「依怙贔屓」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『依怙贔屓』と書いて「えこひいき」と読みます。公平でないことや、自分の気に入った人や関係者にかたよって目をかけたり、味方したりする様子を表した言葉です。
「依怙贔屓」の由来・語源
「依怙」とは本来は仏教用語で、仏様が頼ってくる人々を助けることを意味します。仏様は誰でも区別しませんが、人は頼ってきてくれる人を特別扱いしてしまうことから、特定の人に目をかける態度を表すようになりました。
「贔屓」はもともと「ひき」と読み、力を使って努力することを表す言葉。その後、特に目をかけて引き立てること、という意味に転じました。このふたつの言葉が合わさった「依怙贔屓」は自分のお気に入りや関係者の肩を持って、不公平に扱うことという意味になりました。

使い方を例文でチェック!
では、『依怙贔屓』の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:わが子の新しいクラス担任は、以前から女子だけを依怙贔屓するという噂があったので、不安だ。
クラス担任に必要なのは平等な態度であり、『依怙贔屓』は困りますね。
2:社長が母校の同窓生を依怙贔屓し、学閥を作っているのは有名だ。
同じ学校の卒業生にばかり目をかけるのは『依怙贔屓』と言えそうです。
3:両親は歳の離れた末っ子の妹を依怙贔屓している。
両親にとって皆かわいいはずの子どもたちでも、末っ子ばかりかわいがる場合は『依怙贔屓』と言えそうです。
類語や言い換え表現は?
では、『依怙贔屓』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『依怙贔屓』に似た表現を探してみました。
1:引き立てる
力添えする、特に目をかけるという意味の「引き立てる」。『依怙贔屓』に似た言葉です。
2:判官贔屓(ほうがんびいき・はんがんびいき)
弱者や不利な人に同情し、味方したり応援したりすることやその気持ちを表す「判官贔屓」。『依怙贔屓』と同じく「贔屓」という字が入っていますが、こちらは贔屓の対象がはっきりしているときに使う言葉です。
3:分け隔て(わけへだて)
相手によって扱い方に差別をつけることを表す「分け隔て」。『依怙贔屓』と似た状態を表しています。
4:愛顧(あいこ)
お店や芸人などに目をかけ引き立てるときに使う「愛顧」。『依怙贔屓』に似た意味ですが、「愛顧」は引き立てられる側が言う言葉です。
対義語は?

『依怙贔屓』にはどんな対義語があるのでしょうか。反対の意味に当たる言葉をいくつかご紹介します。
1:公平無私(こうへいむし)
公平で、私的な感情や利益を交えない態度を表す「公平無私」。『依怙贔屓』とは逆の言葉として挙げられます。
2:一視同仁 (いっしどうじん)
人によって差別することなく、すべての人を同じように慈しみ、また待遇することを表す「一視同仁」。誰かを優遇する『依怙贔屓』とは逆の意味の言葉です。
3:不偏不党(ふへんふとう)
特定の主義や思想にかたよらず、公正・中立の立場を表す「不偏不党」。『依怙贔屓』とは逆に、公正な態度を表す言葉です。
4:贔屓の引き倒し
贔屓し過ぎて、かえってその人を不利にしてしまう様子の「贔屓の引き倒し」。結果的に『依怙贔屓』とは逆の状態と言えそうです。
英語表現は?
では、『依怙贔屓』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『依怙贔屓』と言えそうな英語表現をご紹介します。

1:Show favoritism
「お気に入りなのが見え見え」という状態で、『依怙贔屓』の英訳としてよく使われる表現です。
2:Play favorites
「お気に入りが発動する」というニュアンスの言葉で、こちらも『依怙贔屓』を表す際に使えそうです。
3:Give preferential treatment
“preferential treatment”は「特別扱い」という意味。「特別扱いを与える」ということで『依怙贔屓』に近い意味になります。
「依怙贔屓」の意味と由来を知って、正しく使ってみましょう。
子どもたちからも時々聞かれる『依怙贔屓』。意味を正しく覚えて使ってくださいね。
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構成・文/kidamaiko