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女の子の名付けに和風の名前が人気なのはなぜ?
近年の名付けで人気なのが、レトロネームとも呼ばれる和風の名前です。有名な和歌や四字熟語にちなんだ漢字や、明治・大正時代を思わせる古風な響きが特徴のレトロネームは、大人気を博したコミック「鬼滅の刃」によってさらにブームが後押しされました。
日本の美を感じさせるレトロネームは、平凡さを避けられる印象的なものが多く、また幅広い世代に受け入れられやすいことからも根強い人気を誇っています。
和風な名前はどうやって付けるの?
和風な名前を付けたいときは、どのようにして決めればよいのでしょうか?
春夏秋冬の季語・生まれ月の和名から漢字を選ぶ
古来より俳句や連歌には季節を感じさせるキーワードが織り込まれ、現在でも時候の挨拶などに用いられます。またそれぞれの月の和名も季語に含まれ、日本の美を感じさせる漢字として人気です。
春の季語と名付け例
梅、桜、桃、苺、陽炎、佐保姫(さほひめ)、朧月(おぼろづき)、春光、雲雀、山吹、椿、雪解、梓の花、菜の花、鈴懸(すずかけ)の花
名付け例:佐保(さほ)、陽菜(ひな)など
夏の季語と名付け例
風薫る、夏の雲、虹、夕立、扇(おうぎ)、青葉、若葉、牡丹(ぼたん)、麦、五月雨(さみだれ)、青梅(あおうめ)、花菖蒲、李(すもも)、麻、蛍
名付け例:薫子(かおるこ)、蛍(ほたる)など
秋の季語と名付け例
秋澄む、秋の夜、夜長、律の調べ、星月夜、稲、萩、梨、菊、桔梗、草の香、鳳仙花、不知火(しらぬい)、栗、紫苑(しおん、しおに)、葡萄(ぶどう)
名付け例:紫(ゆかり)、朱稲(あやね)など
冬の季語と名付け例
凍る、冴ゆ(さゆ)、冬の月、冬の星、兎、狐、千鳥、南天の実、初霜、春近し、春隣、若菜、柚柑(ゆこう)、蜜柑(みかん)、波の花、水仙
名付け例:美兎(みう、みと)、柚乃(ゆの)など
月の和名一覧と名付け例
1月…睦月(むつき)…名付け例: 睦美(むつみ)など
2月…如月(きさらぎ)…名付け例: 如子(いくこ)、如(なお)など
3月…弥生(やよい)…名付け例: 弥生、彌生(やよい)など
4月…卯月(うづき)…名付け例: 美卯(みう)など
5月…皐月(さつき)…名付け例: 皐(さつき)、皐月
6月…水無月(みなづき)…名付け例: 朝水(あさみ)など
7月…文月(ふみづき)…名付け例: 文乃(ふみの)、文人(あきと)など
8月…葉月(はづき)…名付け例: 葉月、柚葉(ゆずは)など
9月…長月(ながつき)…名付け例: 長閑(のどか)、長良(ながよ)など
10月…神無月(かんなづき)…名付け例: 神凪(かんな)など
11月…霜月(しもつき)…名付け例: 霜花(そうか)など
12月…師走(しわす)…名付け例: 師世(かずよ)、走羽(そう)など
四字熟語から引用する
人の心や物事のありさま、風景、出来事、教訓などさまざまな事象を漢字4文字に収めた四字熟語。熟語の意味にあやかることができ、2文字や3文字をそのまま引用できる四字熟語は、和風な名前を考えるママパパに人気です。
四字熟語にちなんだ名付け例
・一騎当千(千人並みの能力や力があること)→名付け例: 一騎(いっき)
・天真爛漫(無邪気で純真な性格)→名付け例: 天真(てんま、てんしん)
・花鳥風月(美しい自然)→名付け例: 風月(ふづき、ふつき)
新元号「令和」にちなんで
参考:国文学研究資料館
「令和」にちなんだ名付け例
新元号である「令和」にちなみ、「令」や「和」の文字を用いた名前の人気もまだまだ高い傾向に。新しい時代の始まりを告げる新元号にあやかることで、フレッシュな印象を与えられます。
名付け例: 令子(れいこ)、和音(かずね)など
「令和」の引用元・万葉集にちなんだ名付けも
「令和」は日本最古の和歌集である万葉集にちなんで付けられており、引用元となった「梅花の歌三十二首の序文」にも注目が集まりました。「令和」の由来となったのはその中の一節です。
「初春の令月にして、気淑よく風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」
意味:新春の好き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装よそおう白粉おしろいのごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりを漂わせている(国文学研究資料館より抜粋)
美しい自然や春の訪れの喜びを描写した「梅花の歌」は、令和に生まれた赤ちゃんの名付けにぴったりの和歌と言えます。万葉集の歌にちなんだ名付けは、昔から好まれてきた方法です。気に入った漢字やフレーズから引用して名付けましょう。
名付け例: 梅花(うめか)、蘭(らん)など
子どもが大きくなったときに由来を教えてあげれば、古典文学に興味を持つきっかけにもなりますよ。
綺麗な名前は宝石の和名を参考にしよう
透明感や光、色をあらわす漢字を用いた宝石の和名は、その美しいイメージから名付けでも人気。和風の名前の中でも綺麗な印象のものを探しているママパパにおすすめです。子どもの誕生石や好きな宝石の名前をそのまま引用したり、気に入った漢字を抜粋したりして名前に入れてみましょう。
宝石の和名と名付け例
翡翠(ひすい)、真珠(しんじゅ)、瑪瑙(めのう)、菫青石(きんせいせき)、水晶(すいしょう)、紅玉(こうぎょく)、琥珀(こはく)、翠玉(すいぎょく)、玻璃(はり)、瑠璃(るり)
名付け例: 真珠(まじゅ、しんじゅ)、晶(あきら)など
名付けのポイント・注意点
名付けの際にはどのようなことに気を付けるべきなのでしょうか?
名前の響き
和風な名前を考えるときは漢字の見た目や意味に注目が集まりがちですが、名前の響きが気に入ったものになるかどうかも大切です。苗字とつなげてバランスを確認したり、何度も口に出してみてどんな印象を与える響きか考えたりしてみましょう。
名前の意味
子どもにどんな人に育ってほしいのか、どんなことを願うのか、名前にはさまざまな意味が込められます。また和歌の意味やシチュエーション、動植物の名前の季語の中には、名付けにそぐわないものがあることも。和歌や季語から気に入った字を引用する場合は、引用元や漢字の意味をきちんと調べておきましょう。
姓名判断
名前の字画でその人の性格や運勢を占う姓名判断。名付けの際に気になる方は、名前候補の字画を調べて姓名判断を行ってみましょう。
姓名判断はWebサイトで手軽に行うことができます。専門家に相談して本格的に調べたい場合は、姓名判断を行う神社やお寺に出向き教えてもらいましょう。
季語にちなんだ人気の名前
【春の季語】桜子(さくらこ)
春を代表する花である桜は、名付けにおいても咲く姿の華やかさや日本らしい、たおやかなイメージがある漢字です。桜子という名前には、美しく花開く桜のように人の心を引き付ける魅力的な人になりますように、という意味が込められます。
【夏の季語】葵(あおい)
「源氏物語」のヒロイン・葵の上や、江戸時代に長い治世を敷いたの徳川家の「葵の御紋」でもよく知られる葵。色では灰色がかかった紫色を指す葵は、名前においても古風な美しさを感じさせる漢字です。
【秋の季語】楓(かえで)
秋に木の葉が美しく色付き、人々の目を楽しませる楓。名前では、季節に応じてさまざまな姿を見せる楓のようなしなやかさや、大地に根付く木のようにしっかりと人生を歩く強さを願うことができます。
【冬の季語】柊乃(しの)
冬の季語である柊は、古来より魔よけのアイテムとして世界各地で重宝されてきた植物。悪いものを寄せ付けない強さを持つ柊に、止め字である乃を組み合わせた柊乃は、しなやかで美しい古風な名前を付けたい方におすすめです。
四字熟語にちなんだおすすめの名前
風花(ふうか)
四季それぞれの美しいものを集めた四字熟語・雪月風花(せつげつふうか)にちなんだ名前です。夏の風、春の花をあらわす部分であることから、生命力あふれる生き生きとした人という意味が込められます。
雪月(ゆづき)
四季の美しさをあらわす四字熟語・雪月風花の冬と秋の部分を抜粋した雪月。雪のイメージから純粋無垢な性格や、月の神秘的な美しさにあやかれる、風花と対照的な魅力を持つ名前です。
百花(ももか)
たくさんの花が咲き乱れるさまをあらわす四字熟語・百花繚乱から引用した名前です。名前においては、恵みあふれる豊かな人生になってほしいという願いが込められます。
「令和」にちなんだおすすめの名前
知令(ちはる)
令は神の託宣や為政者の発するいいつけを意味する漢字で、名付けでは清らかさや人に信頼され慕われる性質を願うことができます。知識や感性をあらわす知と組み合わせた知令という名前には、その知性や能力を発揮し、人を率いるような人物になってほしいという願いが込められます。
千和(ちわ)
数が多いことをあらわす千は、名前では豊かな恵みや広い心を願って用いられる漢字です。また和は人との縁や穏やかさを指します。千和という名前には、人との縁に恵まれた平穏な人生を願うことができます。
風和(ふうあ、ふうな、ふうか)
令和の由来となった「梅花の歌」の一節、「気淑み風和らぎ」から風和という名前もおすすめです。さわやかなイメージを持つ風は、名前では自由さや、人や世の中に影響を与える力を祈って用いられます。風和は、人と助け合いながら風のように自由に人生を歩んで行けるように、という願いが込められる名前です。
宝石の和名にちなんだおすすめの名前
翠(すい、あきら、みどり)
翡翠(ひすい)やカワセミの名でも知られる翠は、美しい緑色を指す文字でもあります。翠という名前には、宝石のような美しさや、生命力あふれる人になってほしいという意味が込められます。
瑠璃(るり)
ラピスラズリの和名である瑠璃は、深く美しい青色が特徴の宝石です。瑠璃は古来より宝飾品や彫刻、顔料など幅広く使われてきました。宝石言葉は保障された成功、幸運、健康、真実などがあり、イメージ、意味と共に名付けに申し分ない言葉です。
響き・字面・意味から名前を選ぼう!
いかがでしたか?和風な名前にも響きがレトロなもの、字の見た目が和風なもの、古典文学にちなんだものなどさまざまな選び方があります。
名付けに迷ったときには名前の響き、字面、意味のどのポイントに和風なイメージが欲しいのか考えてみるのがおすすめです。
文・構成/HugKum編集部