1年生の担任の先生って、どんな気持ちで子どもたちと接しているの? 保護者に伝えたい本当の気持ちって……!?
1年生の担任経験をもつ現役の小学校の先生たちが、”匿名”を条件に座談会を開いてくれました。
今回のテーマは「入学直後の子どもたちの様子」についてです。「環境の変化に戸惑い、教室で泣いているのでは……」などと心配されるママもいますが、実際は「心配には及ばず」という場合が多いみたいですよ。
【先生のプロフィール】(全て仮名です)
かおり先生:教師生活13年目で、現1年生担任。1年生は7年ぶりで、3回目。海外の日本人学校に赴任経験あり。
ゆみ先生:教師歴10年のうち、5度も1年生担任を経験。今年は3年生を担当している。日本人学校の勤務経験あり。
まどか先生:教師歴5年目で、1度だけ1年生の担任を経験。今年は3年生を受け持っている。
朝、泣いてても、親がいなくなるとケロッと…
ーー入学してすぐだといろいろいなことがありますよね。登校のときなんかはどうでしょう。
かおり先生:親御さんに対する対応には、ものすごく気をつかいます。
特に、初めてのお子さんの場合は、生活面、学習面でもいろいろとわからないことが多いと思うので、できるだけ丁寧にお伝えしたり話を伺うようにはしています。
ゆみ先生:毎年、毎朝泣きながら登校してくる子は必ずいます。付き添って登校される親御さんは、心配そうに帰って行かれますが、親の顔が見えなくなると、たいていの子どもはケロっとしているんですよね。
まどか先生:かわいそうだからと、しばらく様子を見ようとする親御さんもいますが、かえってなかなかお母さんから離れられないし、お母さんはお母さんで辛そうにしていますよね。
かおり先生:大丈夫だってわかっているから、「ママ、ママ」って、泣き叫ぶ子どもを抱えて教室に連れて行く先生もいらっしゃいます。きっと親御さんから見たら「なんてかわいそうなことをしているの」と思われるかもしれませんよね。
でも、教室に入れば本当にケロっとしているんです。だから、そういう先生を見かけても「ひどい!」と思わないでもらえるとありがたいですね。
ーー親同士のネットワークに関して、先生はどこまで把握しているのでしょう。また、それを子どもたちの指導の参考にすることはありますか?
かおり先生:私は親御さん同士のつながりなどはあまり関心がないというか、気にしていません。ただ、子どもたちとの会話のなかで、自然と見えてくることはありますよね。
まどか先生:「昨日●●ちゃんちに遊びに行ったよ」とか、お友だちの家族と一緒にお出かけした話とか、「習い事が同じなんだよ」とかね。
もちろん子どもの性格にもよりますが、子どもって親御さんが思っている以上に、家庭でのいろいろなことを私たちに話してくれるんですよ(笑)。
ゆみ先生:とくに入学直後は、幼稚園や保育園が同じ子同士で連帯感が生まれるみたいです。私はできるだけいろいろな人と関わりを持ってもらいたいと思うので、そういう場合はあえて離すようにしています。
席や行動班を分けたり、休み時間もできるだけ違う子と関わりが持てるようにしてあげたりもします。
まどか先生:たいていの先生は、休み時間に外へ連れ出していますよね。中休みや昼休みに、クラスみんなで鬼ごっこしたりしてね。
ゆみ先生:そうそう。それに全員で遊ぶことで、子ども一人ひとりの性格が見えてきますしね。とくに1年生の担任になると、子どもたちのことを早めに把握しておきたいと思うので必死です(笑)
かおり先生:そう考えると、親御さんのネットワークはあまり関係がないかもしれません。毎日子どもたちと接していれば見えてくることのほうが圧倒的に多いですからね。
自分を心配そうに見つめるママの様子に、子どもは不安を感じて泣いてしまうのでしょう。「ママ」と泣くわが子に、つい後ろ髪を引かれてしまうママの気持ちもわかります。
けれど、ここは明るく「いってらっしゃい」と笑顔で送り出し、あとは先生を信じ、お任せすることがいちばんなのかもしれませんね。
先生の座談会はまだまだ続きます。次回をお楽しみに!
(ライター/天辰陽子)
「小学校先生の本音座談会」は小学館の学習雑誌『小学一年生』2017年5月号・保護者向け別冊「HugKum」にも掲載中です。