学級崩壊ってどういうこと? 兆候と原因は? 保護者ができる対処方法とは

学級崩壊が起こると、子どもの成長や学力・精神面に大きな影響を与えます。どのような状態になると問題なのでしょうか。具体的な原因や兆候を探ってみましょう。また、実際に学級崩壊が起きた場合の対処法も紹介します。

学級崩壊とは

「学級崩壊」が起きると、授業や生徒同士のコミュニケーションが難しくなります。どのような状態になったとき「崩壊」というのでしょうか?

学級がうまく機能しないこと

学級崩壊は、言葉のとおり「学級」が「崩壊」し、クラスとして成り立っていない状態を指します。親や教師が子どもに言い聞かせるような常識的な行動では止められず、学校に通っていても授業が行えないような状態です。

具体的には、子どもが授業中に自由に行動し、教師の指示や指導を聞かないなどが挙げられます。ほとんどの子どもが授業中に遊んでいるような場合、教師の声は聞こえず授業は成立しません。

低学年での発生が増加

近年、学級崩壊は思春期を迎える前の小学校低学年で増えており、小学校での暴力行為の発生件数は、中学校や高校よりも多くなっています。

文部科学省の調査によると、2018年に小学校で暴力行為にかかわった児童数は1000人あたり5.4人となっています。約200人に1人と考えると、ほとんどの学校でいつ起きてもおかしくありません。

子どもが小さいからといって、必ずしも先生の言うことを聞くとは限りません。騒いでいる子につられて、多くの子どもが学級崩壊の一因を作ってしまうケースもあるのです。

出典:平成 30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

注意したい兆候

学級崩壊が起こる前、子どもはさまざまなサインを出しています。問題を起こす子どもが少ないうちに手を打てば、学級崩壊に至る前に対応ができるでしょう。

教師の指示を無視する

学級崩壊が起きていないクラスでも、教師の言うことを聞かない子どもは一定数存在します。もちろん、1人が言うことを聞かないだけでは学級崩壊ではありません。

教師が「指示に従わない子を放置する」ことや、指示に従わない子どもを黙認しているうちに、周囲の子どもまで「教師の言うことは聞かなくてもよい」と感じてしまうと問題です。
例えば、教師が「危ないから〇〇を触ってはいけない」などと注意しても、守らない子どもが出てくる場合などです。

このように、指示に従わない子どもにつられて、多くの子どもが自由に行動し始め、教師の言うことをきかなくなるような状態は、危険な兆候といえます。

好き勝手な行動を取る

授業中など、本来は席について話を聞かなければならないときに、好き勝手な行動を取る子どもが出てくるのも学級崩壊の兆候です。席を離れて歩きまわったり、ゲームをしていたりする子どもが多いと授業が進みません。

子どもから「授業中でも席についていない子がいる」と聞いた場合は、程度にもよりますが、学級崩壊の兆候と考えられるでしょう。
人数が少ないうちは授業が進むとしても、ほとんどの子どもが好き勝手な行動を取るようになると、教師はコントロールできなくなってしまいます。

けんかや暴力行為の増加

クラス内でけんかや暴力によるトラブルが多発している場合も、学級崩壊につながる兆候です。以前は何もなかったのに突然クラス内でトラブルが増えたときは、重大な問題が起きていると考えられます。

けんかや暴力行為は、自分勝手に行動している子どもだけの問題ではありません。きちんと指示を守る真面目な子どもでも巻き込まれてしまう可能性があります。

一つの事件が起きただけでは学級崩壊とはいえませんが、一種の兆候であると考えておきましょう。

主な原因は?

なぜこのような問題行動が多発するのでしょうか。原因は一つとは限らず、さまざまな要因が重なり合って、指示に従わない子どもが生まれてしまうのです。

子どもの未熟さや発達の問題

学級崩壊には、子ども自身の状態が大きくかかわってきます。学校でも「できることなら常に友達と楽しく遊んでいたい」と考える子どもは多いでしょう。素直な気持ちを持つことは問題ありませんが、精神的に未発達な状態では我慢がききません。

周囲の大人が子どもの気持ちを抑えられなくなると、学級崩壊につながります。特に、小学校低学年など、してはいけないことがまだ理解できない子どもがたくさんいると、トラブルが起きがちです。

親のしつけや教育環境

核家族化が進むにつれ「子どもへのしつけ・子育て」に対して、自信を持てないという親は増加傾向にあります。
共働き家庭が増加し、子どもと接する時間が少なくなったことで、一緒に過ごす時間はついつい甘やかしてしまうという家庭も多いことでしょう。幼いころから、好きなことだけをしている子どもは、学校で自分がしたくないことを、なぜしなければいけないのかがわかりません。

「学校は勉強をするところである」「教師の言うことは聞かなければならない」など基本的なしつけができている子どもは、学級崩壊の原因にはなりにくいでしょう。

ほかにも、保護者が学級崩壊を加速させてしまう場合もあります。自分の子どもが問題行動をしていても注意を受け入れられず、学校の介入を拒否するような場合、周囲の子どもも巻き込まれてしまいます。

出典:~「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」報告のポイント~|厚生労働省

教師の力量不足

教師という存在を「大したことはない」と感じてしまうと、子どもは好き勝手な行動を始めてしまいます。「指示を無視しても叱られない」「叱られても怖くない」などと思われてしまうと、教師の指導は意味を持ちません。

指示に従わない子どもが1人など少数のうちは大きな問題にはなりませんが、「教師の言うことは聞きたくない」と多くの子どもが感じるようになってしまうと、クラスとして成り立ちません。

問題が起きたときに対処が遅れるなど、信頼関係が崩れることで子どもが言うことを効かなくなるケースもあります。

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学級崩壊が疑われる場合の対処方法

学校内で問題が発生した場合、保護者にもできることがあります。思い悩む前に学校に相談するなど、行動を起こしましょう。

まずはしっかり状況を把握する

「自分の子どもが通うクラスでトラブルが起きている」とわかった時点で、まずは何が起きているのかきちんと整理しましょう。子どもから話を聞いただけでは、事実が掴めていない可能性があります。

教師や周囲の保護者と連携を取り、具体的に何が問題なのかを突き止めましょう。「うるさくて授業が成り立たない」「けんかなどのトラブルが多発している」など、状況がわかれば問題に合わせた手が打てます。

学校に相談、教育委員会へ報告

保護者と子どもだけでは、できることは限られています。トラブルが個人同士で解決できないときは、学校へ相談しましょう。

担任や学年主任、校長など学内の関係者と連絡を取るのが大切です。どうしても関係者が頼りにならないときや、問題が大きくなった際は、教育委員会への相談も検討されますが、まずは現場である学校へ相談し、問題解決に努めましょう。

話し合いの内容は記録に残す

学校だけで問題が解決できない場合、教育委員会などの力を借りることになります。相談の際にこれまで学校で話し合われた内容や、実際にどのような解決策が実施されたかを記録に残しておけばスムーズです。

すでに行われた対策よりも効果がある策を考えるには、これまでの流れを見ていかなければなりません。また、学校に何度も相談している事実がはっきりします。
学校だけで解決できれば資料の出番はほぼありませんが、なかなか解決できないときに話し合いの内容を見返すなど参考にもできるでしょう。

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深刻化する前に行動を起こそう

学級崩壊は、ちょっとした子どもの行動や周囲の対応によって起こります。子どものクラスで問題が起きていると気づいた場合は、学校に相談するなど早い段階で手を打つことが大事です。周囲の関係者が協力することで、問題が大きくなる前に対処していきましょう。

構成・文/HugKum編集部

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