辞書を開いて知っている言葉を探す“辞書引き学習”をご存知ですか? そもそも国語辞典を使うこの学習法が、“英語版辞書引き”として英和辞典にも活用できると注目を集めています。辞書引き学習考案者の中部大学教授の深谷圭助先生と「英語版辞書引き学習用のふせん」を開発した、相田眞喜子先生(『プログレッシブ小学英語辞典シリーズ』の編集委員)に、そのメリットとやり方について伺いました。
目次
国語辞典に親しむために考案された“辞書引き学習”
“辞書引き学習”とは、国語辞典を開いて知っている言葉を見つけたら、ふせんに書いて辞書に貼るというシンプルな学習法。
「辞書は意味のわからない言葉を調べるものなのに、わざわざ知っている言葉を調べるの? と思う人もいるでしょう。でも実際に確認すると、知っているつもりの言葉でも意味を勘違いしたり、使い方を間違えていたりといった発見があります。そういった発見を楽しみながら、辞書にふせんが増えることで、子どもの学習意欲が高まるのです」(深谷圭助先生)
辞書引き学習の3つのメリット
1 知っている言葉を足掛かりに辞書に親しむことができる
2 辞書にふせんが増えることで、言葉の学習に意欲を持つ
3 知っている言葉を探すことで、新しい発見をしたり、間違いに気づいたりできる
日本の小学4年生は、約2000語の外来語を知っている!
辞書引き学習が開発されたのは1990年代。その効果は英国やシンガポールなど海外でも広く知られるようになりました。そこで、深谷先生は英語の辞書を使った辞書引きは、日本の小学生にも活用できると考えたのです。英語に不慣れな小学生が英語で辞書を引くのは難しそうと思われがちですが、相田先生の調査によれば、日本の小学4年生は約2000語もの外来語を知っていて、その多くは英語だそうです。なので、子ども達は「あっという間にたくさんの単語を探し出します」(深谷先生)とのこと。
3ステップで、すぐに始められる英語版辞書引き。やればやるほど楽しくなる!
“英語版辞書引き”の方法は、いたってシンプル。用意するものは、英和辞典、ふせん、鉛筆。その方法は次の3ステップです。
1 ふせんに通し番号を書く
2 辞書をめくり、知っている単語を探してふせんに書き写す
3 単語を書いたふせんを、辞書の上のほうに貼る
辞書の中から自分の知っている単語を拾い出して、ふせんを貼ることで目に見えて辞書がどんどん太っていきます。ふせんが増えれば勉強した量が目に見えてわかり、辞書引きがますます楽しくなります。
英語版辞書引き学習のメリットは、多くの単語にふれながら、正しいつづりを学べること
おすすめは、4線入りの“辞書引き英語ふせん”
多くの英単語にふれながら、正しいつづりを学ぶことができるのも、英語版辞書引きのメリット。英語でふせんに書くときは、4線入りの“辞書引き英語ふせん”がおすすめです。
「無地のふせんに書くと字形が保てなかったり、大文字と小文字がごちゃごちゃになったりしますが、4線入りであれば英語の文字を正しく書く練習ができます」(相田先生)
実際に英語版辞書引き学習を体験した子どもたちからは「意外に知っている単語があってびっくりした」「日常生活で使う言葉が実は英語だったことに驚いた」「ふせんが増えると、やる気が出てきて楽しく学べた」などの声があがっています。
現在「英語辞書引きキャンペーン」を実施中。英語で辞書引きにチャレンジして応募すれば、抽選で50名様にミニ英和辞典がもらえます。応募締め切りは2020年5月31日。詳しくは特設サイトにアクセス!
5分でいくつ見つかる?家族で辞書引きゲームにトライ♪
辞書引きをゲームとして家族で取り組むと盛り上がります。相田先生が提案するのは、次の5つのゲームです。
①知っている単語の数を当てっこする
開いたページに知っている単語がいくつあるか当て合います。子どもは自分が申告した数よりも多くあると、鼻高々になるでしょう。見つけた単語は必ず音声を聞かせましょう。
➁子どもが見つけた単語を親が書く
お子さんが見つけた単語を音声で聞いたら、そこから親御さんはスペルを書くというゲーム。親も覚悟を決めて、子どもといっしょに英語の勉強をしましょう!
➂制限時間内にいくつ見つけて書き写せるか競争する
たとえば制限時間を5分と決めて、その間にいくつ単語を見つけて書き写せるか競います。最初は3個だったけど、次は5個、など単語が増えていくと楽しくなります。
④見つけた単語の意味で競う
“いちばんおいしい単語を見つけた人が勝ち”など、単語の意味に制限を設けて言葉探しをします。字面だけでなく、意味にも気持ちを持っていくことができて一石二鳥。
➄みんなで100個見つける!
あらかじめ、ふせんに100まで通し番号を書いておき、家族みんなで100個になるまで見つけます。100個見つけるのに、何分かかるかというゲームも楽しい。
“英語版辞書引き”の究極の目的は、子どもたち自身が「こんなに単語を知っていたんだ」と気づくこと
「その目的が達成できたら、親はそれ以上、欲張ってはいけません。子どもは辞書をめくるうちに、こんな言葉があるんだ、こっちはどうだろう、といろいろなことを夢中で調べ始めます。そこで大人が欲張って、もっとやりなさい、となると子どもの熱は簡単に冷めます。そこは気をつけてほしいですね」。
「自分がこんなに知っているという子どもの気持ちは『自分で英語がしゃべれるかもしれない』という自信につながる」という相田先生。
「“I like 〇〇”という文章なら、〇〇に好きな単語を入れたら、自分の好きなものを言えるんだ」と子ども自身が気づいたら自己表現を始めるきっかけになります。『私の好きなものはシチューなんだけど、英語でなんていうのかな?』と自分で辞書を引いて言えたという体験をすると、習っていないことでも、自分でやってみようかな、と大人に頼らずに自律的に学ぼうとする意欲が育つのです」
取材・構成/池田純子