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子どものチックは4人に1人。早いと年少から症状が出ることも
子どものチックは、軽症も含めると4人に1人ぐらいの割合で見られるという調査結果もあり、早いと年少ぐらいから発症します。
4人1人というと「そんなにいるの?」と驚くお母さんやお父さんもいるでしょうが、なかには軽い咳払いを繰り返す程度で、チックと思われていない場合もあります。
チックには「単純運動チック」「複雑運動チック」「単純音声チック」「複雑音声チック」の4タイプがあり、主な症状は次の通りです。
【単純運動チック】まばたき、顔をしかめる、肩をピクピク動かすなど
【複雑運動チック】蹴るような動作をする、ジャンプをする、ものを叩くなど
【単純音声チック】「アッ」など声を出す、咳払いをする、鼻を鳴らすなど
【複雑音声チック】ほかの人が言ったことを繰り返す、その場にふさわしくないことを突然言うなど
チックは、上記のような動きや音声を突発的に繰り返すのが特徴です。1つの動き(音声)だけのときもありますし、運動と音声を併せ持ち同時に症状が出ることもあります。一般的には1年ぐらいでおさまります。
原因は、過度なストレスや緊張。新年度など大きく環境が変わるときは要注意。
チックの原因は、ひと昔前は心の問題と言われていました。しかし研究が進み、近年は脳内ホルモン(ドーパミン)のバランスが関係していることがわかっています。ドーパミンは神経伝達物質の1つで、幸福感などの快さを高める役割を担います。しかし過度なストレスや緊張などで、脳内ホルモンのバランスが崩れると、チックの症状が出る子もいます。
とくに入園、入学、進級シーズンなど環境が大きく変わるときは、ストレスを感じやすいので注意が必要です。
長時間のゲームや動画視聴にも気をつけて
また、チックは脳が興奮状態になると発症しやすいです。そのためスマホやタブレットで、長時間動画を見たり、ゲームをしたりすると発症リスクは高まります。
子どもが気にしていたり、半年以上症状が続く場合は小児科へ
軽いチックだと「少し様子を見よう」と思うお母さん、お父さんもいますが、次の2つのうち、1つでも該当したら小児科を受診しましょう。とくに子ども自身、チックを気にしている場合は、放っておくと友だちと遊ばなくなったり、学校を休みがちになったりすることもあります。
【チックの受診の目安】
□子ども自身、チックを気にしている
□半年以上、チックが続いている
子どものチックの治療は、基本的には薬は処方しません。チックの説明や環境調整の提案などを行ったりします。医師から話を聞くことで安心して、症状が次第にやわらぐ子もいますし、親もどんな対応をすればいいのかがわかります。
また診察のときは、チックの症状を動画で撮影して見せると診断の助けになりますが、子どもが嫌がるときは無理に撮影しないほうがいいです。
チックを気にしているときは、「大丈夫だよ」と安心させて
子どもにチックが出ると、なかには「顔をしかめないの!」と注意したり、「まばたきしているよ!」と指摘するお母さんやお父さんもいますが、これは逆効果です。
子どもが気にしていたら「大丈夫だよ」と言って安心させてあげましょう。ただし「そのうち治るよ」と励ますのは、お勧めしません。なかなか症状がおさまらず「ウソをつかれた」と親に不信感を抱くこともあります。
友だちにからかわれたりしたときは、担任の先生に相談してください。「親は味方!」「親は一番の理解者である」という安心感が、チックの症状をやわらげます。
チックは再発することも。しかし神経質になり過ぎるのは考えもの
チックは一度、症状がおさまっても再発することがあります。とくに園や学校行事、習い事の発表会、中学受験などで、過剰にストレスやプレッシャーがかかると再発しやすいです。しかし学校行事や発表会などは、子どもにとっては必要な経験です。成長の糧になります。親子で話し合ったり、先生や医師と相談したりしながら、可能な範囲で挑戦させてください。こうしたことを繰り返すことで、子ども自身「これ以上は、無理しないほうがいい」とさじ加減がわかるようになっていきます。
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記事監修
取材・構成/麻生珠恵