「十把一絡げ」の読み方わかる? 語源や言葉の意味、英語表現も解説!

あまり馴染みのない言葉「十把一絡げ」。意味は「一緒くたにまとめる」「一つひとつ取り上げる価値のないものとして、ひとまとめに扱うこと」。読み方は「じっぱひとからげ」です。今回は、「十把一絡げ」の意味や読み方、語源、英語表現まで紹介します。

「十把一絡げ」とは?

「十把一絡げ」とは何と読むか、またどういった意味なのかわかりますか? なかには、読み方も意味もわからないという人もいるかもしれません。まずは、言葉の意味から見ていきましょう。

読み方と意味

「十把一絡げ」の読み方は、「じっぱひとからげ」です。「じっぱいちからげ」「じゅっぱひとからあげ」などと間違って読まないように気をつけてくださいね。

言葉の意味は、「色々な種類のものをひとまとめにして扱うこと」。簡単にいうと、「一緒くたにまとめる」です。

また、「一つひとつ取り上げる価値のないものとして、ひとまとめに扱うこと」という意味もあります。本来は個別に扱うべきであるものを価値がないからといって、一括りにするというややネガティブなニュアンスを含むので、使う時には注意が必要です。

由来・語源


「十把一絡げ」の「把」とは、束ねたものを数える時に用いる単位のことです。「十把」で、束が十束あることを意味します。

「一絡げ」とは、「一つにまとめてしばること」で、簡単にいうと「一くくりにする」という意味。

つまり、十束を一くくりにすることから、「それぞれの束に違いがあっても、一くくりにして雑に扱う」という意味の「十把一絡げ」という言葉が生まれたのです。

使い方を例文でチェック!

言葉の意味がわかったところで、実際にどのように使えばいいのかをお伝えしましょう。

前述しましたが、「一つにまとめる」という意味以外に、「価値がないから、ひとまとめにして扱う」というネガティブな意味もあります。批判的な印象を与えてしまうので、使う場面には十分に注意しましょう。

1:個性は様々なのに、先生は子どもたちを十把一絡げに見る。

「十把一絡げ」は、「十把一絡げに見る」という表現で使うことができます。「十把一絡げに見る」とは、「様々なものを、ひとまとめにして見る」という意味。

この例文では、先生がそれぞれの子どもが持つ個性を見ずに、みんなを同じ型に当てはめて扱っている様子を批判的に表現しています。

2:服を十把一絡げにして洗濯したところ、「大切な服だったのに!」と息子に怒られた。

この例文では、「価値のないものとして、ひとまとめに扱う」という意味で「十把一絡げ」を使っています。

自分にとっては価値のないものでも、相手にとっては価値のあるものかもしれません。様々なものをひとまとめにして扱いそうになった時は、「これは本当に価値のないものなのか?」と、一度立ち止まってみるといいでしょう。すると、トラブルやいざこざを避けられるかもしれません。

3:面白い企画もあったのに、部長は部下たちの意見を十把一絡げに扱った。

「十把一絡げ」は、「十把一絡げに扱う」という表現でもよく用いられます。「様々な種類のものを、ひとまとめにして扱う」という意味です。

この例文からは、「どうせ面白い企画なんてないだろう」と、部下たちの企画を見くびっている部長の様子がうかがえます。

類語や言い換え表現は?

「十把一絡げ」は、それほど難しい言葉ではありませんが、やや長い印象があるため、使いづらいと感じる方もいるのでは?

そこで、ここでは「十把一絡げ」の言い換え表現をいくつか紹介します。

1:一緒くた

「一緒くた(いっしょくた)」は、聞き馴染みのある表現ではないでしょうか? 意味は、「多種多様なものをひとまとめにすること」。雑多な物事を、無理やり一つにまとめるというニュアンスです。

例文:「最近の若者は」と言って、新卒者を一緒くたに扱わないでほしい。

2:一括

「一括(いっかつ)」とは、「一つにくくること」。「一括する」「一括して支払う」などと使うことができますよ。「一緒くた」よりは、ややかしこまった表現ですので、フォーマルな場面でも問題なく使えます。

例文:書類はバラバラに提出せず、一括して提出してください。

3:ごちゃまぜ

「ごちゃまぜ」は、日常生活でもよく使う言葉ですよね。あらためて意味をおさらいしておくと、「ごちゃまぜ」は、「様々なものが入りまじっていること」。無秩序で、ごちゃごちゃになっている様子をあらわす言葉です。

例文:様々な書類をごちゃまぜにしてしまい、重要な契約書をなくしてしまった。

対義語は?

反対の意味を持つ言葉を知ると、「十把一絡げ」という言葉への理解がより深まります。「十把一絡げ」と逆の意味を持つ言葉は、「個別扱い」「多元的」などです。それぞれ、言葉の意味や例文を紹介します。

1:個別扱い

「個別扱い(こべつあつかい)」の、「個別」とは、「一つひとつ別にすること」。つまり「個別扱い」で、「一つひとつを別々に扱うこと」という意味になります。「十把一絡げ」は、「すべてを一くくりにして扱う」という意味ですので、まさに逆の意味の言葉といえそうですね。

例文:生徒たちを一緒くたに見ないで、個別扱いしてください。

2:多元的

「多元的(たげんてき)」とは、「物事の要素や、根源がいくつもあるさま」という意味です。「多元的に考える」という表現でよく使われ、「物事を様々な視点から見る」「色々な価値観で考える」という意味になります。

例文:ビジネスにおいては一つの考えにとらわれず、多元的に物事を考えるべきだ。

英語表現は?

最後に、「十把一絡げ」の英語表現を紹介します。海外の人に「十把一絡げ」を説明する時や、「様々なことを一くくりにすること」を伝えたい場合に、以下で紹介する表現を使ってみてください。

1:lump together

「lump together」は、「ひとまとめにする」という意味です。「○○をひとまとめにする」と目的語を入れたい場合には、「lump」の後に挿入して使いましょう。

例文:Don’t lump all issues together.(問題を十把一絡げにしないでください)

2:bracket

「bracket」は、「ひとまとめに扱う」という意味。「together」と一緒に使用することも可能です。

例文:Tom and Jack were bracketed together as foreigners.(トムとジャックは、外国人としてひとまとめに扱われた)

最後に

「十把一絡げ」の読み方や例文、類語、対義語まで紹介しましたが、意味はしっかりと理解できましたか? よく聞く言葉でも、いざ表記するとなると漢字がわからなかったり、また読み方が曖昧だったりしますよね。これを機に、正しい読み方と意味を確認しておきましょう。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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