【プロが激推し!高学年におすすめの算数ドリル】特に難関なのは「割合」。 夏休みに五感を使い時間をかけて理解を深めるアプローチを

算数ドリルを知り尽くした算数ドリルマニア吉田真也先生と数学教師芸人タカタ先生の最強コンビに、おすすめしたい算数ドリルを教えてもらいました。難しい単元も増える小学5、6年生の【高学年向け】にはどんなドリルがおすすめなのでしょうか。タイプ別に選び方をご紹介します!

小学校高学年向けのドリルをセレクト

算数の難易度が上がる高学年は、紙で学習するだけでなく、実際に手を動かすことで理解が深まります。そこで高学年向けのドリルは、付録等が充実した目でも手でも体感できるドリルをセレクト。ほかにも教科書とは違った視点で学べるもの、学んでいることを生活に活きていると実感するものと、楽しく勉強に取り組めるラインナップです。

中学入試をする子もそうでない子も「江戸算数」を解いておくといい

絵解き 和算ドリル: 図形・文章題に強くなる!』

『絵解き和算ドリル』
発行:小学館 価格:1,320(税込)

吉田先生中学入試の算数では、日本古来の手法が結構出てきます。中学校の内容をやらせるわけにはいかないので、小学校の範囲をいかに難しくするかってなると、こういうことになってくるわけなんですが、この本は江戸時代の日本で独自に発展した算数・数学『和算』に特化したドリルです」

タカタ先生「中受の入門書としては非常にいいですね。全編イラストで図解がついていたり、色付きパズルがついているのもいい。『VAK』と言って、人間の認知のタイプは3種類あると言われているんですが、Vは視覚(Visual)、Aは聴覚(Auditory)、Kは体感覚(Kinesthetic)で、要は視覚的に説明されると理解しやすい人、論理とか言語で説明されると理解しやすい人、実際に手や体を動かすと理解しやすい人がいるということです。

基本的に算数はAの聴覚で説明しがちですが、この本は視覚だったり、試しに書いてみたり、石を並べてみたり、体感しやすいところも魅力」

「歴史好きな子は、江戸時代にはこんな計算があったんだって興味がわくかもしれないですね」(タカタ先生)

夏休みの自由研究にもおすすめ

吉田先生夏休みの自由研究にもいいと思います。例えばこれに出てくる『油分け算』。5リットルと3リットルと2リットルが入ってるカップがあって、これをどんどん移し替えて1リットルと4リットルに分けましょうという問題。これを6リットルに変えたらどうなるのかなとか。それを考えてまとめれば、自由研究になりますね。

もっと簡単に『裁ち合わせ』と呼ばれる色板のパズル問題を参考に、自分なりのオリジナルの形を作ってみるでもいいし、この本をステップにして自由研究にするのはおすすめです」

タカタ先生問題の数字や形を色々変えて、変えた問題を自分で解いて、複数の問題と答えを表にして、それを観察して気付いた法則をまとめる。もう立派な自由研究ですね

高学年の鬼門「割合」をマスターするならこれ

吉田先生高学年の算数のなかで特に難関だと思うのが『割合』。この割合を、日本の教科書の教え方とは少し違う“こっちの方が子どもたちにしてみれば自然なやり方と感じる子どもたちが多いんじゃないか?”っていう教え方を分かりやすく世に初めて出した本だと思っていて。

著者は元々小学校の先生なんですが、教科書には比べられる量÷もとにする量=割合という公式があるけれど、「割合を分数で考えたらわかりやすいよね」っていう考えが根底にあると思います。なので、教科書とは少し違ったアプローチで割合を学んでみたい方にはおすすめ。内容も漫画仕立てで、取り組みやすいと思います」

わくわく算数忍者〈6〉割合入門編』

わくわく忍者<6>割合入門編
発行:文溪堂 価格:1,100円(税込)

わくわく算数忍者〈7〉割合修行編』

わくわく忍者<7>割合入門編
発行:文溪堂 価格:1,100円(税込)

 

タカタ先生わり算と比と分数と割合って根本は全部同じなんですよ。雑談ですけど、日本のわり算の記号は÷書きますけど、外国だと/と書く国もあるんです。これって日本では分数のことですよね。つまり本質は同じということですね」

「日本の子どもたちって、外国に比べて分数に割合のイメージが結構ついています。その分数をもうちょっと割合に活かしていけば、もっと割合が分かる子が増えるんじゃないかなと。個人的にも子どもの頃に、割合を分数で考えることでストンと腑に落ちた経験があるのも、おすすめする理由です」(吉田先生)

今まで習ってきた算数を現実社会と繋げるのもおもしろい

おしごと算数ドリル ビジネス×計算』

おしごと算数ドリル
発行:学研プラス 価格:1,540(税込)

吉田先生「『おしごと算数ドリル』は、中学年編出てて来た『フェルミ推定』と同じで、今まで習ってきたことが社会でどのくらい使われていくか、仕事にどう役だっていくのがわかるので、これを解くことで算数が面白くなっていくんじゃないかな。

この本を監修した探究学習塾でアルバイトをしていた際、授業を受けて面白かった記憶があって、そのエッセンスがそのまま入っていているのがいいですね」

タカタ先生「子どもって職業体験が好きですよね。そういう意味でも興味を引きそうだなと思います」

吉田先生「このほかにも『デザイン×図形編』という図形が学べるものもあるので、そちらもおすすめです」

「利益ってどういうことなんだろうとか、それがわかるだけでも面白いです。あとはグラフがこじつけでなく、内容にうまくマッチするように組み込まれているので、グラフについても学びやすいと思います」(吉田先生)

空間認識、立体や切断は手を動かすのもおすすめ

立方体の切断の攻略 (受験脳を作る)』

立方体の切断の攻略
発行:学研プラス 価格:1,540円(税込)

吉田先生「ドリルっていうと、紙のみで収まってしまうものが多いんですけど、これは透明の立方体ケースと図形カードがついていて、手を動かして遊べるのが画期的。問題を解き終わったあとに、この教材で確認し、学ぶことができます」

こんな風にドリルと一緒に、透明の立方体ケースといろいろな図形カードが入っています。

吉田先生「立体を切るっていう問題が中学受験で出てくるんですけど、これをペーパー上で考えるって実は至難の技。切断面の書き方の方法はあるんですけど、それだけやってもポカンってなってしまうと思うので、こうやって手を使って学べるのはいいですね。これは先ほども話に出たVAKK=体感覚(Kinesthetic)の部分です」

「「この3点を通るような平面ってどんな形でしょう」のような問題を、実際は見取り図と言って、紙の上に立方体の絵を描いて、ここを結んでって解き方の手順はあるんですけど、これは実際に見ることができます」(タカタ先生)

吉田先生「高学年になると、だんだんペーパーだけで済ませるみたいなところが多くなってくるけれど、1年生でブロックを使って学んだように手を動かすことは高学年にとってもいいことなんじゃないかなと」

タカタ先生「絵で表した際、点を結んでいったときに、四角形ってことはわかるけど、それが長方形なのかひし形なのかはわかりにくい。これは、図形を立体にはめてみることで、ひし形なんだとわかるんです」

図形カードにはなんの形かわかるように『ひし形』などと書かれていて、ひと目で確認できます。

実際に見る、触ることでわかることがある

吉田先生「やっぱり実際に見るって理解に直結する。アプリで立方体の展開図が手軽に見られたりしますが、実物を見たことがない子が見たら、どういう風にイメージするのかは気になりますね」

タカタ先生「最近はトランプやサイコロを知らない子もたまにいて、それだけでサイコロとかトランプの問題は圧倒的に不利ですよね。実際に触ったことないから。そういう意味では触るっていうことは大事だと思います」

実は教師向けの教育書売り場もドリル選びの穴場

ドリル売り場と言えば、書店の参考書コーナーで探すのが通常。でも、今回タカタ先生が持ってきてくださった私物ドリルのなかには、教師向けの教育書売り場で購入できる問題集もいくつかありました。実は教師向けにも親が読んだり、子どもが解いて面白い問題集がたくさんあるのだそう。

参考(写真右から):気軽に始める学び合い算数好きを増やす授業づくり「算数おもしろ問題100 」「算数おもしろ問題60」「授業場面でわかる!算数用語ハンドブック」

タカタ先生私物の本。

タカタ先生「一番おすすめは写真左から2番目の授業で使える! 算数おもしろ問題60』。編著の細水保宏先生は、元々公立学校の先生を経て長年筑波大付属小学校で先生をされていた方で、算数の授業は問題が7割、教え方が3割という考え方。どんなに授業がうまい人でもつまらない問題を出題したら、子どもは食いつかないよねという方針です」

吉田先生「この問題集は学年別で単元別の問題が載っていて、ほかにはないようなおもしろい問題がたくさん載っているんですが、子どもたちにこうやって問題を出したらおもしろくなるよな、という先生たちのバックグラウンドがあるのでおもしろさの視点が違うんですよね」

この本の題材の面白さを、実際にホワイトボードで紹介してくれました。「この数字にはなにか規則性がありませんか?」という質問を子どもたちに投げかけて、出てきた答えを聞きながら授業を進めるのだそう。

吉田先生「授業というベースがあるので、通常のパズル本の問いとはまた違う面白さがあります。僕自身も子どもの頃、面白い問題に出合ったことから算数がどんどん好きになりました」

気になった方はぜひ教育書売り場をチェックしてみてくださいね。

難しさが増すからこそ手を動かして理解しよう

単純な計算問題だけでなく、割合や図形など難しい単元が多い高学年。理解を深めるためには可視化できる教材を取り入れることが有効だとわかりました。『和算』は主に中学受験を考えている家庭向けではありますが、歴史好きな子どもも喜んで取り組めそうでおすすめです。

夏休みに下の学年のドリルで地盤を固めるのもオススメ!

本記事に紹介しきれなかった選び方のコツは低学年、中学年記事にも紹介しています。算数が苦手なお子さんには学年表記に捉われずその子の理解や苦手な単元でドリルを選ぶことをオススメしています。

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吉田真也|math channel(マスチャンネル)
算数・数学の面白さを体験できるような機会を様々な切り口で届けている『math channel(マスチャンネル)』にて、講師や教材・コンテンツ開発を担当。大学院では算数・数学教育の研究をしていたことも。算数ドリルを語らせたら右に出るものはいない自他ともに認める算数ドリルマニアで、自宅には絶版になったものや外国のドリルなどを含めた算数系の書籍を800冊以上を収集しているそう。ちなみに算数セットも各社のものをコレクションするほど大好きなんだとか。公式X(旧Twitter)https://x.com/shinya_workshop
math channel のホームページ https://mathchannel.jp/
math channelのYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@mathchanneltv
  • タカタ先生|数学教師芸人
    数学教師芸人で日本お笑い数学協会 会長。「老若男女に算数・数学の楽しさ」を伝えることと、「算数・数学嫌い」をなくすために各地を飛び回り、ユニークでわかりやすい授業は子どもに大人気! 監修したドリル『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)も大ヒット中。YouTubeチャンネル『スタフリ』やオンライン授業『算数わくわく探検隊』、 RKB毎日放送『算数わくわくラジオ』でも算数のわくわくを届けている。
    公式ホームページ https://www.takata-anzan.com
    公式X(旧Twitter)https://x.com/takatasenseiw
    公式Instagram https://www.instagram.com/takatasennsei/

取材・文/長南真理恵 写真/五十嵐美弥

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