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「『一緒にお笑い芸人になろう』と、幼馴染みのあんりを誘いました」(はるか)
――小さなころはどんな夢を持っていましたか?
きりやはるか(以下はるか):私は小さい頃からずっと〝お笑い〟が好き。小学生になると『爆笑レッドカーペット』や『エンタの神様』などのお笑い番組を夢中で観るようになりました。その頃から、私もみんなを笑わせたい、笑顔にしたいと思うようになり、お笑い芸人に憧れるようになったんです。中学に入ってから、幼馴染みのあんりに「一緒にお笑い芸人になろう」と誘いました。
――当時からあんりさんはクラスで面白い存在だったんですか?
はるか:性格は今よりもう少し暗かったと思います。引っ込み思案だったよね?
あんり:少人数になるとしゃしゃり出るタイプでしたね。ふたりの時は「私たちが1番だよね!」って言うけれど、大人数の前に放たれると「あ、私は大丈夫です…」と遠慮してしまうようなタイプだったかな(笑)。
――あんりさんははるちゃんの申し出を受け入れたんですか?
あんり:「私は積極的に前に出るタイプではないので、無理だよ」と、断りました。その後、別々の高校に進学したんですが、高校卒業直前に進路を決めるタイミングで呼び出されて、「で、どうする?」と再びお笑いの道に誘われたんです(笑)。あの時に断ったことがまったく通じてなかったみたいです(笑)。
はるか:あはは!
あんり:「私はNSCに入るためのお金は貯めているけど、あんりはどうなの?」くらいのテンションだったので、“ヤバイヤバイ”と思い、慌ててお金を貯めたんです。それでも卒業までには足りなくて、父親に半分出してもらって、吉本の養成所NSC(吉本総合芸能学院)に入学しました。
田辺智加(以下田辺):それまでお笑いの道に行く気はなかったの?
あんり:お笑い芸人になりたいと思ったことはなかったかな。「友達に誘われたから」的な、まさにジャニーズ事務所の方々がよく話すあの感じです(笑)。
「沖田総司さんが今の私を導いてくれたと思っています」(田辺)
――田辺さんは将来なりたかった職業はありましたか?
田辺:小学生の頃はCA(客室乗務員)になりたかったです。
酒寄:警察官になりたいとも言ってなかった?
田辺:そうそう。親戚で警察官になった人がいて、話を聞いているうちに憧れちゃったの。警察官になるためには柔道や剣道ができたほうがいいと聞いて、小2から剣道を習い始めたのよね。さらに英語もできたほうがいいと思って、中学では英語の勉強を頑張って中間テストで100点を取ったこともあるよ。
――目標を決めるとまっすぐに頑張るタイプなんですね。
田辺:オタク気質なんですよね(笑)。その後、やっぱりCAになりたいと思ったけれど、どうにもこうにもTOEICの点数が足りなくて諦めてしまいました。それからフラフラして今に至ります。
――そのフラフラがめちゃくちゃ気になります!
あんり:だいぶ端折ったね。
田辺:やっぱり、興味がないものには一生懸命になれないのよね。それからアルバイト生活が始まって、『薄桜鬼』という新選組のゲームにドハマりしたの。その後、沖田総司さんの終焉の地を巡っていときに、島田秀平さんのロケに偶然出会し、ラッキーなことに占ってもらう機会があったんです。そこで島田さんから「君はすごい幸せになれるし、人気者になれるよ」と言われたんです。そこからですかね、芸人を目指したのは。
――すごい! そんなことあるんですね⁉
田辺:そうなんですよ。今の私は、沖田総司さんが導いてくれたと思っています。
あんり:島田秀平さんじゃないのかよ!(笑)。
「小学生の時の卒業アルバムに〝将来の夢はお笑い芸人〟と書いていました」(酒寄)
――その後、NSCに入り、酒寄さんと出会ったんですね。酒寄さんは芸人を目指していたんですか?
酒寄希望(以下酒寄):小学生の時の卒業アルバムに、〝将来の夢はお笑い芸人〟と書いていました。でも友達がそう書いていたからという理由だったんですよね。あまり明確な夢はなかったので、なんとなく就職したんですが、その仕事が本当に向いてなくて。仕事を辞めて自暴自棄になっていた時に、お笑い好きの友だちに新宿ルミネにある劇場に行こうと誘われたんです。そこで見たステージが面白すぎて、すごく元気が出たんです。その時に、私もNSCに入って、この人たちみたいに明るくなりたいなぁと思ったんです。
田辺:NSCの授業で私と酒寄さんが前後になったんだよね。そこで酒寄さんが声をかけてくれたんですよ。
酒寄:ちょうどその前の授業で、田辺さんがネタ見せの授業をやっていて、“この子すごく面白い!”と思っていたので、チャンスだと思って声をかけたんです。
田辺:私にとって、酒寄さんと出会えたことは人生のターニングポイントなので、NSCの授業料40万円を払ってマジでよかったなと思いました。
酒寄:でもそのお金はおじいさんが払ったんだよね(笑)。
あんり:自分で払ってねーじゃん!(笑)
――あはは。みなさんは芸人になる夢を叶えるために、どんなことをしていましたか?
田辺:私は本当に何もしていないです。(断言)。面白いことを考えることができないんですよ。自分の事を面白いとも思っていなくって。酒寄さんがいつも、「最近何か面白いことあった?」と聞いてくれるんですけど、何が面白いのかあまりよくわかってなくて。そもそも話を上手に組み立てるのも苦手だし、話にオチをつけるのも苦手。なので、酒寄さんにはまとまりのない話をつらつらと話すという感じです。
はるか:そのやりとり、今でも続いているのってすごいよね。毎日やりとりしてるもんね。
田辺:そうね。
酒寄:田辺さんは自分のことを何も面白くないって言っているんですが、私には報告してくることも一緒にいるときに起きることもすべてが面白いんですよ。
例えば、私が道で韓国人の方韓国語で道を尋ねられて困っていたことがあるんです。そしたら横で田辺さんが急に韓国語で対応してくれたことがあったんです。韓国語が話せるとは知らなかったのでびっくりして理由を聞いたら、「韓国人の店員さんに恋をしたときに韓国語を勉強した」と。そういう驚きのエピソードがわんさか出てくるんです。27歳でギャルデビューした話や、毎朝ベーグルを焼いている話…私には田辺さんの周りで起きることがすべて面白いんです。
あんり:田辺さんのことを知りたかったら、酒寄さんに聞いた方が手っ取り早いですね。
田辺:たしかに! 私も自分のエピソードを覚えていないことが多いので、自分のことを酒寄さんに聞くってことは結構多いですね。
あんり:そうそう(笑)。ネタを書いている時に、田辺さんに何かを聞くと、「酒寄さんに聞いてみるね」って言われて! “いや、田辺さんの話でしょ”ってなることが多い!(笑)
――酒寄さんは田辺さんのハードディスクなんですね(笑)。
酒寄:そうです(笑)。
――あはは。はるちゃんはいかがですか?
はるか:私はNSCの時が一番燃えていましたね。自分達が一番面白いと思っていたんです。そこで、面白いと思った芸人のネタを1回全部文字に起こすと言うことをしていたんですよ。
あんり:中川家さんやタカアンドトシさんののネタを文字起こしをしてたよね。
はるか:うん(笑)。文字にすることでずっと記憶に残るので、それが勉強になったのかもしれません。
「NSC時代はすべてがウケたんですよ」(あんり)
――あんりさんがしていたことはどんなことですか?
あんり:生意気に聞こえるかもしれないですが、私、NSC時代はやることなすことすべてがウケたんですよ。もしかしたら、私って天才なのかも…って思ったいたこともありました。でも、NSCを卒業したら、そんな人はいくらでもいて…。そこからですね、猫塾さんを始め、劇場にいる先輩をとにかく頼るようになりました。本当に先輩方にはたくさんのアドバイスをもらいましたね。
――頼れることって、強さですからね。
あんり:それは、本当にそう思います。ネタで先輩に噛みつくくだりがあるんですが、それも当時から築き上げてきた関係で出来ることも多いので、今も先輩たちにずっと助けられている感覚なんです。それに、いろんな先輩を見ていると、感覚的に噛みついていい人がわかってくるんですよ(笑)。
酒寄:すごく素直だから、先輩たちもかわいいんでしょうね。
田辺:私は一緒にぼる塾をやる前から2人のことが大好きで、深夜の稽古がある時も、とりあえずあんりを探す作業から始めていたんですよね(笑)。いつもあんりの後ろにくっついていました。
あんり:私は酒寄さんと仲良くなりたいのに、歩み寄ってくるのは田辺さんでしたね!まぁ、結果としてよかったのかなと思っています(笑)。
小学生の頃から並々ならぬ熱意を燃やしていたはるかさん、そんなはるかさんに誘われて芸人になったあんりさん、まさかの沖田総司さんをきっかけに芸人を目ざした田辺さん、社会人経験を経て絶望から笑いの世界に飛び込んだ酒寄さんと、始まりもバラバラな4人。いまや同じフィールドで輝く姿は元気と勇気をくれます。色んな経験があるからこその視野の広さを武器に、これからもさらなる活躍を見せてくれそうです。
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