学校帰りの子どもたちが、おうちの人が迎えにくるまでのあいだ、家庭と同じように、緊張感なく過ごせる場所、それが学童保育です。
「学童保育って?基本情報から保護者も知っておきたい新制度のポイントまで」では、学童保育の概要をお話ししました。今回は学童保育での子どもたちの様子をお伝えします。
■子どもたちにとっては家庭と同じ、安心できる居場所
学童保育を利用する子供の数は右肩上がり
少子化と言われるなかで、学童保育の利用を希望する子どもの数は増えています。小学生になり、1日2、3時間のお留守番はできるようになっても、毎日のこととなると、子どもたちだけで過ごすのはたいへんなことです。
保護者の送り迎えで通う保育所と違い、学童保育には子どもが自分の意思で通わなければなりません。また、「学校が終わったら、家に帰るとお母さんが待っていてくれる」家庭もあることにも気づきます。
そうしたなかでも、子どもたちが毎日学童保育に帰ってこられるよう、学童保育は、一人ひとりの子どもたちが緊張したり、負担に思ったりせずに通うことができて、家庭と同じような雰囲気のなかで安心できる居場所となっています。
■学童保育の1日は、「ただいま!」の声からスタート
小学生はどう過ごしている?現場をリアルレポート!
授業終わりから帰宅まで、どのように過ごしているのかを調べに、神奈川県横須賀市にある岩戸大矢部学童クラブに行ってきました。
岩戸大矢部学童クラブは、小学校の空き教室を利用し、父母会(学童クラブに通う児童の親達)が運営しています。1年生から6年生まで37名が、常駐する指導員4名とともに、放課後を元気いっぱいに過ごしています。※在籍人数は取材当時のものです。
学童クラブの基本スケジュール
14:30~ 入室
「ただいま!」わが家のように帰宅
子ども達にとって、学童保育はわが家のかわり。指導員も「おかえり!」と声をかけて出迎えます。この学童保育は学校の空き教室を利用していますが、子どもの気持ちを切り替えるために、入り口は別に設けています。
自由に過ごす
宿題したり、遊んだり、みんな元気いっぱい!
宿題をするのも、遊ぶのも自由です。基本的にはわが家と同じようにくつろぎ、のびのびと過ごせる環境を整えています。ただ、おやつの時間を決めるなど、多人数で過ごすためのルールはあるようです。
17:00~帰宅
おうちの人がお迎えに「また明日ね!」
おうちの人が迎えに来たら、遊びの途中でも支度をして帰ります。なかには遊びに夢中で、なかなか支度をしない子も。
施設によっては、同じ地区ごとに子どもだけで帰宅する場合もあります。
学童保育に子供を通わせる先輩ママの声
「子どもが学童保育にいると思うと、安心して働くことができます!」
学童保育は学年を超えた絆があるようです。わが家の息子は1年生ですが、2年生、3年生のお兄さん達が大好きで、一緒にブロック遊びをしたり、外でサッカーなどをして毎日楽しく放課後を過ごしています。
ケンカもしょっちゅうしていますが、指導員さん達がその都度上手に指導をしてくれるのは、とてもありがたいですね。 父母会もあり、バーベキュー大会やキャンプなど、イベントが多いのですが、こうした交流を通じて親同士の絆も深まっているのかなと感じています(東京都/Y・Kさん)
■学童保育リアルQ&A
学童保育についてほとんど知らないという保護者のみなさんの疑問に、一問一答形式でお答えします。
Q 学童保育を利用するにはどういう手続きが必要?
A 自治体の手順に従い、申し込みます。
学童保育は、保護者や同居する方の全員が就労などにより昼間家にいないことが常態のため、授業終了後に家庭で適切な保護が受けられない小学校在学中の児童であれば受けられます。世帯の状況によりますが、有償である場合も費用は月額数千円単位と、比較的安価です。保育園と違い、学区ごとに申し込む施設が決まっている場合が多いので、自治体に確認しましょう。また、満員でなければ、預かり希望の1ヶ月前までに申し込めば良いとする自治体が多いです。提出する書類など、詳細は各自治体のホームページで詳しく説明されています。
Q どんな人が預かってくれるの?
A 「放課後児童支援員」という資格ができました。
2014年に定められた国の基準で、学童保育には、開設時間を通して、「放課後児童支援員」の資格者を2人以上、専任で配置することになりました。彼らは子供の発達に関して専門の知識を持っています。
指導員は、子どもたち一人ひとりが安心して生活できるように、ていねいにかかわっています。
Q 学童と両立して、塾や習い事にも行ける?
A 行けますが、対応は施設によって異なります。
塾や習い事は、学童保育から直接通えて、終わったら戻れる場合と、学童保育には戻れずに帰宅扱いになる場合があります。それぞれの自治体や施設によって対応が異なるので、入所前にぜひ確認しておきましょう。
Q 夏休みや冬休み、学校がお休みの日も学童を利用できるの?
A はい。お弁当持参のところがほとんどです。
夏休み、冬休みには、朝8時から預かるところが多くありますが、施設や自治体によっては開設場所が異なるところもあります。
親が子どもより早く出かけなければならない場合は、家族でよく話し合っておきましょう。給食はないので、各自で弁当を持参させる施設が多いようです。
子どもたちが、家にいるのと同じようにリラックスして過ごしてもらうための環境が整えられているのが学童保育。入所児童数は年々増加しています。うまく活用して、子どもたちの放課後が充実したものになるといいですね。自治体や施設によってシステムが異なるので、実際に利用する際は確認が必要ですが、「学童保育」とはどんなところか、概要を理解したうえで、上手に活用したいですね。
取材協力/全国学童保育連絡協議会、岩戸大矢部学童クラブ 構成/天辰陽子
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