「スポーツクライミング」は子どもにおすすめ? ボルダリングとの違い、メリットや注意点を解説

スポーツクライミングは、世界的な大会での日本人の活躍もあり、近年注目の競技です。子どもの習い事としては、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 競技の概要やボルダリングとの違い、気になる疑問も紹介します。

スポーツクライミングとは

各種メディアの報道などで、「スポーツクライミング」という名前を聞いたことがある人は、多いかもしれません。競技の詳細や、ボルダリングとはどう違うのか解説します。

突起物を利用して壁を登る競技

スポーツクライミングは、「ホールド」と呼ばれる突起物を利用して壁を登る競技です。ホールドは自然の岩や、人工的に作られた突起物全般を指します。

種目は2人の選手が同時に15mの壁を登る速さを競う「スピード」、制限時間内に複数の課題をこなす「ボルダー」、高さ12m以上の壁を制限時間内にどこまで登れたかを競う「リード」の3種類です。

2024年のパリオリンピックでは、「ボルダー&リード」と「スピード」の2種目で競われました。

出典:【NHK】スポーツクライミングのオリンピック競技ガイド

ボルダリングとの違い

スポーツクライミングの種目は、かつて「スピード」「ボルダリング」「リード」の3種類でした。

ボルダリングが「ボルダー」に改称されたため、現在正式なスポーツクライミングの種目名として、ボルダリングは存在しません。改称は日本山岳・スポーツクライミング協会が進めたもので、国際スポーツクライミング連盟が使用している名称に合わせるために行われていました。

ボルダリングの名称が変更されたのは、2024年パリオリンピックのことです。前回の2020年東京オリンピックでは、「ボルダリング」が使われていました。

しかし、「ボルダリング」という用語自体は、現在でも使われており、使用に問題はありません。もともと英語では「ロープを使わず低い位置の岩を登る行為」をボルダリングと呼びます。

出典:「ボルダリング」から「ボルダー」へ JMSCAが名称変更|CLIMBERSはクライミング、ボルダリングをテーマにした総合WEBサイト

スポーツクライミングを子どもが習うメリット

子どもがスポーツクライミングを習うと、どのようなメリットがあるのでしょうか?  定期的に通うことで身に付く能力や、主な利点を紹介します。

基礎体力が身に付く

子どもがスポーツクライミングを習うことで、体力の向上や基礎的な運動能力を身に付ける効果が期待できます。

全身を使い、ホールドをつかんで壁を登るため、腕や足の筋力が必要です。また、全身を支えるために、腹筋や背筋なども鍛えられるでしょう。

落ちないように壁を登り、安全なところまで降りてくるには、バランス感覚も求められます。体力や運動能力を鍛えたいのであれば、スポーツクライミングは有効な手段です。

精神的な成長が期待できる

スポーツクライミングは、制限時間内に課題をクリアするために発想力や論理的思考力が求められる競技です。

子どもがスポーツクライミングを習うことで、短時間で課題をクリアする方法や、どのホールドを使って登るかをじっくり考える下地がつくられ、精神的にも成長が期待できます。

また、自分や周囲の安全を確保するために、周囲とのコミュニケーションを取る力も育まれるでしょう。

個人競技のためチャレンジしやすい

スポーツクライミングは個人で取り組む競技のため、自分のペースでゆっくりとチャレンジできます。

周りとの比較がなければ過度なプレッシャーもなく、マイペースな子どもでも続けやすいかもしれません。

子どもが少ない地域や、周囲に同じ競技を習う子どもが少ない場合でも、気にせず通えるでしょう。

誰でも個人で始められることを考えると、スポーツクライミングを習い事にするハードルは低いといえます。

スポーツクライミングを習い事にするときの注意点

スポーツクライミングを習い事にする場合、注意しておきたいこともあります。すぐに決めるのではなく、続けられるのか、子どもに向いているのかなど、注意点を把握した上で始めるようにしましょう。

親の同伴が必要なケースがある

スポーツクライミングは、壁を登る競技です。低い壁であっても数メートルはあるため、小さい子どもには危険が伴います。もし、小さいうちから通う場合は保護者の同伴が求められるケースも多いでしょう。

どのくらいまで保護者の同伴が求められるかは施設によって異なりますが、小中学生は保護者同伴とする施設もあるようです。

保護者が仕事や家事で忙しく、習い事の間ずっとついていることができない場合は、難易度が高いかもしれません。まずは、近隣の施設が保護者の同伴を求めているのか、何歳まで同伴が必要なのかを確認することが大切です。

けがのリスクがある

スポーツを習い事にする以上、けがのリスクは存在します。

室内でのスポーツクライミングでは極端な高さの壁を登ることはまれで、安全も考慮されていますが、不注意や偶然による事故が起きることは考えられるでしょう。

登っている途中に壁から落ちてしまうことや、飛び降りたときに他の人と接触する可能性もあります。

子どもがスタッフや保護者の話を聞き、危険なことをしないかどうかも大切な要素です。一度親子で体験してみて、自分の子どもが安全に楽しめるかを確認してみることも検討しましょう。

スポーツクライミングスクールに関するQ&A

スポーツクライミングを子どもが始める前に、確認しておきたいことも多いでしょう。主な対象年齢やかかる費用など、気になるポイントをQ&A方式で紹介します。

何歳くらいから始められる?

スポーツクライミング自体は突起物を使って壁を登るだけであり、複雑なスポーツではありません。特別な年齢制限は設けられていないため、施設の考え方によっては幼児でも通うことが可能です。しかし、施設によって設定されている対象年齢は異なります。

低年齢向けの設備があれば、幼児からでも受け入れているケースはあるようです。とはいえ、子どもがきちんとスタッフの話を理解できるかどうか、安全に楽しめるかどうかを考慮して、小学生以上を対象とする施設もあります。

まずは、近隣の施設が何歳から通えるのか、確認してみましょう。

費用はどのくらいかかる?

スポーツクライミングを始める場合、利用する施設の入会金・月謝・道具のレンタルや購入に費用がかかります。

施設によって料金は変わるものの、おおむね1回当たり1,000〜3,000円程度に設定されているケースが多いようです。入会金の有無や、道具をレンタルするかどうかなど、料金が変動する要因は複数あります。設備の充実度や、通う回数によっても変動するでしょう。

また、本格的に始めるのであれば、子ども用の道具が必要です。シューズやチョークなどの専門用品を購入する場合は、初期費用が高くなることも考えておきましょう。

子どもが参加できる大会はある?

スポーツクライミングは、子ども向けの大会も行われています。初心者から上級者まで参加できる大会は多いため、いずれ大会参加を検討している場合は情報をチェックしておきましょう。

例えば、2024年には「第7回全国ボルダリング小学生競技大会」やVILLARS climbingの「第11回キッズボルダリング大会」など、さまざまな小学生向けの大会が開催されています。

中学生向けの大会もあり、「第1回全国中学生ボルダー競技大会」は一般社団法人全日本ジュニアクライマー育成支援協会主催で開催された大会です。

年齢や技術に応じて、参加できる大会を確認しておき、チャレンジしてみるのもよいでしょう。

出典:第7回全国ボルダリング小学生競技大会 -JAPAN YOUTH BOULDERING 2024-
キッズボルダリング大会|ボルダリング&カフェ VILLARS climbing
トップページ – 第1回全国中学生ボルダー競技大会

スポーツクライミングは習い事にもおすすめ

スポーツクライミングは、基礎体力の向上や精神面の成長など、さまざまな面で子どもにとって魅力的な習い事です。個人競技でもあり、スポーツクライミングスクールに通うハードルは低いでしょう。

子どもが小さいうちは保護者の同伴が求められる可能性もあるため、始める年齢や親の負担については考慮が必要です。近隣の施設をチェックし、料金や設備を比較した上で習い事にするかどうかを検討しましょう。

こちらの記事もおすすめ

メダリスト野口啓代さん監修のボルダリングが楽しめる! 舞浜シェラトン「Wizkids」は、子連れお出かけ満足度100%!?
Wizkidsってどんなところ? 「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル 」にある、子ども向け屋内遊具施設「...

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事