「脳のパワーを高める」ために、親ができることって?【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】

陰山先生

「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子どもの学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。今回のテーマは、家庭学習についてです。

家庭では、脳と体を元気にする生活習慣を身に付けるには?

賢くない子でいいと思う親などいません。どの親御さんも、自分の子供を賢くしようと一生懸命です。その結果「いろいろな事を勉強させなくては」「塾にも行かせなくては」と、焦りは高まるばかり。しかしちょっと待ってください。勉強さえさせれば子供は賢くなるという世間の常識は、まちがっていますよ!というのが 私からのメッセージです。

家庭学習で子供を伸ばす方法には、いくつかありますが、「脳と体に元気をあたえる生活習慣」についてお話ししましょう。そう、おなじみの「早寝早起き朝ごはん」というキャッチフレーズの効果についてです。

賢くなる事を具体的にいえば、言葉を自在に使いこなせ、たし算やひき算をてきぱきと正しく計算できる事です。こうした事ができるようにするためには「脳のパワーを高める」事が必要です。では、どうやって子どもの脳のパワーを高めるか?

「脳のパワーを高める」ために、親ができること

湯気の立つ朝食をしっかり食べさせる

それは「夜は9時までに寝させ、朝は6時に起きさせる」事であり、「湯気の立つような朝食をしっかり食べさせて、元気いっぱいで学校へ送り出す」事です。

睡眠時間が少なかったり、朝食を食べずに登校する子供の学力や学習意欲がかんばしくない事は、多くの調査で明らかになっています。また、勉強がよくできる小学生の生活習慣を調べてみると、ほとんどの子が夜9時には寝ていて、朝食を欠かさず食べています。

朝食の品数が多いほど、成績がよい!?

しかも朝食の品数が多いほど、成績が上がるという調査結果まであるのです。親は勉強そのものに目がいきがちですが、実は十分な睡眠と十分な栄養こそが、脳のパワーを高めるうえでもっとも大切な事なのです。

そのためには親自身の生活リズムを、子供の生活習慣に合わせる必要があります。親が起きていると子どももなかなか寝つきませんし、朝食も家族そろって食べないとなかなか習慣化しません。とはいえ、親が完全に子供の生活に合わせる事は無理だというご家庭も多いかと思います。

まずは大人が夜型生活を見直して

そこで、たとえば子供がなかなか寝つかないなら子どもが寝る時刻だけでもテレビを消す、毎朝家族そろって朝食を食べるのが難しければ、休日だけでも家族そろって朝食を食べるというようにしてはどうでしょう。夜型生活のやめられる部分を切り捨て、家族全員ができる範囲で朝型生活にもっていくのです。きっと子供だけでなく、親自身も「気力・体 力・活力」に満ちた新しい一日の始まりを実感するきっかけになると思うのです。

記事監修

陰山英男|教育者

1958年兵庫県生まれ。1980年、岡山大学法学部卒業後、教職の道へ。百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組み、子ども達の学力を驚異的に向上させた。その指導法である「陰山メソッド」は、教育者、保護者から注目を集め、「陰山メソッド」を教材かした『徹底反復シリーズ』は、総計770万部の大ベストセラーとなっている。現在、YouTube『陰山英男公式チャンネル』で授業や講演を公開して注目を集めている。


編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 写真/繁延あづさ 撮影/奥田珠貴 出典/小学一年生

 

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