1年生の担任経験をもつ現役の小学校の先生たちが、“匿名”を条件に座談会を開いてくれました。
1年生の担任の先生って、どんな気持ちで子どもたちと接しているの? 保護者に伝えたい本当の気持ちって……!? 匿名だからこそ聴ける話が満載です。
「子ども同士のトラブル」について、先生たちの本音
1年生のうちは、コミュニケーション能力が未熟なために、些細なことでもめたり、ケンカをして相手を傷つけてしまったり、物を壊してしまったりといったトラブルが頻繁に起こります。「トラブルはつきもの」と、頭ではわかっていても、いざ、わが子が当事者になると、慌ててしまうかも……。
先生は子ども同士のトラブルに、どのように対処しているのでしょう?
【先生のプロフィール】(全て仮名です)
かおり先生:教師生活13年目で、現1年生担任。1年生は7年ぶりで、3回目。海外の日本人学校に赴任経験あり。
ゆみ先生:教師歴10年のうち、5度も1年生担任を経験。今年は3年生を担当している。日本人学校の勤務経験あり。
まどか先生:教師歴5年目で、1度だけ1年生の担任を経験。今年は3年生を受け持っている。
■子どもの話を鵜のみにせず、まず担任に相談を
ーー小学1年生だと、子ども同士のケンカなどのトラブルも多いのではないですか?
かおり先生:子ども同士のケンカは、1年生に限らずどの学年でもあることです。それは「学校」という社会での生活を学ぶ上で不可欠なものですから。
ケンカを通して、子どもは「こういうことをすると、相手を傷つけてしまうのだな」といったことを学んでいくんですよね。だから、トラブルをなくすようにするのではなく、トラブルが深刻化しないようにすることを心がけています。
ゆみ先生:そのためには特に1年生の場合だと、親御さんしか把握していないことなどは、あらかじめお知らせいただいていたほうがやりやすいですね。
例えば、「うちの子、○○くんとよく遊ぶんですけれど、ふざけ合っているうちに、本気でケンカが始まることが多いんですよ」とかね。そうすれば、2人が遊んでいても、「今はふざけ合っているな。あ、そろそろケンカが始まるのかな……」といった具合に、見方を変えて子どもの行動を見守ることができるんです。
――実際に起きたトラブルで困ったことはありますか?
かおり先生:子ども同士のトラブルがあった場合、親御さんはどうしても自分の子どもから聞いた話を鵜のみにしてしまうのだなと感じます。「うちの子がこう言っていますけど、どうなんですか!?」ってね。子どもが言ったことが真実だって思いこんでしまう方も結構いらっしゃいます。
こうした連絡を受けた翌日には、必ず当事者の子どもに事情を聞きますが、「お互いさまだったんだね」ということはよくあります。
1年生くらいですと、どうしても自分に都合のいいことしか話さなかったり、少し脚色しちゃったりとかね。あるいはうまく伝えられなかったりする場合があるんですよね。
ですから、親御さんはお子さんに聞いた話を鵜のみにせず、まずは担任に相談していただけるといいかなと思います。そうすれば、翌日関わった子どもたちみんなに話を聞くことができますし、それによって、より事実に近いことが見えてきますから。
ゆみ先生:ただ、休み時間など、担任が見ていないところで起きることも十分あります。だから、気づいたことがあれば、ぜひお知らせいただきたいですね。そうすれば、翌日に「事情を聞いてみます」と、対処もしやすい。
■一番困るのは、昔の出来事を蒸し返されること
まどか先生:一番困るのは、ずい分経ってから「こういうことがありました」と報告を受けることですね。例えば、2年生になってから、「じつは1年生のときにこういうことがありました……」みたいに、昔の出来事を蒸し返されても、手の打ちようがないんです。
その場ですぐに対処しないと、子どもって忘れちゃうんですよね。「○○ちゃん、1学期にこんなことしたの?」とたずねても、本人はまったく覚えていない。だから、対処のしようがないんです。
ゆみ先生:1週間前のことでも危ういよね(笑)。昨日食べた給食だって覚えてなかったりするもの(笑)
まどか先生:そうそう、だからこそ、できるだけ迅速に教えていただけるとありがたいですよね。
ゆみ先生:だた、保護者のほうも、先生は忙しいだろうなと遠慮されてしまう気持ちもあるかもしれませんね。今伝えたいけれど、忙しそうだからあとで……みたいなね。
かおり先生:なるほど。そういう親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。でも、私たちはできるだけ親御さんからの情報を知りたいと思っています。
とくに1学期は子どもの性格や癖、どんなものが好きでどんなものが苦手なのかまで、できるだけ把握したいんです。だから、遠慮せず、どんどんコンタクトを取っていただけると助かります!
わが子がトラブルを起こしたら、冷静ではいられなくなるかも……!? けれど、そこはあえて気持ちを鎮め、落ち着いてゆっくり子どもから事情を聞きましょう。友だちが関係しているようなら、子どもの話をうのみにせず、先生に相談すること。子どもにトラブルはつきもの。そして、多くの場合は、お互いさまなものです。
子どもだけでなく、親もトラブルから学ぶことはたくさんあるということですね。
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