ワシントンD.C.の「D.C.」って何? 行政区名からアメリカにとって大切な2つのキーワードがわかる【親子で語る国際問題】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回のテーマは「ワシントンD.C」です。

ワシントンD.Cはアメリカの首都

「ワシントンD.C.」は、 アメリカの首都で、ホワイトハウスや大きな記念碑がある場所です。でも、名前の最後に付いている「D.C.」って何の意味か知っていますか? ワシントンD.C.の「D.C.」の意味や、なぜそんな名前になったのかを考えてみましょう。

「D.C.」の意味は「District of Columbia(ディストリクト・オブ・コロンビア)」

「D.C.」は「District of Columbia(ディストリクト・オブ・コロンビア)」の略です。日本語にすると「コロンビア特別区」という意味です。

ちょっと難しい言葉かもしれませんが、簡単に言うと、ワシントンD.C.はアメリカの他の州とは違う、特別なエリアだということです。この場所は、アメリカの政府が働くための特別な「区」として作られました。

「コロンビア」はアメリカで大切にされていた名前

「コロンビア」という名前は、昔のアメリカでとても大切にされていた名前です。

この名前は、探検家のクリストファー・コロンブス(アメリカ大陸を見つけた人!)からきています。アメリカができたころ、人々はコロンブスを尊敬していて、彼の名前をもとに「コロンビア」という言葉をよく使いました。

クリストファー・コロンブスの肖像 wikimedia commons(PD)

たとえば、アメリカの詩や歌でも「コロンビア」は国のシンボルとして登場します。だから、首都の特別な場所にも「コロンビア」という名前が使われたのです。

アメリカの首都は、ほかの都市になる可能性もあった

アメリカが国としてスタートしたとき、どの都市を首都にするかで争いが起きそうになりました。北の州は「ニューヨークがいい!」と言い、南の州は「フィラデルフィアがいい!」と言って、なかなか決まりませんでした。そこで、みんなが納得できるように、新しい場所を作って首都にしよう! というアイデアが生まれました。それが「ワシントンD.C.」です。

この場所は、どの州にも属さない「特別区」として作られました。なぜかというと、首都が特定の州にあると、その州が「自分たちが一番エライ!」と思ってしまうかもしれないからです。だから、公平にするために、ワシントンD.C.は州ではなく「コロンビア特別区」になりました。

「ワシントン」は初代大統領から

「ワシントン」という名前は、アメリカの初代大統領、ジョージ・ワシントンからきています。

彼はアメリカを一つにするために尽力した、とても尊敬されている人です。ですから、首都の名前には彼の名前が使われました。「ワシントン」と「D.C.」を合わせると、「ジョージ・ワシントンの名前の特別な区」という感じになりますね!

ワシントンD.C.の特徴

ワシントンD.C.は、アメリカの政治の中心地です。ホワイトハウス(大統領が住む家)、国会議事堂(法律を作る場所)、最高裁判所(法律を守るための裁判所)など、国の大切な建物がたくさんあります。しかし、観光地としても有名で、リンカーン記念堂やスミソニアン博物館など、面白い場所がたくさんあります!

また、ワシントンD.C.は州ではないので、ちょっと変わったルールがあります。たとえば、D.C.に住んでいる人は、州の住民のようには国会議員を選べません。これは、D.C.が「特別区」だからです。

美しい街、ワシントンD.C.

ワシントンD.C.は、1790年代に計画されて作られました。土地は、メリーランド州とバージニア州から少しずつ分けてもらい、ポトマック川の近くに作られました。

街の設計をしたのは、フランス人のピエール・シャルル・ランファン。彼は、広い道路や大きな公園があるきれいな街をイメージしました。今でも、ワシントンD.C.の街並みはとても整っていて、観光客に人気です。

もしワシントンD.C.に行ったら、ホワイトハウスや大きな記念碑を見て、「ここは特別なコロンビア特別区なんだ!」と思い出してくださいね。アメリカの心臓部ともいえるこの場所は、歴史や文化がいっぱいつまった、ワクワクする街ですよ!

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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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