算数を苦手に感じる子が増える3、4年生のドリル選びは「四則」のバランス良いマスターが超重要!子どもに合うものの選び方を算数のプロが激推し

算数ドリルを知り尽くした算数ドリルマニア吉田真也先生と数学教師芸人タカタ先生の最強コンビに、おすすめしたい算数ドリルを教えてもらいました。今回は算数嫌いになる子も増えるという小学3年生、4年生の「中学年向け」おすすめドリル4選と、その魅力を対談でお話しいただきました。

小学校中学年向けのドリルをセレクト

四則(たし算、ひき算、かけ算。わり算)ができるようになる中学年は、低学年に比べて算数を苦手に感じる子どもが増える印象。ここでしっかり学習内容を定着させることで、続く高学年の単元でも、苦労せずに学ぶことができそう。ここでは、バリエ豊かな計算問題と、変わり種のドリルを紹介してもらいました。

たし算、ひき算、かけ算、わり算をミックスして解けるドリルを選びたい

賢くなるパズル 計算シリーズ 四則・ふつう (宮本算数教室の教材 10)

賢くなるパズル 計算シリーズ 四則・ふつう
発行:Gakken 価格:792円(税込)

低学年編でも紹介した、宮本哲也著の宮本ドリルシリーズ。

吉田先生中学年になると四則(たし算、ひき算、かけ算、わり算)が全部できるようになるので、ミックスして練習することが結構重要です。子どもは賢いので、今教科書でわり算の勉強をしているから、テストの文章問題もわり算で解くんだろうとか、予想してやってしまう。なので、計算問題は四則をミックスして練習すると力がつくと思います。このドリルはかけわり、たしひく、全部出てくるのでその練習ができるのがいいですね。

タカタ先生特にかけ算の分解。「かけて12になるもの」「3つかけて30になるもの」など、ちょっと考える問題を反復できるのがいいです」

吉田先生「これって結局5、6年生の約分とか通分にそのまま出てくるので」

タカタ先生素因数分解、公倍数、公約数、こういうのに全部つながります。学校ではあんまりかけ算の分解の反復ってしないですね。わり算って要はかけ算の分配ってこと。例えば「30÷5っていうのは、305×なにですか」っていうことですけど、子どもたちのなかでそこがイコールになっていないですよね。そういう意味でもかけ算の分解の反復がしたほうがいいと思います」

ナンプレ的なパズル要素で学習すると一石二鳥

吉田先生「あとは3,4年生になってくると理詰めができる発達段階になってきます。例えば「こことここの数字はこうだから、次の列にこの数字は入らないな」みたいな思考が育ってくるので、このドリルのようにナンプレ的なパズル要素があるもので計算練習すると、そういった思考もより育って一石二鳥かなという気もします。

「これ1枚トイレに貼って、鉛筆を置いておくのもいいですね。僕も昔実家のトイレのタイルを見ながら、この色のタイルで模様が作れるなとか、ここは何×何になっているなとか考えていたんです。そんなふうに机だけじゃなくて、時間があるときに考えるといいのかもしれない」(タカタ先生)

流行りの二桁暗算のドリルが豊作!計算の仕組みを知ることも大事

99×99 スイスイ暗算できる最強ドリル』『徹底反復百ます計算』

小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル
発行:小学館 価格:1,200円(税込)

陰山メソッド 徹底反復 百ます計算
発行:小学館 価格:660円(税込)

 

吉田先生「日本って定期的に暗算ブームになるんですよ。今はそのブームの最中。暗算にはいくつか流派があるんですけど、『99×99 スイスイ暗算できる最強ドリル』は、『あゆみ算』という流派」

タカタ先生「このドリルのいいところは非常にスモールステップで、計算のやり方がわかりやすいように線や文章で示されるなど工夫が見られるところ」

吉田先生「ほかのタイプだと前半ページにやり方がどーんって書いて、あと練習問題だけっていうものが多い」

タカタ先生「僕も同じような本を作ったのでよくわかるんですよ。僕の本と比べるととっても丁寧。悪いところをあげるとするならば、なんでこのやり方で答えが出るのかっていう仕組みが書いていないところですね。

吉田先生「タカタ先生の『小学生のためのバク速!計算教室』は、それが全て書いてありましたね。小学生向けの計算本で、なぜこの計算が成り立つのかの仕組みが書いてあるのは意外と画期的なんです。

タカタ先生「正直、こういう裏技本は僕も監修したり書いたりしている立場ではありますが、あまり実用的ではないんですよ。”99×99まで暗算でできる”とありますが、たぶんこの本を書いた先生も2桁×2桁は暗算では計算せず、補助でひっ算を書いていると思うんです。

この本は教科書的なひっ算を途中式を書かなくても答えが出るよね、っていう内容なんですけど、暗算にこだわらず、計算の練習っていう意味ではいいと思いますね。頭の体操として大量に計算をするし、脳トレの教材としては面白いかなと思います」

計算の工夫を知るのは、計算を好きになるひとつのヒント

吉田先生日本のひっ算って結構よくできているんです。国によってひっ算のやり方は全然違って、特にわり算はすごく個性があります。日本のやり方は素直だなっていうやり方」

タカタ先生「インドのひっ算だと、数字を分解してできるだけ簡単な計算に組み替えようみたいな発想です。こういった計算の工夫を知るのは、計算を好きになるひとつのヒントかもしれない」

吉田先生「このドリルにあるような計算方法を子どもたちが工夫の一つだととらえてくれるといいですね。そしてこれってどういう仕組みなの?って興味を持ってくれるとより嬉しいかな」

タカタ先生「『99×99 スイスイ暗算できる最強ドリル』は脳トレにいいと言いましたが、同じように今人気の徹底反復百ます計算もいいと思います。低学年編でもお話しましたが、徹底反復することで計算の瞬発力と体力を養うことができます。これでどんどん計算することで、大学受験などこの先の数学の学習において圧倒的に有利だと思いますね

取材チームにもわかりやすいよう、そばにあったホワイトボードに書き込んで丁寧に教えてくれるタカタ先生

3年の壁、4年の壁がある学年こそ、別角度のドリルでやる気UP

『論理的思考が育つ 10歳からのフェルミ推定』

10歳からのおもしろ!フェルミ推定
発行:くもん出版 価格:1,320(税込)

フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいような捉えどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること。

吉田先生「他の学年と比べてみるとよく分かるんですけど、34年生の算数って計算の単元が占める割合が多いのが特徴なんですよね。

タカタ先生3年の壁、4年の壁とか言われますね。数って、最初は012345~の整数から入って、その整数の四則演算があるじゃないですか。そして分数、小数って新たな数の概念が出てきて、この概念を腹落ちさせるのに大変な上、さらにその数を使って計算をするっていう。そこら辺が一気に襲いかかってくるのが3年、4年生なんですね」

吉田先生ラスボスはわり算のひっ算です。わり算のひっ算って“和・差・積・商“全部できないと解けない。4年生の子にわり算のひっ算を1問解いてもらうだけで、この子はここがつまずいているんだなっていうのがわかってしまうのが恐ろしいところ

タカタ先生「人間ドックだと思ってください(笑)」

吉田先生「商をたてて、かけ算やたし算をして、ひいてって全部出てくるので「やりたくない」ってなりがちですね。そういうのが34年生で続いてこれは何の為やってるんだろうと思ったときに、『論理的思考が育つ 10歳からのフェルミ推定』のような、ちょっとやる気が起きるような、普段学んでることに実感が湧くようなドリルをやってもいいんじゃないかなって思いますね」

「大きな数が結構出てくるのも特徴です。教科書に億や兆などが出てくるけど、大きな数は使ったことがないと子どもたちには実感がわきにくいので、これだとイメージがわきやすいと思います」(吉田先生)

問いを見ると子どもがやりたくなる!小学校で習う要素もバッチリ

タカタ先生「フェルミ推定の本は大量に出ているんです。僕もフェルミ推定の本を書いたんですけど外しているんですよ(苦笑)。でもこの本はまず問いが面白い。だいたい就職試験で出るような問題だと「日本に電柱が何本あるでしょう」「スポーツジムの年間の売上は全体でどれくらいでしょう」みたいなもの。

それに対してこれは「1日に日本のみんながするうんこの数は合わせて□個?」とか「給食のスパゲッティ、全校生徒分つなげた長さは?」「プールにタピオカミルクティーMサイズは〇杯入る?」とか、問題を聞いただけで興味をひかれてなんとなく絵も浮かぶし。

しかも小学校で習う要素をいろいろ入れ込んでるんですよ。 計算で言うとかけ算やわり算、そもそもフェルミ推定ってざっくり答えを出せばいいから、概数とか概算の考え方。さらにスパゲッティ1本の長さだとセンチで出るけれど、全校生徒分ってなるとセンチをメートルに変えて、さらにキロに変えてって単位変換が入っていたり、割合が入っていたり。

math channelの得意技『身体尺』も学べる

タカタ先生スパゲッティ1本分って何センチかなって想像したときに、自分の手のひらで表すと何個分かな?って考えられる。これは著者のmath channel(吉田先生も所属する算数、数学の企画クリエイター集団)の得意技なんです。これは『身体尺』と言って自分の体を物差しにしようという考え方

同じ10センチでも、身体尺が頭にあると自分の体のなかでここが10センチだから、数字と記号が自分のその実体験に基づくものに変換される。悔しいけどね、よくできてる!て改めて思いましたね」

吉田先生「あとはフェルミ推定はざっくりした答えを出しますが、生活するなかで計算するときは結構ざっくりでいいことが多い98だったらだいたい100でいいかとできるようになる力も実は算数で重要なんだと思うので、 ざっくりと正確なのと、色々どっちもできるようになるのがいいですね」

ドリル学習で3年生の壁、4年生の壁を乗り越える!

中学年になると算数につまずく子が多い印象でしたが、実際に『3年生の壁、4年生の壁』と呼ばれているほど、苦手に感じる要素があったことを今回知ることができました。吉田先生の「ラスボスはわり算のひっ算」という言葉にも納得! 子どもがなるべく”壁”を感じないように、さまざまなドリルを取り入れながら、算数を学んでいけたらいいですね。

低学年、高学年ドリルの記事にも「選び方のコツ」を紹介しています

本記事に紹介しきれなかった選び方のコツは低学年、高学年ドリル紹介記事にも掲載しています。
算数が苦手なお子さんは学年表記に捉われずお子さんの理解や苦手な単元でドリルを選ぶことをおすすめしています。振り返りや上の学年になる心構えに、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

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吉田真也|math channel(マスチャンネル)
算数・数学の面白さを体験できるような機会を様々な切り口で届けている『math channel(マスチャンネル)』にて、講師や教材・コンテンツ開発を担当。大学院では算数・数学教育の研究をしていたことも。算数ドリルを語らせたら右に出るものはいない自他ともに認める算数ドリルマニアで、自宅には絶版になったものや外国のドリルなどを含めた算数系の書籍を800冊以上を収集しているそう。ちなみに算数セットも各社のものをコレクションするほど大好きなんだとか。公式X(旧Twitter)https://x.com/shinya_workshop
math channel のホームページ https://mathchannel.jp/
math channelのYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@mathchanneltv
  • タカタ先生|数学教師芸人
    数学教師芸人で日本お笑い数学協会 会長。「老若男女に算数・数学の楽しさ」を伝えることと、「算数・数学嫌い」をなくすために各地を飛び回り、ユニークでわかりやすい授業は子どもに大人気! 監修したドリル『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)も大ヒット中。YouTubeチャンネル『スタフリ』やオンライン授業『算数わくわく探検隊』、 RKB毎日放送『算数わくわくラジオ』でも算数のわくわくを届けている。
    公式ホームページ https://www.takata-anzan.com
    公式X(旧Twitter)https://x.com/takatasenseiw
    公式Instagram https://www.instagram.com/takatasennsei/

取材・文/長南真理恵 写真/五十嵐美弥

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