今まで子どもたちが遊んでいたゲームと勉強をうまく橋渡ししてくれるのが、『ポケモン』や『マイクラ』のキャラクターもの。これは親御さんがこれだけを買って渡すというよりは、書店でキャラクターものと通常のドリルを並べて「どっちをやりたい?」と子ども自身に選んでもらうと、意欲にもつながります

マインクラフト 公式ドリル さんすう ステップ2』は、小学校の先生が監修に入られているので中身もしっかりしていますし、マイクラの立方体の世界は算数との相性もいい。例えば、算数を学ぶ上で重要な“位取り”を、マイクラのブロックをうまく使って表していて、子どもにもわかりやすいです。

タカタ先生「ポケモンのほうはやはりキラキラシールがついているのが大きい。シールを貼るってだけで、子どもはテンションが上がるんですよ。実際に大手の学習塾でも、課題をクリアしたらシールがもらえるところがあって、そのシール欲しさに子どもが頑張るんですね。大人にとっては嘘みたいな話ですが、シールは馬鹿にできません。

ゲーミフィケーションという言葉があるんですが、子どもも大人もなぜゲームに夢中になるのか。そのポイントは2つあって、ひとつは人は難しすぎるものと簡単すぎるものを退屈に感じるんです。難しすぎず、簡単すぎない、ちょうどいいレベルのものってことがポイント。もうひとつが報酬。ゲームはクリアした時に、音なり光なりコインなりで、クリアしたことを認めてくれるじゃないですか。その2つがあると人間は沼ってしまうらしいんですよね。

それをドリルに当てはめると、シールは子どもにとって立派な報酬だし、ドリルは自分のレベルに合ったものを選ぶことが大切。この2冊はドリル学習の導入としては素晴らしいと思います。

「このドリルをやることで、自然とマイクラの世界と算数の世界が子どもの中で繋がって、マイクラをやればやるほど算数の感覚が磨かれていくと思います」(吉田先生)
「マイクラのドリルは状況説明の文字が多いですね。読解力がないことで算数が伸び悩む例が多いので、読解力を磨く意味でもいいです」(タカタ先生)

計算の反復と読解力、どちらも大事なので両極端な2冊を揃えて

吉田先生「昨今、『100マス計算ドリル』がすごく売れていますが、低学年でいきなりこれをやるのは結構きついです。実際に教室でやってみたときに、計算の仕方にピンと来ない子が多く、この100マス計算というシステム自体が低学年にはハードルが高いんです。

『陰山英男の徹底反復 プレ百ます計算』

陰山英雄の徹底反復 プレ百ます計算
発行:小学館 価格:660円(税込)

陰山英男の徹底反復 プレ百ます計算』は、100マス計算の入門編におすすめです。最初は普通のドリル形式で、あとは100マスに繋げられる1行だけのマス計算が出てくるので、100マス計算への橋渡しができると思います。

算数と国語を同時に伸ばすパズル 初級編』

算数と国語を同時に伸ばすパズル 初級編
発行:小学館 価格:660円(税込)

タカタ先生「『陰山英男の徹底反復 プレ百ます計算』と『算数と国語を同時に伸ばすパズル 初級編』は両極端なんです。『隂山メゾット』は“徹底反復”と書いてあって、計算の瞬発力と体力を養うみたいな感じですかね。面白いのがおんなじ問題が7日間分くらい連続で載ってるんですよ。徹底反復なので問題の並びも同じ。とにかくやりなさいと。特徴は時間を計るってことですね。タイムが縮まっていくことでモチベーションを保てる内容です。

同じ式が同じ順番で6日分や7日分あります。毎日同じ計算を重ねるのが特徴。

僕も計算好きなので、こういう100マス計算を夢中になってやっていたタイプで、やっていると“計算ズハイ”みたいになるんですよ。どんどんやっていくと答えが浮かび上がってくるようになるんです。昔、進研ゼミの漫画で見た名言が一個あって。「すごい! 答えがどんどん浮かんでくる! 答えが浮かんでくるのに手が追いつかねえ」っていう(笑)。でもね、実際にこれってあるんですよ」

吉田先生「ありますね」

タカタ先生「そういう体験を得やすいものだし、計算ズハイになると計算の瞬発力とか基礎体力がつくんで、大学受験などこの先の数学の学習において圧倒的に有利。体力がないとどんなスポーツもやる気が起きなくないですか? 計算も同じで、いろいろな意見がありますが、基礎体力は大事だと思いますね」

吉田先生「楽しんでやれるんだったらやったほうがいいと思います」

吉田先生「その対極が『算数と国語を同時に伸ばすパズル 初級編』。こっちは思考しながら何回も計算を重ねるうちに反復ができて、計算が早くなります。

あと、隂山メゾットは式から答えますが、宮本ドリルは「5になる組み合わせを考えよう」のように、答えから式なのでそもそも計算の練習の方法が違うんです。

--どちらも魅力的なのですね。どっちをやるべきでしょうか?

タカタ先生「どっちもです。結局バランスだと思いますね。基礎の計算ができていないと計算体力がないから伸び悩むし、柔軟な思考、論理的に詰めてくみたいなこともないと、そちらで伸び悩む

--小学校低学年のうちに計算の素地を固めておいて、それがあっての思考力ということですね。

吉田先生「2冊を交互にやるといいかもしれません。計算ばかりだと飽きることもあるだろうし、逆に宮本ドリルばかりだと毎回ページが進むのが遅い分、嫌になったりするので。

タカタ先生「前書きを読むと「絶対に答えは見ないでください」とあります。これは、宮本ドリルの特徴で、解けることに意味があるんじゃないです。解こうと試行錯誤することに意味があるんです。解こうと試行錯誤したときに人間は賢くなるんです」と。

--答えを見ないでとは宮本ドリルだけのことですか?

タカタ先生「このドリルに関してだけですね。答えが出ない場合は答えを見るんじゃなく、解きたくなったときに解けばいい。解けるときがあるんです」

吉田先生「ヒントを出すことでやる気が持続するようなお子さんだったら、例えば1か所だけこうだよ、ってヒントを出すのもありかもしれないです。でも、これを作ってる著者としては、もうそれすらやらせない方法」

タカタ先生「それをするから子どもはできなくなるんだ!」って(笑)。

吉田先生「この本の初版のときに、お母さんこのドリルをそれとなく置いておいてください。って書いてあったんです」

タカタ先生「はいはい! 言いたかったことです。親の心理としては買ったからやってほしいって思うじゃないですか。それが危険なんですよ。僕もドリルを作っているので、イベントの際に物販するんですよね。そうすると子どもは僕の授業を見て面白かったな、先生のドリルをやってみたいなって言うじゃないですか。そうするとお母さんが言うんですよ。「あんたほんとにやるの?この間もそういってやんなかった!どうせやんないんじゃないの?」って(笑)。それではやらないよ!って思うんですよね(笑)。強制せずに、親がドリルをやってみるのもいいかもしれないですね。親子でスピード対決してみるとか」

--親が負けちゃうかもしれない(笑)

タカタ先生「負けていいんですよ。だいたいね、教えるママよりも教わるママのほうが子どもは伸びるって言いますから」

吉田先生「それはありますね。教室でも保護者の方が先に入ってきて、問題についてこれを聞きたい!知りたい!教えて欲しいって言ってくる方がいて、その方のお子さんを見るとやっぱり!って納得することが多いのです。いい関係性だなと思いますね」

ドリル選びだけじゃない!子どもとの向き合い方も大事

2人の先生からお話を聞いて感じたのは、子どもに合ったドリルを選ぶのはもちろんのこと、ドリルを強制しないこと、時には子どもに教わってみたり、親子で対決してみるなどの子どもとの向き合い方の重要性でした。

また、低学年ですでに算数に苦手意識がある場合はどうすればいいか、吉田先生に聞いてみると「今回は算数ドリルの紹介をしましたが、算数はいろんな楽しみ方があるので、算数の絵本や漫画などで算数の世界ってもっと広いんだよっていうのを伝えていくのは1つの手かなと思います。あとは問題が解けることが好きな子は、親子で一緒にチャレンジすると好きになる子もいます」とアドバイスをいただきました。

中学年、高学年ドリルの記事にも「選び方のコツ」を紹介しています

本記事に紹介しきれなかった選び方のコツは中学年、高学年ドリル紹介記事にも掲載しています。

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吉田真也|math channel(マスチャンネル)
算数・数学の面白さを体験できるような機会を様々な切り口で届けている『math channel(マスチャンネル)』にて、講師や教材・コンテンツ開発を担当。大学院では算数・数学教育の研究をしていたことも。算数ドリルを語らせたら右に出るものはいない自他ともに認める算数ドリルマニアで、自宅には絶版になったものや外国のドリルなどを含めた算数系の書籍を800冊以上を収集しているそう。ちなみに算数セットも各社のものをコレクションするほど大好きなんだとか。公式X(旧Twitter)https://x.com/shinya_workshop
math channel のホームページ https://mathchannel.jp/
math channelのYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@mathchanneltv
  • タカタ先生|数学教師芸人
    数学教師芸人で日本お笑い数学協会 会長。「老若男女に算数・数学の楽しさ」を伝えることと、「算数・数学嫌い」をなくすために各地を飛び回り、ユニークでわかりやすい授業は子どもに大人気! 監修したドリル『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)も大ヒット中。YouTubeチャンネル『スタフリ』やオンライン授業『算数わくわく探検隊』、 RKB毎日放送『算数わくわくラジオ』でも算数のわくわくを届けている。
    公式ホームページ https://www.takata-anzan.com
    公式X(旧Twitter)https://x.com/takatasenseiw
    公式Instagram https://www.instagram.com/takatasennsei/

取材・文/長南真理恵 写真/五十嵐美弥

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