子どもにお金や社会のしくみを教え、「自立する力」を育むための講座を全国で実施している『キッズ・マネー・ステーション』。子供のときから、お金のセンスを身につけ、稼ぐ力を育むマネー教育の講座は、どれも具体的でわかりやすく、何より「おもしろい!」「受けてよかった!」というママパパや子どもたちの声がたくさん届いています。
そんな受けてみたいマネー教育No.1の『キッズ・マネー・ステーション』の授業をお伝えするのが【HugKumキッズマネー講座】。第2回のテーマは「キャッシュレス」です。
「キャッシュレス」の授業を始めます
こんにちは!キッズ・マネー・ステーション認定講師、ファイナンシャルプランナーの田端沙織です。
最近、キャッシュレスに関する衝撃的な話を聞きました。親が小銭を使う機会が少なく、大事なお金という認識を持てていなかった小学生が、自分のお財布から小銭を川に投げ捨てていたというのです!
驚くような話ですが、親だけでなく子どもにもキャッシュレス化の影響が大きくなっているからこそ、しっかりとお金やキャッシュレス決済について子どもに伝えていく必要があります。
電子マネーのいいところ・わるいところ
今回は、子どもにも身近になりつつある「キャッシュレス決済」について、親は子どもにどのように伝えていけば良いかについて解説します。 「親にとっての当たり前は、子どもにとって当たり前じゃない!」ということをまずは親が教えることです。
電子マネーのメリット・デメリットから確認しましょう。
◆電子マネーのいいところ
・お金がなくてもかえる。
・しはらいがカンタン。
・りれきを見るとかんりがしやすい。
・お財布がすっきりする。
・おつりのまちがいがなくなる。
◆電子マネーのわるいところ
・いくらのこっているのかわかりづらい。
・おおくつかいすぎてしまう。
・電子マネーをつかえないお店ではかいものできない。
・お金のかんりがしにくい。
・お金のけいさんをしなくなる。
・一度電車マネーにすると、お金にもどしにくい。
「電子マネー=お金」と学べる方法
子どもにとって一番身近なキャッシュレス決済といえばSuicaやPASMOなどの電子マネーです。親にとって電子マネーはお金であることは当たり前ですが、子どもにしてみると、「 電子マネー=プラスチックのカード」という感覚で、「電子マネー=お金」という認識はしづらいです。まず電子マネーは形が違えども「お金」である、という当たり前のことから子どもに伝えましょう。言葉で伝える以外にも、チャージや残高確認なども有効です。
◆子どもに現金で電子マネーにチャージさせる
◆残高確認をして、「使ったら減る」ことを認識させる
子どもが陥りがちなキャッシュレスの勘違い
人間は、お金を手放すことを考える時になぜか精神的苦痛(出費の痛み)を感じます。現金決済の場合、手元のお金が減るのでより出費の痛みを実感しますが、電子マネー決済の場合は残高の減りを感じにくいため、この痛みが和らぎます。
そのため、電子マネーなどのキャッシュレス決済の利用は、現金に比べ気軽に使ってしまいがちです。電子マネーを「魔法のカード」だと思い込み、子どもがたくさんのお友達にお菓子をおごるなど、大盤振る舞いをする話はよく耳にします。
キャッシュレス決済へのステップ
大人でもキャッシュレス決済と上手に付き合うのは難しく、現金決済に比べ出費の痛みが和らぐため気軽に使ってしまう傾向があります。そこで、子どもにはまず見えるお金である「現金を使う」経験を積んでからキャッシュレス決済に移行しましょう。
キャッシュレス決済について学ぶ手順としては、以下のような流れで取り組んでみてはいかがでしょうか。
ステップ①おこづかいで現金体験をする
おこづかいをまずは現金で定額渡し、やりくりや使う経験を積ませます。この部分については、HugKumキッズマネー講座第1回「おこづかい会議」でおこづかいのメリットや導入方法を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ステップ②おこづかいを電子マネーにチャージする
ある程度、経験値が上がった後は、電子マネーに自分のおこづかいをチャージさせて、やりくりや使う経験を積ませます。
ステップ③現金と電子マネーでのおこづかいの使い方を比較する
定期的に親と一緒に使用履歴を確認して、電子マネーに変わってからのおこづかいの使い方の変化や感想などについて話し合いましょう。
特にステップ③では、現金から電子マネーに変わってからの変化や感想などについて、
・電子マネーの方が、現金より簡単に会計が終わるのでつい使ってしまった
・電子マネーの残高が自分で確認しづらいので、気づいたら残高不足で買い物できなかった
などの経験を通じて親子で話し合い、子ども本人がお金の使い方の変化を自覚することで、次によりよくお金と付き合っていくための大事なステップになるのではないでしょうか。
お金に限りがあることを学ぶ
キャッシュレス決済について学んでいく段階で、とても大事になるのが「お金に限りがある」ことを実感することです。残高不足などで失敗することがあっても、電子マネーも現金と一緒であることの学びや気づきがあります。
キャッシュレスは物の価値を考える絶好のチャンス
キャッシュレス決済は、現金と違いピピッ!と簡単に決済できてしまいます。簡単だからといって使うお金の価値に変わりはありません。子どもに、お金のかたちは違えども「価値」に変わりはないことをしっかりと伝えて下さい。
立ち止まって考えさせる親の声かけ具体例
小学校低学年の子どもには「価値」という言葉の意味も分からなかったりします。子どもに説明する際は、一例として以下のように伝えてみてはいかがでしょうか。
「価値」とは役に立つ・値打ちがあるものであり、現金は役に立つので価値があります。その価値ある現金を使うことと、キャッシュレス決済をすることは一緒であること。そのため、現金とキャッシュレス決済で使うお金は同じ価値であることを知ることが大切です。
①「○○ちゃんは、これが欲しいんだね」
子どもへの声掛けとしては、子どもの欲しい気持ちをと1度承認してあげてください。その後、以下の例のように声掛けしてみてはいかがでしょうか。
②「これは本当に必要かな、欲しいかな?」
決済する前に一度「これは本当に必要かな、欲しいかな?」と子ども自身が考えるクセを付けて欲しいと思います。
③「家にたしか似たようなものがあったと思うけど、それでも欲しいかな?」
他にも、「今月の○○ちゃんのおこづかいの残高はいくら残っている?先に必要なものを買うお金をとっておくから、残りのお金で買えるかな?それでも欲しいかもう1度考えてみようか」など、見通しを示してあげることもいいと思います。
ゲーム課金も親子で考える良いチャンス
ゲーム課金など、子どもがインターネット上でキャッシュレス決済をする場面も増えています。子どもに対して課金は一律ダメ!ではなく、支払いが発生する時にどうゲームと付き合っていくか、また支払いの対価として自分が得るものに本当にそれだけのお金を使って良いのか、正解は1つではありません。
ゲーム課金などを通じて、親子でお金の使い方・キャッシュレス決済について話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
普及するキャッシュレスと上手に付き合おう
実際のキッズマネーステーションの講座で行なっている「キャッシュレス決済」を学ぶワークショップを少しやってみましょう。
森のクマさんとお金を学ぼう
キッズ・マネー・ステーションの講座「森のクマさんとお金を学ぼう!」では、講座の中でクマさんと一緒に現金と電子マネーをもって、子ども達が森に遊びに行きます。
場面ごとに現金と電子マネー、どちらを使うか選択するワークショップがあり、子ども達も都度考えながらお金を使います。その中で、大事な失敗経験も積めるような仕掛けがしてあります。
◆参加者の親御さんの感想
・子どもなりに考えて、現金と電子マネーを使い分けているのがわかって良かった
・電子マネーは魔法のカードではないことが、子どもにも伝わったようです
日本政府の後押しもあり、キャッシュレス決済は今後も普及することが予想されます。親子で一緒に、経験を積んで時に失敗をしながら、上手に付き合っていけると良いですね。
◆今回の先生は…
田端沙織(たばたさおり)
FPサテライト(株)FP事業部所属。保険や金融商品を販売しない、中立的な立場のファイナンシャルプランナーとして活躍中。キッズ・マネー・ステーション認定講師
記事監修
「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2018年までに1100件以上の講座実績を持つ。
キッズ・マネー・ステーション主宰の八木陽子さん監修の本はこちら↓
「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)