武道の特徴と子どもに習わせるメリット
武道と聞くとどんなイメージが思い浮かびますか? サッカーやバスケットボールといった普通のスポーツと武道の違い、子どもに習わせるいくつものメリットを解説します。

武道は運動を通して人格を形成するプロセス
公益財団法人日本武道館によれば、武道とは、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の九つと定義されています。武道が普通のスポーツと違う点は、心身を鍛え技を磨くことを通して人格を高め、生き方を深めるという思想にあることです。
武道のルーツは武士道であり、戦いに身を置く人間として常に平静を保ち、責任ある立場に必要な強い道徳心を目指す姿勢が受け継がれています。
一方、スポーツの由来は「余暇の楽しみ・遊び」にあるため、前提にある考え方が違うものといえます。
礼儀によって気遣いの心を養える
武道は礼節を重んじるため、基本的な礼儀としてあいさつやお辞儀の仕方も教えます。幅広い年齢の子どもが一緒に練習する道場では、目上の人に対する礼儀も学ぶでしょう。
その背景として、武道は対戦者も含めた相手への感謝や尊敬の気持ちを重視するからです。例えば、試合の前と後にあいさつし、勝っても負けても相手への礼儀を守るように教わります。
社会に出たときも、礼儀正しい姿勢は周囲にプラスの印象を抱かれやすく、人間関係を良好にするのに役立ちます。
基本的な筋肉や体幹が鍛えられる
武道は全身運動なので、続けているうちに基本的な筋肉や体幹が鍛えられます。
他のスポーツでも筋力は鍛えられますが、武道は対人練習や技をかける場面でけがをしやすい点が特徴です。子どもの安全のため、スポーツよりもしっかり体をほぐし基礎体力を鍛える傾向があります。
武道で強くなるには、基本動作の訓練や姿勢への意識が欠かせません。毎日基本をくり返し筋トレを続けるうちに自然に筋肉もついてきます。
集中力や忍耐力が身に付く
武道を長く続ければ、だんだんと集中力や忍耐力が身に付いていきます。例えば、対人戦や試合では勝つためには気を散らしていられません。目の前の相手に集中しないと、すぐに劣勢になってしまいます。
あまり楽しいとはいえない、地味な筋トレや基本動作の確認を積み重ねる中で、忍耐力も身に付いていきます。
武道では戦うことを前提に、不利な状況で諦めない精神力を育てる訓練も行われます。努力を重ねて目標を達成すれば、自信や自己効力感も生まれるでしょう。
子どもにおすすめの武道5選と費用・適齢期

子どもが武道を始めるにあたって適齢期は何歳ごろなのか、あるいは費用がいくらかかるのか、気になる人は多いでしょう。子どもに人気の武道5選と、それぞれの特徴や費用を紹介します。
剣道
剣道は武道の中でも礼儀作法や精神力を重視する傾向があります。勝負が一瞬で決まる性質から集中力も身に付きやすいのが特徴です。
剣道を始める年齢は4~5歳や、小学校低学年が多い傾向です。
【主な費用】
●毎月の授業料:約2,000~1万円
●道具代:約4~5万円
●スポーツ保険料:約200~2,000円
この他、入会金や昇級費、試合の交通費、道具のメンテナンス費などがかかる場合もあります。剣道を習い始めたときは竹刀(しない)だけで大丈夫かもしれませんが、長く続けるなら道着や防具が必要になってきます。
柔道
柔道には投げ技、固め技、当て技の3種類があります。実際に組み手をすることからけがしやすいため、始められるのは約5歳からです。はじめにけがしないための受け身をしっかり教わります。
【主な費用】
●毎月の授業料:2,000~7,000円
●道具代:約5,000円~
●スポーツ保険料:約200~2,000円
この他、入会金や昇級費などがかかるでしょう。オリンピックなどでテレビに映る機会が多く、子どもに人気が高い武道です。警察署の柔道教室では通常より費用が抑えられるのでおすすめです。
空手
型を重視して寸止めを行う「ノンコンタクト空手」と、実際に打ち合う「コンタクト空手」があります。主に突きや蹴りによる打撃が主体で、柔道のような投げ技・固め技は含まれない点が大きな違いです。
【主な費用】
●毎月の授業料:3,000~8,000円
●道具代:約1万4,000~約1万6,000円
●スポーツ保険料:約200~2,000円
空手の型を理解できるようになる5~6歳以上から教える教室が多い傾向です。道着に加えてプロテクターも必要です。
合気道
相手の攻撃を固め技・投げ技につなげるところは柔道に似ています。他人と優劣を競わないという方針のため、技をかけ合うような試合がないのが大きな特徴です。
【主な費用】
●毎月の授業料:約2,000~9,000円
●道具代:約5,000~13,000円
●スポーツ保険料:約200~2,000円
小学校4年生以上の方が指導を理解しやすいでしょう。子どもが武道でけがをしないか心配なら護身術として合気道を選ぶのも一つです。
少林寺拳法
中国拳法の影響を受けた日本の武道です。自己を確立して他者を思い遣れるような「社会に役立つ人づくりの教育システム」として、戦後の日本で始まりました。
5~6歳以上から始められますが、技ができるようになるのは小学校1年生からといわれます。
【主な費用】
●毎月の授業料:約5,000円
●道具代:約1万円
護身術として発達し、合気道と同じように実践的な試合がありません。演武大会や昇級試験のみです。
子どもに武道を習わせるときによくある悩み

武道を始める前に不安材料はチェックしておきたいものです。「武道を習ったら子どもが乱暴にならないだろうか」「子どもがけがをしないか心配」といった、よくある悩みを解消しましょう。
子どもが乱暴にならないか不安に思う
「武道を習うとけんか好きな子どもになるかもしれない」と不安を感じる人は多いようです。武道を習うときは、基本的に道場や試合以外で使ってはいけないと、最初にしっかり教えられます。
また、対人戦を経験すると、殴ったりたたいたりすれば痛いということが分かるようになるので、逆に暴力を振るわなくなる傾向があります。
万が一、遊び半分で友達に技をかけるようなら厳しく対応するとよいでしょう。必要なら武道の先生に指導してもらう方法もあります。
けがをしないか心配してしまいそう
武道が体を使った運動である以上、けがをする可能性があります。特に、対人戦のある柔道・フルコンタクト空手・剣道は、打ち身やすり傷などのけがをしやすいです。
ただし、講師も子どもがけがをしないように配慮しているので、それほど大きなけがは起こりにくいといえます。
子どもの組手などを初めて目にすると、心配になってしまうかもしれません。だんだん割り切れるようになっていくものですが、我慢できないようなら武道を諦めるか、合気道のように対人戦のない種類を選ぶとよいでしょう。
武道は子どもの心と体を鍛える絶好の場
武道は武士道にルーツを持ち、一般的なスポーツに比べて精神修養や人格育成の側面が強いのが特徴です。
あいさつなどの礼儀作法や相手を尊重する「礼」の心を学ぶことは、その後の成長や人間関係に大きなプラスになるでしょう。
毎日のトレーニングは体を鍛えるだけでなく、忍耐力や集中力の強化にもつながります。コツコツと努力し目標を達成することはやがて大きな自信にもなります。武道は、子どもの心身の成長にとって絶好の場といえるでしょう。
こちらの記事もおすすめ
文・構成/HugKum編集部