福山雅治が9年ぶりに演じる湯川が圧巻!ガリレオシリーズ集大成と東野圭吾も称賛『沈黙のパレード』

月9ドラマや映画で人気を博す福山雅治主演、東野圭吾原作の「ガリレオ」シリーズ。最新作『沈黙のパレード』は、これまでの集大成となる1作となりました。その見どころを深掘りします!

福山雅治、柴咲コウ、北村一輝が9年ぶりに再集結!

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

東野圭吾の人気小説を、福山雅治主演で映像化されてきた「ガリレオ」シリーズの映画最新作『沈黙のパレード』が9月16日(金)より公開されました。映画としては、『容疑者Xの献身』(08)、『真夏の方程式』(13)に続く第3弾ですが、東野さんご自身が「シリーズの集大成」というこれ以上にない言葉で本作を称賛しています。

今回は、主人公である天才物理学者の湯川学役の福山さんに加えて、警視庁捜査一課の刑事・内海薫役の柴咲コウ、湯川の親友で内海の先輩刑事である草薙俊平役の北村一輝が、9年ぶりに再集結。やはりこの面子が再び顔を揃えるには、それ相応の内容でないとGOできなかったんだろうなと、個人的には思っておりました。

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

言わずもがな、東野さんのしっかりとした原作ありきの映画ですが、これまでの映画の座組と同じく、主演の福山さんがどっしりと座長を務め、西谷弘監督✕福田靖の脚本が、東野ワールドを余すところなく引き出している点は、さすがです。ただ、あれだけ込み入ったストーリーで、かつ登場人物がかなり多い原作を、よくぞ映画1本の長さで見せきったなと正直、驚きました。そういう意味では、野心作だとも思いました。

よくできた原作を映像化する場合、そこを頼りにしすぎて、あるいは気を遣いすぎて、結果的に原作が持つ骨子が薄まりがち。でも今回は、全員が同じ方向を見据え、おそらく集大成の作品を作ろうと、腕まくりをしていたに違いないです。そのくらい、細部にまで想いが行き届いていたし、キャストやスタッフ陣の成熟さも感じとれました。

道徳観や倫理観を揺さぶるストーリーに息を呑む

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

湯川(福山雅治)の元に、内海刑事(柴咲コウ)がある事件の捜査についての相談に訪れます。その事件とは、行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見されたというもので、容疑者は、草薙(北村一輝)がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘を貫いて無罪となった男、蓮沼寛一(村上淳)でした。

蓮沼は今回も完全黙秘に徹し、証拠不十分で釈放された挙げ句、いけしゃあしゃあと女子学生の住んでいた町に戻って来たのです。そんななか、夏祭りのパレード当日、蓮沼が何者かに殺害されました。果たして犯人は誰なのか?

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

やっかいなことに、容疑をかけられた人たちにはすべてアリバイがあるようです。また、全員が“沈黙”することが一番の得策だと捉えたことで、内海や草薙たちの捜査は混迷を極めていきます。さらに、草薙が担当した過去の事件も現在進行中の事件とつながっていき、物語は大きなうねりを見せていきます。

ミステリーとしての面白さを挙げると、犯人候補の人たちがたくさんいすぎる点でしょう。殺害されたのは、将来を嘱望され、みんなから愛されていた女子学生です。よって、彼女を愛する家族、仲間、恋人たち全員に動機があるといっても過言ではない。

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

こうして、蓮沼に対する嫌悪感や憎悪が、妙な団結力を生みだしていきます。劇中で「殺されて当然の男が殺されたんですよね」と言う台詞が出てきますが、刑事側からすれば「どんなに残虐な人間でも、殺人は犯罪です」という正論のもと、捜査を全うするしかない。

そこがなんともいえないジレンマですが、その葛藤をとことん掘り下げている点が、本作の真骨頂かと。我々観る側も、通常の正義というものさしでは測れないような課題を突きつけられ、道徳観や倫理観を揺さぶられそう。

役柄の成長や深い人間ドラマが心に刺さる

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

「ガリレオ」シリーズの魅力の1つは、巧みな理系トリックですが、今回も「そう来たか!」とうなる仕掛けに大興奮。もちろん、1つ謎をクリアしても、より一層深い謎がロールプレイングゲームのごとく待ち受けていますし、あわや振り出しに戻るなんてこともありがち。

今回は特に、被害者を取り巻く人々は、全員が容疑者候補と言ってもおかしくないポジションに置かれているので、観ているほうは、「あの人が犯人に違いない」と目星をつけていくのですが、その予想はおもしろいほど裏切られていくのではないかと。というか脇を固めるキャストも豪華な布陣(クレジットを参照ください)なので、犯人が誰なのかが全く読めません(笑)。

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

そして、湯川が例によって、冷静な推理で犯人の心理をひも解いていきますが、それは決してこれみよがしではなく、むしろ湯川自身も様々な人が置かれた立場を鑑みて、心ある解説をしていくという印象を受けます。

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

 

そこに、湯川自身の人間としての成熟を感じましたし、その佇まいに説得力を与えた福山さんもすばらしい。また、同じく役柄の成長を感じさせる柴咲さんや北村さんの熱演もしかりです。いろんなキャラクターにちゃんと血が通っているからこそ、鮮やかなトリックに感嘆するよりも、人間誰しも抱える悲しさがや愛憎劇に胸が熱くなります。

これまでの映画2本も見応えがありましたが、『沈黙のパレード』は確かに“シリーズの集大成”というふれこみに恥じない1本になったのではないかと。また、個人的には、「ガリレオ」シリーズのハイライトがフィーチャーされたエンドクレジットも胸熱でした。どうか最後まで、席を立たずにご覧ください!

『沈黙のパレード』は9月16日(金)より全国公開中
原作:東野圭吾「沈黙のパレード」(文春文庫刊)監督:西谷弘
出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平…ほか
公式HP:galileo-movie3.jp

文/山崎伸子

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