小さな楽しみを貯める
木曜日になると、子どもたちが聞いてきます。
「明日、金曜日?」
我が家の子どもたちにとって、金曜日はちょっと特別な日。面白そうな映画を見つけても、すぐには見ません。
「これ、金曜日に見るからとっておこう」
そんなふうに、我が家では小さな楽しみを一週間かけて貯めていくのです。
小さな楽しみには、名前があった
実は、この「金曜日を楽しみに待つ」感覚には、ちゃんと名前があります。スウェーデンでは、金曜日の家時間を「Fredagsmys(フレーダグスミース)」と呼びます。直訳すると、「金曜日のくつろぎ時間」。
少し早めに仕事を終え、簡単な夕飯を囲みながら、家族でのんびり過ごす。そんな週末のはじまりなのです。
スウェーデンなのに、タコス?
この日の夕飯は、とことん「食べたいもの」を楽しみます。
定番は、なんとタコス。
スウェーデンなのにタコス? と驚かれるのですが、日本のカレーライスのように、大人も子どもも大好きなメニューです。しかも、具材を並べるだけで気軽に楽しめるのも魅力。スーパーでは木曜日になるとタコスセットが特売になるほど、金曜日の食卓には欠かせない存在なのです。
我が家でも金曜日の夜は、家族みんなの好きなメニューが定番です。タコスの日もあれば、たこ焼きや春巻き、カレーライスの日もあります。

ソファではじまる週末
簡単な食事を済ませたら、ポテトチップスやポップコーン、そして飲み物を用意してソファに座り、家族で映画やテレビを見ます。
「今日は何を見る?」
「ブランケット持ってきて!」
そんな何気ないやり取りをしながら、みんなでソファにぎゅうぎゅうに座る時間も、Fredagsmysの楽しみのひとつです。
「明日、金曜日?」
金曜日は週末のはじまり。明日のことを考えなくてもいい日。
普段は8時くらいに寝る子どもたちも、この日はちょっと夜更かしをしてもいいことにしています。
「あと一本だけ見てもいい?」
そんな声に、「今日はいいよ」と答えるのも、金曜日ならではです。
豪華なごちそうはないし、これといったことをするわけでもありません。ただ家族でテレビを見て、お菓子を食べて、のんびりするだけ。
でも、そんな小さな楽しみがあるから、何でもない一週間も少し特別になる気がするのです。
だから今週もきっと、木曜日になると子どもたちはこう聞いてくるでしょう。
「明日、金曜日?」

前回の話はこちら
連載バックナンバーはこちら
プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか
