ママとパパと離れたくない
年長の娘は現在、幼稚園に通っています。「今日は行きたくない!」と行き渋る日が、今までに何度かありました。
幼稚園の門に近づいていくと、顔が少しずつ曇り出し、わーんと声を出して泣いてしまうことも。
その理由を聞いてみると、「どうしても、ママとパパとはなれたくない」と言います。バイバイするときの娘のなんとも言えない、さみしそうな顔を見ると、いつも胸がぎゅっとなるのです。

「お友達も先生もみんな待っているし、今日は泣かないでいこうね」
ある日の朝、幼稚園に行く娘に声をかけました。すると、それを横で聞いていた夫が、こんなことを言ったのです。
「泣いてもいいんじゃない? 泣きたい日もあるよね。でも、今日はママとパパは仕事でいっしょに遊べない日だから、幼稚園には行かないといけないんだよ」
その言葉を聞いて、ハッとしたのでした。そういえば、今思い出してみても、夫の口から「泣いちゃダメだよ」という言葉を聞いたことがないかもしれません。
子どもが持っている、そのままの気持ち

泣いてもいいのか…….。確かに私がいちばん伝えたかったのは、泣いちゃダメだよということではなくて、さみしくても幼稚園に行くんだよということなのかもしれない。
「泣いちゃダメ」という言葉は、そのときに娘が持っている気持ちを抑えこんでしまう言葉のような気がしてきました。あらためて、子どもにかける言葉に気をつけなくてはと思ったのでした。
北欧らしさが詰まった「やんちゃっこの絵本」
そんなことが頭を巡っていたある日。スウェーデンに住む友人が、「北欧らしさが詰まっているからぜひ読んでみてほしい」と『VEM?』という絵本をおすすめしてくれました。日本では『やんちゃっこの絵本』(クレヨンハウス)という名前です。
こちらは、ひとクセある表情の、やんちゃなこぐまちゃんが主人公の絵本。さっそく読んでみると、すっかりその世界にハマってしまいました。こぐまちゃんの日常は、自分たちの日常にそっくりなんです。

日常にはいろんな感情がある
いとこが遊びに来たら、おばぁちゃんを独り占めできなくなって、思わずいとこに嫉妬してしまったり。おもちゃで遊んでいたら頭にぶつかって、そのままやり返してしまい、たんこぶができるようなケンカになってしまったり。はたまた、お母さんと「寝なさい」「眠くないもん」と言い合いになり、悲しい気持ちになったり。
読んでいるとハラハラするところもあるのですが、日常の中には嬉しいことだけじゃなくて、悲しいことも、イラっとすることもありますし、そのときの感情もさまざまだなと思います。絵本を読んでいると、自分を見ているような、子どもたちを見ているような、そんな気持ちになるのです。
今のまま、そのままでいい

あるがままの日常が描かれていている絵本を読んでいると、その感情もそのときの気持ちも、そのままでいいよと言われているような気がしてきます。これが、友人が言っていた「北欧らしさ」なのかもしれません。
やんちゃっこの絵本は、今ではすっかり子どもたちのお気に入り。今日の夜もいっしょに読もうと思います。
※『やんちゃっこの絵本』(クレヨンハウス)は、残念ながら現在販売終了となっているので、気になる方は図書館などでぜひ探してみてください。
プロフィール

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
Instagram @kuwabarasayaka
note 桒原さやか(くわばらさやか)/スウェーデン人夫と子育て奮闘中。
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文・構成・写真/桒原さやか