都心のオアシス・明治神宮。見どころや散策のポイントは? パワースポットの清正井はいつ行くのがいい?

人気の神社・明治神宮へ参拝予定の人に、おすすめの見どころを案内します。それぞれの成り立ちや言い伝えを知れば、訪れたときの感動もひとしおです。子どもと一緒に立ち寄りやすい、休憩所の場所も確認しておきましょう。

明治神宮とは

「明治神宮(めいじじんぐう)」といえば、初詣に多くの参拝者が訪れる、日本を代表する神社の一つです。まずはそのご祭神と成り立ちについて見ていきましょう。

明治天皇を祀る都心の大社

明治神宮は、東京都渋谷区代々木にある神社です。第122代天皇・明治天皇と昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)を、ご祭神として祀(まつ)っています。

明治天皇は1912(明治45)年に、昭憲皇太后は1914(大正3)年に亡くなりました。両陛下は、国民から大変慕われていたため、「いつまでもお参りできるように」と、1920(大正9)年に明治神宮が創建されたのです。

当時の東京は、公害により木々が枯れつつありました。そこで有識者たちが集められ、100年先を見越した「永遠の杜(もり)づくり計画」が始まります。

その結果、現在ではそれらの木々が大きく成長し、明治神宮は約3000種の動植物が生育する森に囲まれています。

明治神宮

明治神宮の見どころ

明治神宮には、いくつかの参拝ルートがありますが、おすすめはJR山手線原宿(はらじゅく)駅からすぐの「南参道」ルートです。参拝のポイントや、参拝者が見学できるイベントを紹介します。

日本一の「大鳥居」と「本殿」

シイ・カシ・クスノキなどの木が立ち並ぶ参道を歩いていくと、右手にずらりと並べられた酒樽(さかだる)やワイン樽が現れます。

酒樽の展示場?  参道の右手にズラッと並ぶ酒樽は日本全国から奉納されている。また、ワイン樽が展示されているのは、明治天皇が健康のためにワインを好んで飲まれたことから。

 

明治天皇は、日本古来の精神を大切にしながら、西洋文化の優れた部分を取り入れていました。その考えに倣って奉納されたものです。

やがて参拝客は、巨大な鳥居に迎えられます。「大鳥居」は高さ12m、幅17.1m、柱の直径は1.2mあり、木造の明神(みょうじん)鳥居としては日本一の大きさです。

大鳥居をくぐって正参道を進むと、明治天皇と昭憲皇太后が祀られる本殿が見えてきます。本殿は、1945(昭和20)年に東京大空襲で大半を焼失しましたが、1958(昭和33)年に再建され、今に至ります。

有名なパワースポット「夫婦楠」

本殿の両側には、大きな木が立っています。向かって左側にあるのが「夫婦楠(めおとくす)」です。

遠目には、まるで一本の木のように見えますが、近づいてみると、大きく育った二本のクスノキが寄り添うように立っているのが分かります。

夫婦楠。本殿外拝殿(げはいでん)の手前、寄り添うように立つ二本のクスノキの姿は、まさに夫婦が円満な様子の象徴。

 

この夫婦楠は、パワースポットとしても知られており、良縁・夫婦円満・家内安全のご利益があるそうです。夫婦楠の間から本殿を拝むようにしてお辞儀をすると、ご利益にあずかれるといわれています。

年に2回行われる「大祭」

明治神宮では、一年を通してさまざまな行事が開催されますが、なかでも大きな催しは「春の大祭」「秋の大祭」です。

春の大祭は5月に行われ、最終日に「崇敬者(すうけいしゃ)大祭」が行われます。秋の大祭は11月に行われ、初日に「鎮座祈年祭」、最終日に「例祭」が行われます。

どちらの祭りでも、能・狂言・舞楽といった数々の伝統芸能が見学できるのですが、特に盛り上がるのが、秋の大祭で行われる「流鏑馬(やぶさめ)」です。

子どもたちが日本の伝統芸能に触れる機会は、そう多くはありません。都合が合えば、春秋の大祭の頃に参拝に訪れてみてはいかがでしょうか。(ただし、新型コロナウイルス流行期間は変更される可能性があります)

明治神宮御苑を散策

明治神宮御苑(ぎょえん)は、明治天皇により造られた遊歩庭園で、社殿の南側に広がっています。散策する際は、「清正井(きよまさのいど)」と「菖蒲田(しょうぶだ)」に注目してみましょう。

自然の湧水があふれる「清正井」

本殿を出て右手へ向かうと、都会では珍しい自然の湧水があふれ出る井戸があります。「清正井」と呼ばれるこの井戸からは、毎分約60リットルの水が湧き出ています。

清正井。横井戸となっていて、水源は現在の本殿倉庫のあたりの地下水である。その水源から、井戸の上方の斜面を通り湧き出している。自然の「湧水」で、シーズンには大変混雑し、整理券が配られるほどだという。

 

戦国武将としても名高い「加藤清正」が井戸を掘ったともいわれていますが、本当に清正が造ったのかどうかは不明です。

風水では、気の流れる地下ルートである「龍脈(りゅうみゃく)」上にあり、運気向上と金運アップの効果があるとされています。夕方以降や雨の日には、悪い気をもらいやすいともいわれるので、訪れるときは晴れた日を選ぶとよいかもしれません。

初夏の水辺を彩る「菖蒲田」

清正井から湧き出る水は、その先にある「菖蒲田」をも潤しています。菖蒲田は明治天皇の意向により、昭憲皇太后のために造られました。

菖蒲田の見頃は、梅雨時期の5~6月です。初夏を迎えようとする菖蒲田には、約150種、1500株の花菖蒲(はなしょうぶ)が美しさを競うように咲き誇ります。

盛りを過ぎれば花の姿はなくなりますが、夏には瑞々(みずみず)しい緑が、秋になると辺りの木々が赤や黄に彩られる様子が見られます。

参拝の後は御苑へ足を伸ばし、明治神宮の豊かな自然の中で心を落ち着けましょう。

花菖蒲田は南参道(原宿口)から徒歩で7~8分ほど。花の見頃は5~6月。

明治神宮ならではの、おみくじとお守り

参拝に訪れる際、おみくじやお守りを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか?  ここでは、明治神宮のおみくじとお守りについて紹介します。

ユニークなおみくじ「大御心」

明治神宮では、多くの神社で見られる「おみくじ」は存在しません。その代わりとなる、おみくじは「大御心(おおみこころ)」と呼ばれます。大御心とは、「天皇の考え」を丁寧に表した言葉であり、つまり天皇の考えが書かれたものです。

天皇の御製(ぎょせい、天皇が詠んだ歌)、昭憲皇太后の御歌(おうた)から15首ずつ、合わせて30首に解説文が付けられています。白い紙なら明治天皇の和歌、黄色なら昭憲皇太后の和歌です。

よく見られるおみくじといえば、吉凶で運勢が占われますが、大御心では、その人に合った教訓が示されます。また、持ち帰るものとされ、通常のおみくじのように、境内に結んで残すことはしません。

いずれも人生の指針となる規範を説いた和歌なので、子どもに道徳や生き方を教える一助となるかもしれません。

ご神木から作られた「開運木鈴 こだま」

神社へ参拝したら、必ずお守りを受けて帰るという人もいるでしょう。明治神宮では、さまざまなお守りが授与されていますが、その中に木でできた「こだま」という鈴があります。

「こだま」の材料は、明治神宮のご神木です。暴風などによって倒れてしまったご神木から掘り出したものが「こだま」となるため、木材の種類はそのときによって変わります。

白木と漆(うるし)塗りの2種類あり、コロコロとした優しい鈴の音は、まさに木霊(こだま)の声のようです。「開運木鈴 こだま」を身に付けて、開運のご利益にあずかってはいかがでしょうか。

参考:明治神宮関係Q&A|明治神宮

子連れで入りやすい休憩場所

子どもを連れて遠出したとき、意外に困るのが休憩場所です。落ち着いた雰囲気のお店だと、子どものおしゃべりが気になってしまうこともあるでしょう。

そこで、多少にぎやかにしても気にならず、食事も取れる休憩場所を紹介します。

NOODLE & RICE BOWL

大鳥居を出て南参道側へ向かうと、酒樽のやや先に「フォレストテラス明治神宮」があります。こちらはレストラン・式場・売店などによる複合施設です。

「NOODLE & RICE BOWL」は、その1階の端にあります。セルフサービス形式のフードコートなので、元気いっぱいの子どもが一緒でも、気軽に立ち寄れるでしょう。

じっくり煮込んだビーフカレーライスなど本格派メニューのほか、ラーメンやポテトフライといった子ども向けメニューもあります。

NOODLE & RICE BOWL – FOREST TERRACE 明治神宮

CAFÉ 杜のテラス

南参道に入る手前、原宿駅を出てすぐの場所には「CAFÉ 杜のテラス」があります。天然木で仕上げられ、広くガラス張りされた開放的な空間です。

コーヒー系のメニューをはじめ、オーガニック・ジュースやビールも提供されています。サンドイッチなどの軽食のほか、ケーキやジェラートもあるので子どもも満足できるでしょう。

席からは、外に広がる森の様子が眺められます。「食事するほどではないけれど、小腹が空いたな」というときにおすすめの休憩所です。

CAFÉ「杜のテラス」 – FOREST TERRACE 明治神宮

都心にたたずむ緑のオアシス

明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后を祀るために創建された神社です。長年の努力によって育まれた深い森に囲まれ、人々が祈りを捧げるにふさわしい場所となっています。

明治神宮外苑のイチョウ並木。絵画館前から青山通りへと続くこの並木道は、映画やテレビドラマのロケ地として知られる。146本のイチョウが、秋には黄金色のトンネルをつくる。

 

参拝やお守りだけではなく、豊かな自然や都内屈指のパワースポットも魅力です。原宿駅からほど近く、気軽に休憩できる場所もあるので、子どもと一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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