わが子を「いい医者」にする子育て論。人気幼児教室の塾長にして勤務医経験を持つ熊野さんに訊く

医師免許を持ち勤務医の経験もある幼児教室ひまわりの塾長・熊野貴文さんに、わが子の幸せや成功を願うパパ・ママに向けた子育て論を聞きました。

子どもに「いい医者」を目指してもらうために、親ができることは?

子どもには将来困ってもらいたくない・幸せになってもらいたいと願うパパ・ママはたくさんいるはずです。その「困らない」「幸せ」が、安定した高収入の職という発想につながって、その分かりやすい一例である医業にわが子を就かせたいと早々に子育ての方針を固める保護者も中にはいるようです。

「どうして紋切り型の発想で子どもを早々にレールに乗せるのか?」といった素朴な批判も当然ありますが、高校生の段階で、医学部に入れるくらいの学力があれば、大学進学時にわが子の選択肢が劇的に増えます。わが子が前人未到の荒野を行くタイプではない、ある程度レールを敷いてもらったほうが生きやすいと感じるタイプの可能性もあります。

そこで医師免許を持ち勤務医としての経験もある幼児教室ひまわりの塾長・熊野貴文さんに、子どもを医者にしたい場合の子どもの導き方を聞きました。しかも単に肩書だけではなく、「いい医者」を目指させる場合の導き方を聞きました。

医者としての道に限定せず、広い意味でわが子の幸せと成功を願う親御さんは、ぜひ読んでみてくださいね。

学び、進化させ、ゆっくりと未来を変えていく力

わが子を医者にしたいと考えるパパ・ママは、2つのグループに分類できると筆者は思います。保護者自身が医師のパターンが1つ。もう1つは、親自身が医師ではないパターンです。

後者の保護者は医者の実態が分からないままわが子に医師を目指させる形になります。医者とはどういった仕事で「いい医者」とはどういった存在なのか、まずは理解したいところですよね。

幼児教室ひまわりの塾長・熊野さんは大阪大学医学部医学科を卒業し、大阪大学付属業院や関連の病院で勤務医として医療に携わった経験のある正真正銘の医師です。

その熊野さんに「いい医者」の定義をまず聞くと、

「最善の治療をする」

を前提に、そのための技術と人間性が必要になってくると教えてくれました。

「医者の業務は見かけ以上に多種多様です。しかし過去のデータベースを基に適切な治療を再現する技術、正解の確率が高い治療法を選択する技術が共通して求められます。

その技術習得のためには徹底的に勉強し続ける姿勢が求められますし、今までの治療では治せなかった・難しかった問題を解く技術も大切になります」

それらの技術を支える土台は子どものころからの「学び続ける姿勢」が挙げられます。さらに「現状の問題と解法をさまざまな角度から見て別の解決方法がないかと考え続ける姿勢」にもあると熊野さんは教えてくれました。

過去の膨大なデータベースを学び、進化させ、ゆっくりと未来を変えていく医者がまさに「いい医者」の姿なのですね。

その理想像へ到達するために逆算すると、子どものころからの学習習慣は大前提となります。

さらに計算問題1つにしても「もっと速い解き方がないか」「もっと違った角度から答えが出せるのではないか」とさまざまな角度から考え続ける習慣を身に付ける必要が出てくるみたいです。

学んだ解き方を完璧に使いこなせるだけではなく、もっと違った方法がないか・もっと効率的な方法がないか、考え続けさせる声かけやきっかけづくりをパパ・ママとしても意識し続ければいいのですね。

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共感力と動じないメンタルは家庭で育まれる

ここまでは「いい医者」の技術の話でした。

「『いい医者』になるためには技術だけでなく『共感する力』『不安にさせない安心感』など人間性の部分も必要になってきます」

と熊野さんは言います。

患者の苦しみに共感できる気持ち、さらには病気で不安を感じている患者や家族を不安にさせない立ち居振る舞い、全て想定の範囲内といった態度を貫くメンタルの強さが必要になってくるそうです。

熊野さんによれば、学校や塾ではなく家庭の部分でこれらは育まれると言います。

他人に共感できる気持ちは、例えば子どもの感動を普段からパパ・ママが共感できているかで決まっていくそう。

子どもが公園で虫を見付けてきたとしましょう。喜んで持ってきたのに親が喜びも驚きもせず、挙句の果てにはスマホばかりを見ていたら、他者に共感する子どもの気持ちは育たないと熊野さんは言います。

どんな場面でもうろたえないメンタルも、普段の親の接し方が大きな影響を与えるそう。クラスの成績の順位が下がったとします。その際に親がパニックやヒステリックになるのか、それとも大きく構えて「次はこうしてみよう」などと進むべき道を冷静に示してあげるのか、その態度が子どもに大きく影響を与えるのです

いい医者になるには技術と人間性の部分が大事で、技術については日ごろの勉強が練習材料になり、人間性の部分については家庭での親の接し方がモデルとなっていくのですね。

もちろんこの話はあらゆる場面に応用可能です。子どもに夢をかなえてもらいたい・好きな世界で大きく羽ばたいてもらいたいと思うパパ・ママは、ぜひ参考にしたいですね。

取材・文/坂本正敬 写真/繁延あづさ

【取材協力】

熊野貴文・・・幼児教室ひまわり塾長。灘中学校・灘高校・大阪大学医学部医学科卒業。大阪大学付属病院・市中の病院で勤務した後、幼児教室ひまわりを創設。幼少期の能力開発・小学校時代の環境づくりのサポートをスタートする。「講師の質が信頼できる幼児教室」「わが子を賢くするために受けたい講座」「教育関係者が推薦する幼児教室」のカテゴリーにおいて民間調査第1位を獲得するなど、幼児教室ひまわりは高い評価を得ている。

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