【食品ロスを自分ごととして考える】親子で話そう、「食べ残しがダメ」な本当の理由

「好き嫌いはダメ」「食べ残しはやめなさい」。そう教えられて育った人も多いはず。そして、子どもたちへも同じように「食べ残しはダメ」と言いますよね。食べ残しをしてはいけない理由を聞かれたらみなさんはなんと答えていますか?

多くの人は「恵まれない地域の子どもたちは十分に食事ができていないんだから」と伝えているかもしれませんが、正直子どもはピンときていないかも…。

そこで今回は、「そもそもなぜ食べ残しがダメなのか」について、日本や世界の現状をできるだけわかりやすくイメージできるよう、数字や具体例を交えながら説明していきます。今後の生活で自分にどのような影響があるのか、どのようなことを意識すればよいのか。一歩踏み込んで考えてみましょう。

食べ残しがダメな理由①「食品ロス」

まず、なぜ食べ残しがダメなのか。

これは今とても注目されている「食品ロス」の問題に大きく関わっているからです。「食品ロス」というのは、本来食べられる食品が捨てられてしまうこと。食べ残しはもちろん、賞味期限が切れて捨ててしまったり、私たち消費者に届く前に食品が廃棄されてしまったりすることを指します。

 いま全世界では、毎年13億トンの食品が捨てられていて、そのうちの3分の1はまだ食べられる食料です。たくさんの食品が捨てられているにも関わらず、世界人口の約8億人、9人に1人が栄養不足、飢餓状態にあると言われています。

食べ物を多く捨てている国がある一方、全く食べれていない人や国もあるというアンバランスな状態が今の世界の現状です。学校のクラスに例えると、1クラスが40人だとしたら、クラスメートのうち4人は毎日朝ご飯も給食も夜ご飯も、十分に食べられていない状態なのです。

 日本の食品ロスはアジアワースト1

出典:農林水産省HP(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html

 そして日本の食品ロスに目を向けると、実は世界でもトップクラスで多く、2021年4月27日に農林水産省が発表した2018年度の食品ロス量は、なんと600万トン!1人あたりの食品ロスの量で言うとアジアワースト1位という状況です。イメージしやすく言い換えれば、全国民が1人あたり1日にお茶碗一杯分の食料を捨てていることになります。

 そして600万トンのうち約半数の276万トンが、家での料理の作り過ぎによる食べ残しや、買ったのに使わずに捨ててしまうことによる家庭からの食品ロスなのです。

食べ残しがダメな理由②「お金と環境問題」

食べ物を捨てれば捨てるほど、コストがかかる

食べ残しがダメな2つ目の理由はお金と環境問題にも大きな影響があるからです。

まずお金の面では、食品ロスというのは食品を廃棄をするということなので、もちろんゴミが発生します。日本では、廃棄した食料は焼却しますが、その焼却するということ自体にお金がかかりますよね。 日本の一般廃棄物の処理コストが約2兆円もあり、そのうち食品ロスにおける処理コストは2200~2300億円にものぼります。

 この処理コストには、私たちの税金が使われています。日本は食料自給率が低く、わざわざ海外から輸入して食料を買っているのにも関わらず、多く捨ててしまっているのも問題です。買うコストと捨てるコストの両方で大きなお金を使っていることになります。

 さらに食費が家計に占める割合は消費支出の4分の1を超えていることから、食品ロスを減らすことは家計の負担を軽くすることにも繋がります。つまり、食品ロスが増えることにより皆さんのお金の負担は大きくなりますし、減れば減るほど負担が軽くなるということです。

 食べ物のゴミ問題は環境にも負担大 

そして2つ目の環境面です。

廃棄する食品をゴミとして焼却すると温室効果ガスである二酸化炭素が発生し、地球温暖化がますます進んでしまいます。ゴミは焼却するとそのまますべて燃えてなくなると思われがちですが、実は燃えきらないものもあり、多少のゴミは埋めなければいけません。その埋立地があと20年もしないうちに足りなくなるとも言われています。これがゴミ焼却における環境への負荷となります。

 30年後には魚が食べられなくなる!?

さらに、生活の身近なところでは、今後魚が食べられなくなる可能性も。

実は今、世界では人口が増えていて食品の消費量は年々上がっているものの、供給量が追いついていないというのが現状です。できるだけ食品供給量を増やそうということで魚の乱獲(魚の獲りすぎ)がさまざまな国で行われていて、アメリカの科学雑誌「サイエンス」は2048年には食用可能な魚が絶滅するのではないかという調査を発表しています。

日本でも人気のマグロやイワシやうなぎはどんどん減少していて、価格の高騰が避けられない状況です。

子どもへはどう伝える?

それでは、子どもに食べ残しがいけない理由をどう伝えたらよいでしょうか?

良い方法は「話す場面やその子によって言う内容を変えてみる」ことです。

例えば、

 お寿司が好きな子には「30年後に大好きなお寿司が食べられなくなるかも…」

旅行を楽しみにしているときには「食べ残しをしなければ、お家のお金が増えてみんなで旅行に行けるかも!」

夏の暑い日だったら「食べ残しによって地球温暖化が進むともっと夏が暑くなっちゃうかもね…」

 など、伝え方はさまざまあるかと思います。

今回お話した食品ロスをはじめ、SDGsの取り組みは、問題が大きいので1人の力だけで解決することは難しく感じますよね。ですが誰もが無視してしまえば、その分早く私たちの生活に大きな影響が出ることは明らかです。

まずは自分にできることから、行動を変えていきましょう。

 ▼「食品ロス」についてわかりやすく解説した動画はこちら

 

記事監修

みらいい|教育メディア

「いいなぁ、みらい」をコンセプトに、子どもたちのみらいを切りひらくための機会を提供。webメディア「みらいい」やYouTube「みらいいチャンネル」を中心とした先端教育に関する情報発信や成功体験を得るプロジェクトを推進。プログラミング教育やSTEM教育、SDGsに関する情報格差の解消を目指します。

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 1 貧困をなくそう
  • 2 飢餓をゼロに
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう

SDGsとは?

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