最新トイトレ・メソッド|うんちや出先や夜間問題、異性の子どものサポートまで専門家に聞いた!

いよいよトイレトレーニングも本格化してくる3歳前後。
ただ排泄のタイミングを計ってトイレに連れていくだけではすまないのが、トイレトレーニングの悩ましいところです。

親としてどんな心持ちでいればいいのか。前向きな気持ちで乗り切っていけるよう、保護者が抱きがちな疑問と、お悩みについての対処法を、トイレトレーニングアドバイザーで保育士の森田麻琴先生に伺いました。

停滞・後退は当たり前 親も子も余裕を持って進めましょう

トイレトレーニングの進み具合は、個人差とともに、家庭ごとの子育て方針の違いが大きく関わるものです。同じ月齢の子どもたちが、みんな同じように進むものでもありません。

2−3歳ごろ、多くの家庭でトイレトレーニングを開始し、排泄のタイミングを見てトイレに誘うことを始めているのではないでしょうか?  トイレでのおしっこに成功しているかどうかはさておき、トイレに入ることを嫌がらず、便座に座ることができているなら、今はそれで十分です。

トイレトレーニングには停滞がつきもの

2歳頃になるとイヤイヤ期にも突入するため、トイレトレーニングが停滞することがあります。また体調を崩したり、下の子の妊娠があったり、様々なことが原因で順調だったトレーニングが後退してしまうことも。

親としては落ち込むかもしれませんが、完了にたどりつくまでには停滞や後退、失敗を重ねるのが当たり前です。親がイライラしたり、余裕がなかったりすると、子どもにもそれが伝わり、ますます上手くいかなくなるもの。親が疲れているとき、子どもの体調が今ひとつなとき、親と子のどちらか一方でも乗り気でないときには、声かけや働きかけは潔くやめてしまいましょう。親が一歩引いたほうが、子どもはぐっと前進することがあるものです。

特に2歳頃は、何かに夢中になっているタイミングで声をかけても上手くいきません。遊び出す前、外出前など、何か新しい行動に移る前に「この後○○するからトイレに行かない?」と声をかけると、スムーズにいきやすいです。

3歳過ぎになると、園との連携も大切に。家庭ではのんびり進めていく方針なのに、園から「入園までにおむつは完全に外してきてください」と言われて慌ててしまうことも。その場合は「努力はしましたが、ここまでしか進んでいません」と正直に伝えて相談しましょう。トイレトレーニングの主役は、親でも園の先生でもなく、子ども自身です。子どもにとって無理のない形で進められるといいですね。

年齢別の排泄の姿

前半(2歳後半~3歳前半)

トイレに行き、便座に座ることができる。おしっこが出そうな感覚も自分でつかめるように。

一方でイヤイヤ期のため、面倒くさいと自分からはトイレに行きたがらない場合も。本人のコンディションや声かけのタイミングが合うとトイレで排泄ができる。

後半(3歳前半~4歳)

排泄の感覚の理解が進み、精神的にも成長。遊びに集中しているときでも、自分から「トイレ!」「おしっこ!」と伝えられるように。いつもと違う状況や慣れない場所では、感覚がつかみづらかったり、我慢したりしてしまうことも。大人がタイミングを計ってあげることはまだ必須。

教えて森田先生!「トイトレのお悩み、こんなときはどうする?」

「決めるのは子ども自身」ということを念頭に

トイレトレーニングを進めていくなかでは、様々な悩みが出てくるものです。大前提として、トイレトレーニングの主役は子どもであり、親はサポーター。どうするか最終的に決めるのは子ども自身であることを忘れないでください。

おむつをはくのか、パンツにするのか迷う場面では、本人に事情を話して「どっちにする?」と聞き、その選択を尊重します。こうした経験を通じて、子どもは自己肯定感を高めるとともに、「自分で選ぶ・決める」ことを覚えていきます。トイレトレーニングを通じて培われたものが、子育ての他の場面でも生きてくるのです。

Q1.おうちや園のトイレではできるのに、外出先など初めての場所や使い慣れないトイレでは排泄ができません

森田先生:補助便座や幼児用トイレがない場合は、向かい合った状態で子どもの脇を支えてあげると安定します。
ただ、いつもと様子が違うので上手く出ないことも。どうしても外のトイレを嫌がる場合は無理強いしません。おむつにはき替えるか、外のトイレに挑戦するかを子どもに聞いてみましょう。
失敗してもいいようにおむつや着替え一式を「もしもグッズ」として持ち歩くと安心ですね。
また、出かけるときは前もってスケジュールを伝えておくのも大事です。「今日は○時までおうちで遊んで、そのあと電車に乗るから、その前におうちでトイレに行っておこうね」と伝えておくと、外出先で親も子どもも慌てなくてすみます。

Q2.おしっこはトイレでできるようになったのに、うんちはタイミングがつかめないのか、まだできるようになりません

森田先生:ほとんどのお子さんが、うんちをトイレでできるようになるまでには時間がかかります。
おしっこは便座に座るタイミングさえ合えば、自然と出ることもあるのですが、うんちはそれまで無意識におむつの中にしていたものを、便座に座り、意識してふんばらないといけません。しかも出たあとにくさいニオイもあるので、それに挑戦するのは子どもにとってかなり勇気のいる大冒険なのです。
親としては「あとはうんちだけなのに!」と焦ってしまうと思いますが、ここでも余裕を持って見守ることがトイレトレーニング完了への近道になります。長い目で見てあげてください。

Q3.日中はトイレでの排泄がほぼ完璧なのですが、夜寝ている間は難しいようで、まだおねしょをしてしまいます

森田先生:これもよく聞かれる悩みのひとつですが、おねしょの問題は体のメカニズムに関わることなので、トイレトレーニングとは別物と考えていいでしょう。個人差も大きく、ほとんどおねしょをしないで進んでいく子もいれば、就学直前まで夜だけおむつをはいている子もいます。
また、その日の体調が悪かったり、気持ちが不安定だったりすると、おねしょしてしまう場合も。おねしょは親も子もダメージが大きいのでつらいところですが、ここでも夜だけおむつにするのかどうかは、子ども本人と相談したうえで決めさせてあげてください。

Q4.和式トイレを使うことができません。小学校入学までに練習しておいたほうがいいのでしょうか?

森田先生:最近は小学校のトイレも洋式が増えていますし、災害時に使う非常用トイレも洋式であることが多いようです。ですが、和式しか空いていない場面に出会ったときのために、使えたほうがいいですよね。
「昔はこんなトイレばっかりだったんだよ~」と話しながら、楽しく練習してみるのもいいかもしれません。一度でも使った経験があると、いざというときに子どもも安心して使えます。
最初は親が支える形で挑戦してみるといいでしょう。子どもの後ろ側に回って一緒にしゃがみ、太もものあたりを手で支えてあげると安定します。いきなり本物のトイレを使うのが難しければ、家の中でしゃがむ練習をしてみてもいいかもしれません。

Q5.異性の子ども(母親→息子・父親→娘)の場合、どうやってトイレのサポートをしたらいいのか悩んでしまいます

森田先生:体のつくりが違っているとトイレの手順も少し違いますね。
男の子の場合も最初は便座に座っておしっこをしますが、慣れてきたら立ってする方法も伝えていくことになります。便座が高いときは踏み台などに立たせて、後ろからおちんちんの根元に手をそえましょう。おちんちんの先におしっこが残ることがあるので、トイレットペーパーで吸い取るといいですね。
女の子の場合は向かい合って支えます。おしっこのあとはトイレットペーパーでゴシゴシするのではなく、トントンと押し当てるようにふくのがおすすめです。また、うんちの場合は、男女共通でおしりの穴のあたりに手をあてて、後ろに向かって手を動かします。この動きが子どもには難しいので、最初は大人が手をそえて教えます。

覚えておきたいトイレのマナー

衣服の脱ぎ方

3歳頃になったら、パンツを足首までおろした状態でトイレに行く練習をしたいところです。自分では難しいので、最初は大人がパンツをおろして感覚をつかませます。

安定してできるようになってきたら、次はトイレで服をおろす練習をしていきましょう。男の子は慣れてきたら、立ったままおちんちんの下までおろすことを教えていきます。

トイレットペーパーの使い方

おしっこ、うんちをふくときにどのくらいトイレットペーパーを使ったらいいのかは、大人が見本を見せます。イヤイヤ期で、言い聞かせてもトイレットペーパーで遊んでしまうときは、使うとき以外は外しておいても。

 

記事監修

保育サロンコスギビーンズ代表
森田 麻琴 先生

神奈川県川崎市で未就園児の親子が楽しく活動する保育サロンを運営する保育士。トイレトレーニングアドバイザーとして、日本で唯一のトイレトレーニングクラスを開講している。

 

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

『めばえ』2021年7月号別冊
イラスト/やまざきかおり  構成/童夢

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