子ども用の歯ブラシ、どういった商品を使っていますか? いろいろなメーカーから優れた歯ブラシが販売されています。たくさんありすぎて何を選べばいいか分からなくなってしまいますよね。
そこで今回は富山県小矢部市で予約がとれないくらい人気のクリニック『渡辺歯科医院』の院長を務める歯学博士の渡辺智良先生に、子ども用歯ブラシの選び方を教えてもらいました。
硬さは「ふつう」がベスト
歯ブラシは商品によって、毛先の形も硬さもヘッドのサイズもいろいろと違います。一体どういった点に注意して歯ブラシを選べばいいのでしょうか?
「ブラッシングでは、歯の表面に対して直角に歯ブラシの毛先が当たるよう注意する必要があります。毛先の細い柔らかい歯ブラシでは、歯垢(バイオフィルム)を破壊しようと力を入れたときに、毛先が寝てしまう傾向が強いです。その意味で、毛先の硬さには「ふつう」程度が欲しいです」
と、渡辺先生。選び方の基準としては1つ目に、
(1)毛先が「ふつう」の硬さの歯ブラシを選ぶ!
といった点が挙げられるのですね。
ジグザグカットはNG。ストレート直毛の歯ブラシが一番
歯と歯の間を上手に磨けるようにと、毛先がジグザグにカットされた歯ブラシもあります。しかし、この手の歯ブラシには注意したいと、渡辺先生は言います。
「歯の面積は1本ずつ異なります。毛先がジグザグにカットされていると、歯ブラシの毛先が歯と歯の間に入りづらく、かえって清掃効率を下げてしまう場合もあります。断面は平らな歯ブラシが理想的です」
との話。似たような情報として、
<植毛はギザギザになったり斜めに植えてあったりと、くふうされたものがありますが、設計者の意図どおりに使えなければ意味がありません。オーソドックなストレート直毛で、ふつうのかたささのものがおすすめです>(小学館『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』より引用)
といった情報もありました。子ども用の歯ブラシ選びでは、
(2)毛先の断面が平らな歯ブラシを選ぶ!
といった点も気をつけたいですね。
持ち手は真っすぐで平坦、ヘッドは奥歯の大きさを参考に
子どもの口は、とても小さいです。その中で小回りを利かせて磨くためには、
(3)持ち手が真っすぐで平坦、ヘッドが小さな歯ブラシを選ぶ!
という点も、渡辺先生は大切だと言います。「小さな」とは、
<学童ではおよそ乳臼歯2本分以内(18~20 mm)で、毛足は8~10 mm 程度のものが使いやすい>(日本小児歯科学会のホームページより引用)
といった目安になる情報もあります。持ち手に関しては小学館『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』にも、
<まっすぐで平坦なものが自分でみがくにしても、親がみがいてあげるにしても使いやすい>(小学館『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』より引用)
と書かれています。これらの情報に関しては渡辺先生も異論はないと言いますから、大いに参考にしたいですね。
以上、わが子にぴったりの子ども用歯ブラシの選び方を、大人気デンタルクリニックの院長・渡辺先生に教えてもらいました。ちなみに2児の子育てをする筆者の経験からすると、歯ブラシのデザインで子どものモチベーションが変わるような気がします。その点を聞くと、
「最終的に類似の商品で迷ったら、子どもに複数の候補を見せて、選ばせるといいのではないでしょうか」
とのコメントも、あなたの渡辺先生から得られました。子どもの奇麗な歯を守るためにも、正しい歯ブラシ選びを心がけたいですね。
文/坂本正敬 写真/繁延あづさ
【取材協力】
※ 渡辺智良・・・歯科医。歯学博士。日本歯周病学会歯周病専門医、日本補綴歯科学会専門医。富山県小矢部市で予約がとれないほど人気を誇る渡辺歯科医院の院長を務める。一方で、近隣のこども園や学校での歯科検診も行う。
【参考】
※ キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館 – 小学館