保育園に預けることに罪悪感は必要ありません。乳児保育のエキスパートが語る、保育園という場の魅力

お子さんが保育園に通っている方も、これから保育園を探す方も、保育園の先生がどのような思いを持って、子どもたちを迎え入れてくださっているのか、気になるところだと思います。
保育園の先生(保育者)の視点を知るべく、0〜3歳の子どもたちが通う認可保育園「東京家政大学ナースリールーム」施設長の工藤佳代子先生にお話を伺いました。保育園での生活を知ることができる、セミナーのご案内も!

保育のプロがいて、子どもにとって魅力的な場所。それが保育園です

保育園に通うお子さんは、親の就労など、大人の事情で入ってくることが多いと思います。

きっかけはそうかもしれないけれど、実は、保育園には保育のプロがいて、同じくらいの年齢のお友だちがいて、子どもにとってすごく魅力的な場所で、また、保護者にとっても、我が子のことを相談できる、頼れる場所です。

そういった場所であるためには、子どもが安心して過ごせることがとても大切で、もちろん、保育園には保育園のルールがありますが、子どもたちに一律に「慣れましょうね」というのではなく、子ども一人ひとりを見つめて、性格や生まれてから入園するまでの育ちなども大切にしながら、ありのままのその子が安心して保育園で過ごせるように、それぞれのペースで園に「馴染んでいく」過程を大事にしたいという思いを持って、お子さんを受け入れています。

保育園がまず保障しなければならないことは「子どもたちの安心」、そのためには

子どもたちが安心して過ごせることは、保育園が子どもたちにまず保障しなければならないところだと思います。また、子どもたちの安心のために保育者が保護者を理解することも、とても大切だと思っています。

ママやパパが安心して預けることが、子どもの安定につながります

保護者の皆さんが気持ちよく安心してお子さんを保育園に託せることは、子どもが安定することにもつながります。

保護者も子どもと同じで、みんなが同じペースで馴染んでいけるわけではありませんから、「保育園のルールに慣れてください」「保護者はこうあるべきですよ」と言うのではなく、それぞれのペースでゆっくり馴染んでいけるようサポートすることを心がけています。

特に、第一子をはじめて保育園に預ける保護者は、入園が“はじめて親として社会に出る機会”であることも珍しくありません。親として見られることや、親として何かを伝えることに不慣れで、とても緊張されている場合が多いと思うのです。そういった気持ちにも寄り添えればと思っています。

保育者のスタートラインは、保護者を理解したいという思いです

保護者が働いている場合、一人の社会人としてどんな仕事をして、どんな働き方をしているのか。それだけでも、人それぞれ、みんな状況が違いますよね。

また、お子さんがよく夜泣きをするか、母乳で育てているのか、子育てを助けてくれる人が近くにいるのかなどによっても保護者が抱える子育て事情は人それぞれだということは想像できると思います。

保護者を理解したいと思うことをスタートラインに、「保育園に我が子のことを相談できることは、子育てにとって大きな力です!」と言ってもらえるような信頼関係を築けていけたらと思っています。

保育園に預けることに罪悪感をもたないでください

お子さんを預けることに罪悪感を持つ必要はありません。子どもは社会で育て、社会で育ちます。子どものために、保育園と一緒にチームで子育てすることを選んでいると思っていただけたら良いのです。

同い年の友だち、発達に合ったおもちゃや生活環境。子どもは、保育園で世界を広げて成長していくのです

子どもは何かをしてもらうばかりの存在ではなくて、何かをしてくれる大人とは違う、ちょっと手の届きそうな、同じくらいのお友だちに魅力を感じて、子ども同士色々な刺激を受けています。自分とは違った個性を持ったお友だちと接することで、大人との生活や、自分一人の世界では気づけなかったことに気づいたり、面白さを見つけたりして、どんどん世界を広げていくことができるのです。

また、家庭ではなかなかそうはいかない、発達に合ったおもちゃがあり、置かれている物のサイズや位置などがその年齢に合わせて整えられている保育園という環境で伸び伸び過ごせることは、子どもたちにとって、嬉しく楽しいことだと思います。

保育園に来ることで、例えば、活発に遊ぶようになったり、離乳食を食べてみたい気持ちになったり、子どもたちが良い影響を受けているなという場面は多く見られます。

育児書からは得られない、一人ひとりに合ったアドバイスや支援

保護者の安心も子どもの安定につながる、ということは前でもお話しましたが、これまで子育てに悩んだり不安を感じた時に、育児書などから「何ヶ月の子ども一般」についてのアドバイスを得ていたのが、保育園で保育のプロから「その子」に合ったアドバイスや支援を得られるようになることは、その子を育てる上でとても有意義なことだと思います。

お子さんも保護者の皆さんも、一人ひとりが輝けるように。保育園として、保育者として、そのためのサポートができたらと思っています。

乳児保育のエキスパート・工藤佳代子さんのオンラインセミナー開催。プレママにもおすすめです!

工藤佳代子先生による月1回のオンラインセミナー「もっと知りたい0・1・2歳児の保育〜東京家政大学ナースリールームの実践より〜」

東京家政大学ナースリールームとは
東京家政大学板橋キャンパス(東京都板橋区)内にある事業所内保育所の機能を備えた認可保育所。木々に囲まれたキャンパスの中、0〜3歳の子どもたちが過ごしています。子ども一人ひとりにていねいに向き合う保育が最大の特徴

子どもがどのように保育園で過ごすのか、保育者はどのような思いで子どもと向き合っているのか。保育園にお子さんを通わせている保護者の方はもちろん、これから赤ちゃんを迎えるご家族にもおすすめです。

【開催日時】各回とも19002030

1回 2022516日(月)「保育園でのくらし」

2回 2022613日(月)「保護者との関わり」

3回 2022711日(月)「夏の過ごし方」

*それぞれ、単独でも受講可。3回まとめて申し込むと割引きがあります。

オンラインセミナーの詳細・お申し込みはこちらをご覧ください

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02f2766i67a21.html

 

教えてくれたのは

工藤佳代子|東京家政大学ナースリールーム施設長

東京家政大学ナースリールーム施設長。東京家政大学を卒業後、保育士として同大学ナースリールームに勤務する。平成31年からは施設長を務める。

執筆を担当した書籍に『2歳児のすべてがわかる!』網野武博・阿部和子 編著(明治図書)(Ⅲ・Ⅴ章)、『子どもと保健 ー理論と実際ー』巷野悟郎・岩田力・前澤眞理子 編著(同文書院)(第4章)、『子どもの保健 ~健康と安全~』岩田力・細井香 編著(光生館)(第5章・第10章①②)などがある。

構成/小野寺裕美 写真/繁延あづさ

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