イギリスで16歳未満のSNS利用を禁止へ。首相は「SNSは子どもたちを不幸にしている」【親子で語る国際問題】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、イギリスで16歳未満の子どものSNS利用が禁止されたことについて、小学生にも分かるように解説します。

イギリスで子どものSNS利用禁止へ

英国政府は2026年6月、16歳未満の子どもたちが「TikTok」や「Instagram」、「Snapchat」などのSNSを利用することを全面的に禁止する方針を発表しました。これは子どもたちの安全を守り、健康的な生活を取り戻してもらうための大きな決断であり、お子さんを持つ日本の保護者にとっても、これからのスマートフォンの与え方やネットとの付き合い方を考える上で、非常に学びの多いニュースです。

今回の規制で対象となるのは、写真や動画を投稿して不特定多数の人と交流するようなプラットフォームです。日本でも小学生の間で認知度の高い「YouTube」や「X(旧ツイッター)」、「Facebook」なども含まれる見通しです。

一方で、家族や友達との純粋な連絡手段として使われている「WhatsApp」などのメッセージアプリは、この禁止ルールからは外されることになっています。

さらに、今回のルールはSNSの閲覧を禁止するだけでなく、オンラインゲームやライブ配信サービスなどで、子どもが見知らぬ人と連絡を取り合える機能についても厳しい制限をかける方針です。また、18歳未満の若者を対象にした夜間の利用制限などもあわせて検討されています。

SNSが助長するいじめ、睡眠不足、学習への悪影響

イギリスのキア・スターマー首相。 Wikimedia commons

イギリスのスターマー首相が「SNSは子どもたちを不幸にしている」と言明した背景には、大人たちが抱く強い危機感があります。スマートフォンやSNSが普及したことで、いじめの助長や、夜遅くまでの利用による睡眠不足、学習への悪影響が深刻化しているためです。

また、子どもたちが有害な情報に触れたり、ネット上で危険なトラブルに巻き込まれたりするケースも増えています。英国政府が事前に実施した意見公募では、11万人を超える多くの保護者や若者から意見が集まり、その結果、保護者の9割がこの禁止方針を支持したとされています。

この数字からも、世界中の親たちが子どものデジタル機器への依存やネットの危険性にいかに頭を悩ませているかが分かります。

実施には現実的な課題も

イギリス政府は、この規制に関する具体的な案を今年中に議会へと提出し、早ければ2027年の春から新しい法律としてスタートさせることを目指しています。

しかし、利用を完全に止めるには課題もあります。本当に16歳未満であるかどうかを確かめるために、顔認証などの技術を使った厳しい年齢確認の方法が検討されていますが、個人情報の管理に対する心配の声も上がっています

また、子どもたちが技術的な抜け道を使って大人の目を盗んで使い続けてしまうのではないかという、実効性の問題も指摘されています。

この英国の動きは、決して遠い外国のニュースではありません。日本でも「何歳からスマホを持たせるべきか」「どのアプリなら安全か」という議論は常に身近な課題です。家庭内でわが家のルールをどう決めるべきか、デジタルツールが子どもに与える影響について、今一度家族で話し合う大切なきっかけをこのニュースは与えてくれています。

この記事を書いたのは

国際政治先生 国際政治学者

国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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