目次
自分に合った枕を使う重要性
枕は、好みよりもまず「自分に合うかどうか」を重視することが大切です。なぜ自分に合う枕を選ぶべきなのか、その理由を見ていきましょう。
枕の役割は首を支えること
枕は頭をのせるものというイメージがありますが、実際には頸部を支えるためのものです。
人が仰向けで横たわると、肩から頸部にかけてすき間ができます。このまま眠ってしまうと首や肩に掛かる負担が大きく、質の高い睡眠を得られません。そこで、肩から頸部に枕を当ててすき間を埋め、負荷が肩や首に集中するのを防いでいるのです。
ただし、横たわったときにできるすき間の大きさは、人によって異なります。枕は本来非常にパーソナルなもので、他人と共用するのには不向きなのです。
体の緊張をほぐし、眠りが深くなる
肩から頸部のすき間をきちんと支えてくれる枕を使えば、頸部や肩に不要な圧が掛かるのを防げます。体に不要な力が入ることがないため、深い眠りを得やすくなるでしょう。
合わない枕を使っていると、体に力が入ったり頸部を圧迫されたりして、リラックスできません。それなりに睡眠時間を確保しても「寝た気がしない」「疲れが取れない」など、すっきりしない目覚めとなる可能性があります。
枕が合わないと痛みが出ることも
合わない枕を使っていると、首や肩が不自然な姿勢になりがちです。首こりや肩こりを発症しやすく、寝苦しい状態となります。首こり・肩こりの症状が深刻化すれば、頭痛や吐き気を感じることもあるかもしれません。
合わない枕で体が不調になりやすいのは、寝返りを打ちにくくなることが原因の一つといわれます。
寝返りは、睡眠中に血液の循環を促したり、体の一部に体圧が掛からないようにしたりするための生理的な動きです。
寝返りしにくくなると睡眠の質が低下しやすく、首こり・肩こり・腰痛などを発症しやすくなってしまいます。
参考:快眠のためのテクニック | e-ヘルスネット(厚生労働省)
理想の枕の要素
理想の枕とは、頸部・肩・頭部のラインを圧迫感なく支え、快適な眠りを提供してくれる枕です。枕を選ぶときは、高さや形状・やわらかさなどをチェックして、自分に合うものを見つけましょう。
「理想の枕が欲しい」と思ったとき、確認したいポイントを紹介します。
高さが合っている
枕は、横たわったときにできる「肩から頸部のすき間にぴったりはまる高さ」が理想です。
仰向きに寝たとき、首の角度が5度くらいになる枕を探しましょう。その人の体格にもよりますが、1~6cmくらいの高さの枕がおすすめです。
二足歩行に進化した人間にとって、最も体に負担の少ない姿勢は「背骨が自然なS字に湾曲した状態」といわれます。
頸部のすき間にフィットする枕を使えば、理想の寝姿勢を実現するのは難しくありません。筋肉・神経等に掛かる負担が少なく、心地よく眠りやすくなるでしょう。
なお、仰向きと横向きでは、マッチする枕の高さが異なります。普段から横向きで寝る人は、横向きで枕の高さをチェックしましょう。
寝たときも姿勢を保てる形状
枕は、肩から頭全体を支える奥行き・幅が必要です。頭だけを乗せるような枕だと、床面と首の角度が付き過ぎてしまいます。
首が不安定になり、理想の寝姿勢をキープしにくくなるでしょう。枕を使って横になったとき、安定感のある枕がおすすめです。
また、枕の形状・サイズは寝返りにも影響します。
枕の幅や奥行きが狭いと、寝返りをしたときに頭が落ちてしまうかもしれません。質の高い睡眠を得るには、睡眠中に横向きになっても仰向きになっても、安定感が変わらない枕を選ぶことが大切です。
好みの硬さを作れる素材
枕の硬さは、中材によって異なります。頭を横たえてみて、心地よい硬さを感じられる素材がおすすめです。
オーダーメイド枕を作る場合、以下のような選択肢があります。
・パイプ:ふつう・硬め
・粒わた:やわらかめ
・ビーズ:ふつう
・そば殻:硬め
・ウレタン:やわらかめ
・羽毛:やわらかめ
より快適性を追求するなら、枕の通気性・放湿性もチェックするのがおすすめです。
放湿性の低い枕は衛生面の不安がある上、寝苦しさを感じやすくなります。「頭寒足熱」といわれる通り、頭を涼しく保てるものの方が、良質な睡眠を得やすくなるでしょう。
例えば、パイプ・そば殻・羽毛素材の枕は、通気性に優れているといわれます。
枕をオーダーメイドするメリット
睡眠の質を高めたいなら、枕に体を合わせるのではなく、枕を体に合わせるのが理想です。枕のオーダーメイドには、どのようなメリットがあるのか、具体的に紹介します。
プロが測定してくれる
枕をオーダーメイドするとき、その道のプロが実際に体を測ってくれます。
枕はリアルなデータを元に作られるため、「高さが合わない」という心配はいりません。どのような体形の人も、理想の寝姿勢を維持できる枕が手に入ります。
枕は高さが数mm違うだけで、寝心地がガラッと変わってしまいます。市販の枕をいくつも試してガッカリするよりも、思い切ってオーダーメイドした方が、ムダは少ないでしょう。
アフターフォローが行き届いている店舗なら、購入後も納得のいくまで枕の調整をしてくれます。
好みに合わせてカスタマイズできる
オーダーメイド枕なら、中材・硬さも好きに選べます。店舗には見本の枕が置いてあるため、寝心地の違いを試しながら購入できるのもメリットです。
素材の種類はオーダーメイドする店舗によりますが、多いところなら10種類以上から選べます。
プロによるカウンセリングやメリット・デメリットの説明を受ければ、自身のニーズを満たす素材を見つけられるでしょう。
オーダーメイド枕の費用相場
既製品の枕が数千円から数万円と価格帯が広いように、オーダーメイド枕も安価なものと高価なものとでは大きな違いがあります。
枕をオーダーメイドしたい場合、どのくらいの費用を見積もっておけばよいのでしょうか? オーダーメイド枕の費用相場について紹介します。
平均の価格は3万円
オーダーメイド枕全体を見た場合、平均で3万円程度のコストがかかると考えるとよいでしょう。
オーダーメイドの枕は同レベルの既製品より高額になるのはほぼ間違いなく、1~4万円の価格帯の商品が多く見られます。
オーダーメイド枕が高額になる理由としては、各ブランドのこだわり・素材の違いなどが価格に反映されることが挙げられます。
同じようなオーダーメイド枕を提供するブランドでも、選べる中材の選択肢が多かったり、縫製・形状にまでこだわりぬいたりしているところの商品は、やはり高額です。
完全オーダーは価格が高め
完全オーダーメイドは、眠りや枕の知識豊富なプロが、カウンセリングから測定までを行ってくれるスタイルです。
枕の高さの計測・素材の説明・提案も行ってくれるため、希望にマッチした枕が作れます。ただし、価格は高額になるでしょう。
一方、セミオーダーメイドは、プロの測定・カウンセリング等がないのが一般的です。
店舗でサイズ計測やフィッティングはできますが、プロほどの正確性は期待できません。枕について理解していて、「こんな枕が欲しい」とイメージできている人におすすめです。
枕のオーダーメイドの流れ
一般的なオーダーメイド枕は、店舗に足を運んで作成を依頼します。「オーダーメイド枕を作ってみようかな」と考えている人は、枕を作る流れについて知っておくと安心です。
オーダーメイド枕の注文から完成までを紹介します。
プロによるカウンセリングと計測
まずは、眠りのプロが個々の眠りに関する質問を行って、一人一人の睡眠状態について確認します。眠りについて気になることがあれば、全てきちんと伝えましょう。
カウンセリングが終われば、次は枕を作るための計測です。計測方法はメーカーによりますが、体に合ったオーダーメイド枕を作るには、寝姿勢・体圧分布の測定が欠かせません。
多くの場合、専用機器を使って背面・横向きの立位姿勢を測ったり、横になった状態で体のどこに負荷が掛かっているのかを調べたりすることとなるでしょう。
フィッティングで好みの素材や硬さを選ぶ
データ測定が終わったら、横になってサンプルを試します。さまざまな素材・硬さを実際に体験できるので、心地よく感じられたものを選びましょう。
この時点では、まだ高さを気にする必要はありません。頭に当たる素材の感触や頭の沈み込み方、圧迫感などを重視すればOKです。
素材が決まったら、プロが測定データを元に最適な高さに調整してくれます。横向き・仰向きの状態はもちろん、寝返りのしやすさもしっかりとチェックしましょう。
完成した枕を調整
枕の中材・サイズ・高さが決まったら、実際に自分だけのオーダーメイド枕を仕立ててもらいます。完成後はもう一度フィッティングを行って微調整し、納得できればオーダー完了です。
店舗の混み具合や状況にもよりますが、枕の計測から仕立てまでで30分から1時間程度かかります。
完成した枕はそのまま持って帰れることがほとんどですが、店舗によっては引き渡しまでに数日かかることもあるようです。
なお、オーダーメイドに対応している多くの店舗は、枕の再調整を無料で行ってくれます。ただし、期間が限られているケースもあるため、再調整の規定について必ず確認しておきましょう。
オーダーメイド枕の選び方
満足のいくオーダーメイドをかなえるには、店舗選びが非常に重要なポイントとなります。購入の際は枕の仕様はもちろん、店舗の利便性・サービスについてもきちんとチェックしておきましょう。
オーダーメイド枕を選ぶとき、注目したいポイントを紹介します。
近くに測定できる店舗がある
質の高い枕を求めるなら、プロによる計測は不可欠です。枕をオーダーメイドする際は、実店舗があって、プロが常駐している店舗を選びましょう。
店舗の場所は、普段の活動範囲内にあるものがベターです。基本的にオーダーメイド枕は、傷んだから・合わなくなったからと廃棄するものではありません。店舗でメンテナンスをして長く使うため、枕を持って行き来しやすい店舗が好ましいといえます。
例えば、よく行くショッピングモールにオーダーメイド枕の専門店があれば、店に足を運ぶのも苦にならないでしょう。まずは自宅付近に好ましいショップはないか、検索してみることをおすすめします。
サポート付きのサービスが安心
多くの場合、オーダーメイド枕には何らかのアフターフォローが付いています。しかし内容はメーカー・店舗によってさまざまで、「アフターフォローがあるのは当然」とは言い切れません。
オーダーメイド枕で質の高い睡眠を得たい場合は、コンスタントにメンテナンスしてくれるメーカー・店舗がおすすめです。
例えば、何度でも無料で中材補充・高さ調節を行ってくれるところがある一方、無料対応は期限付きという店舗もあります。
また、たとえ同じ店舗でも、プランによってアフターフォローの内容が違うケースも少なくありません。オーダーメイド枕を購入する際は「アフターフォローの有無・期間」「料金」については必ず確認しておきましょう。
自宅で洗濯可能なものが衛生的
オーダーメイド枕は、家庭での洗濯に対応しているものを選びましょう。洗えない素材の枕だとクリーニングに出す必要があり、メンテナンス費がかかってしまいます。
枕を使う際は枕カバーを付けるのが一般的ですが、カバーの上からでも汗や皮脂は染みこみます。
枕本体を洗わずに放置すると雑菌・カビ等が繁殖する恐れがあり、衛生面で不安です。見た目が汚く臭いが出てくれば、使い続けたいとは思えません。高額な枕でも、廃棄するしかなくなるでしょう。
加工にもよりますが、天然素材の中材は洗えないケースが多いようです。中材を選ぶときは、洗濯の可否についても尋ねておきましょう。
おすすめのオーダーメイド枕ブランド
近年は良質な睡眠を求める人が多く、睡眠に関する市場は拡大傾向にあるといわれます。オーダーメイド枕のブランドもさまざま登場しており、選択肢は豊富です。
オーダーメイドで枕を作りたい人は、どのようなブランドがあるのかチェックしてみましょう。
じぶんまくら
「株式会社タナカふとんサービス」が提供する、枕のオーダーメイドサービスです。
一人一人のニーズに合った寝具を提供する「じぶんシリーズ」の一つで、掛け布団・敷布団・マットレスと併せて購入できます。店舗の多くはショッピングモール内にあり、北海道から九州エリアまで幅広く展開中です。
オーダーメイド枕の種類は「レギュラー」「プレミアム」「頂(いただき)」の3種類があります。枕には14~18個のポケットが付いており、それぞれの部位で中材を調整して理想のフィット感を実現する仕様です。
購入後は、全国145店舗で無料メンテナンスを実施してくれるため、アフターフォローにも不安はないでしょう。
じぶんまくら/オーダーメイドで自分にぴったりの枕に|じぶんまくら公式サイト
ピロースタンド
東京西川が提供する、オーダーメイド枕専門店です。
店舗では眠りの専門スタッフが、一人一人のニーズに応じた枕を提供してくれます。ネットから来店予約ができるので、カウンセリング・測定がスムーズです。
オーダーメイド枕は人間工学に基づいて作られており、仰向き・横向きに対応します。寝返りしやすいワイドサイズで、寝心地も心地よく感じるでしょう。
枕の種類は、スタンダードとプレミアム、さらに高さ調整が永久無料のプライムレギュラーとプライムプレミアムの計4種類があります。
店舗は関東圏・関西圏にて展開中です。特に、東京の店舗が多いため、東京エリアの人は使い勝手がよいでしょう。
FIT LABO
西川株式会社が提供する寝具ブランドです。専門の「快眠マイスター」が在籍し、一人一人の体形に合った枕を提供してくれます。
マットレスと併せてのオーダーメイドも可能で、さらに質の高い睡眠を追求したい人におすすめです。
枕の種類は、レギュラータイプ・ワイドタイプ・プレミアムの3種類です。立ち姿勢はもちろん体圧分布まで測定するため、心地よい枕の高さを実現できます。
オーダーメイド枕は2層になっており、ウレタンのベース以外の中材・側地は手洗い可能です。へたりを感じた場合は、店舗に持参すれば、10年間無料でメンテナンスを受けられます。
店舗は、北海道から九州まで展開中ですが、快眠マイスターが在籍していない店舗もあります。最寄りの店舗に行く前に、事前のチェックがおすすめです。
オーダーメイドまくら・マットレスのFIT LABO(フィットラボ)(快眠ひろば)|西川株式会社
まくらぼ
Futonto株式会社による、オーダーメイド枕の専門店です。
枕の種類は、レギュラーとプレミアムの2種類があり、いずれも購入後は店舗にて無料のメンテナンスを受けられます。どうしてもフィットしない場合、90日以内なら返品も可能です。
枕は八つのポケットが付いており、横向き・仰向き寝に対応できる仕様です。店舗に在籍する「まくらマイスター」が2mm単位で高さを調整してくれるため、理想の寝姿勢を実現できます。
中材は10種類から選べる上、本体は丸ごと洗濯可能です。洗濯機の使用がOKなので、お手入れの手間が少ないのは大きなメリットといえるでしょう。
店舗があるのは本州のみですが、オンラインショップも利用できます。
オーダーメイド枕の店【まくらぼ】 まくらぼオリジナル商品「オーダーメイド枕」
自分専用にカスタマイズした枕で快眠
姿勢や体圧を計測して作るオーダーメイド枕なら、体にぴったりフィットします。心地よいリラックス感で、深く良質な眠りを得やすくなるでしょう。
ただし、オーダーメイド枕は徹底的にカスタマイズできる一方、既製品と比較して高額です。価格なりのメリットを実感できるよう、店舗選び・枕選びは慎重に行うことをおすすめします。
睡眠の質の良し悪しは、日中のパフォーマンスに影響します。子どもの相手でクタクタになりがちなパパ・ママこそ、睡眠の質を高めるのがおすすめです。快眠できる枕をオーダーメイドして、睡眠の満足度を高めましょう。
構成・文/HugKum編集部