【最年少の野菜ソムリエプロ】緒方湊さん14歳。飽くなき好奇心と「伝統野菜の魅力を伝えたい」情熱はどこからくる?

野菜に関する知識の深さと抜群のコメント力で、活躍の場を広げている最年少の野菜ソムリエプロ・緒方湊さん。休みの日には食べたことのない野菜や果物を探しに出かけるなど、幼い頃から野菜に興味があった緒方さんは、8歳の時には“野菜ソムリエ”の試験に合格し、10歳で難関と言われる“野菜ソムリエプロ”の試験に合格した逸材です。

11月1日放送・日本テレビ「ヒルナンデス!」にも出演。メディアにもひっぱりだこ。

多くの人達に野菜の魅力やおいしさを、自らの言葉で伝える活動をする“野菜のプロ”は、どんなきっかけで野菜を好きになり、またどのように学びを深めていったのでしょうか。緒方さんご本人にお伺いしてみました。

1歳~2歳の頃から既に野菜好きだった!?

Q 何歳くらいのころから野菜に興味を持つようになりましたか?また何かきっかけはあったのでしょうか?

緒方さん:母曰く、1歳~2歳ごろからミニトマトや茹でただけの人参やサツマイモをよく食べていたので、“この子は野菜が好きなのかな?”と思ったそうです。

1歳8か月頃の緒方さん。大きなニンジンを両手に!

そんなこともあって、小さい頃から両親が、野菜の収穫体験や果物狩りなどによく連れて行ってくれました。
野菜に興味があるなら…と野菜の図鑑や伝統野菜の本なども両親が買ってくれたので、その辺からどんどん沼にはまっていったのかもしれません。

2歳ごろ。お父さんとナスの収穫体験へ

小1からは、畑を借り、自分で野菜作りをはじめたので、栽培にも興味がわきました。

Q 野菜の知識はどのようにして身につけましたか?

緒方さん:主には本や図鑑、テレビなどで見たこと、聞いたことが多いです。畑のインストラクターさんにも栽培のことなどは色々教わりましたし、農家さんから直接話を聞くこともあります。

好きなものに対する情熱を何より優先してくれた両親

小学校にあがる前から、テレビ番組で紹介される野菜を見ては「泉州水ナス買ってきて!」「萩たまげなす買ってきて!」とお願いしていたという程、既に大人顔負けの野菜への興味と知識を持っていた緒方さん。小学生になってからは、それまで以上に野菜とより深く向き合うことになっていきます。

Q 小学生の頃、放課後やお休みの日は何をしていましたか?

緒方さん:放課後はよく畑に行って野菜の手入れをしていました。休みの日はファーマーズマルシェや野菜のイベントなどによく出かけていました。珍しい野菜や食べたことのない野菜や果物を探しては食べる、など僕の興味のありそうなことを優先して、両親が色々なところに連れて行ってくれていました。

びっくりするほど大きなキャベツ!

Q夏休みの自由研究はどのようなテーマで取り組みましたか?

緒方さん:猛毒生物図鑑、野菜のクイズ、魚の名前の由来図鑑、トウモロコシの糖度実験などをやりました。

大人も思わず、ほほお~と言ってしまう程、濃い内容の自由研究

8歳で“野菜ソムリエ” 10歳で最年少の“野菜ソムリエプロ”に

Q 野菜ソムリエの資格を取ろうと思ったのはなぜですか?

緒方さん:畑のインストラクターさんに日本農業検定(3)を勧められ、小学2年生の時に母と受けたのですが、ほかにも野菜の資格がないかと探してくれまして。

「野菜ソムリエ」っていう資格があるけど受けてみる?といった感じで「野菜ソムリエ」の資格を取りました。
一つ上の「野菜ソムリエプロ」を目指したのは、実際に「野菜ソムリエプロ」の資格を持つ人たちが色々と活動されていることを知り、ならば僕は美味しくて栄養価も高いのに世間ではあまり知られていない野菜を広めたい、と思い、資格取得を目指しました。

Q 学校生活もある中で資格取得は大変だったと思うのですが、どのくらい資格のための勉強をしましたか?

緒方さん:小学生で通学は難しかったので、通信でDVDを見たり、テキストを読んだりでした。「野菜ソムリエプロ」のテスト前はかなり勉強をしました。
母が模擬テストをたくさん作ってくれたので、それを「解いて覚える」の繰り返しでした。漢字も書けないといけないので、漢字の練習もしましたが、実はそれが一番大変でした。

 

Q 野菜のプロとして活動する中で、特に子ども達に伝えていきたいと思うことはありますか?

緒方さん:嫌いな野菜を好きになってほしい、とかは思わないんですけど、畑で採れたての野菜はおいしいよ、とか自分で育ててみると美味しいよ、ということは伝えたいですね。
それから大根一つとっても、いろいろな品種があって日本には100種類以上あると言われていて、形も違えば、味も違うとか、あとは旬の野菜を食べる大切さなど、いろいろありますね。住んでいる地域特有の伝統野菜も知ってほしいです。

野菜のプロ直伝!おすすめの野菜からその食べ方

物心ついた時から野菜を愛し、野菜と共に生きてきた緒方さん。そんな野菜のプロ自らが、愛してやまない野菜、そして今、おすすめしたい野菜や調理法についても、お伺いしてみました。

Q 緒方さんご自身が好きな野菜はなんですか?

緒方さん:それは品種ですか?品目ですか?って言うのは冗談ですが(笑)
品種だと甚五右ヱ門芋という山形県の真室川町の農家の佐藤さん、たった一軒で作っている里芋です。蒸すだけで、何もつけなくても、トロッともちっとしておいしく、毎年の楽しみです。品目だと、トマトは365日欠かさず食べます。

大好物の甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)

Q 調理がしやすく、実は栄養価が高くておすすめ!という野菜があったら教えてください。

緒方さん:僕も大好きなヤーコンがおすすめです。野菜の中でもフラクトオリゴ糖の含有量が高いんです。生で食べるとナシのようにシャキシャキとして、甘さがありおいしいです。キンピラにしたり、玉ねぎの代わりにハンバーグに入れたり、ミカンと合わせてジュースにしても。

おすすめ野菜。「ヤーコン」
ヤーコンのきんぴら。オリゴ糖を多く含んでいるので砂糖は入れなくても大丈夫

育ち盛りの子どもたちには、サツマイモもおすすめです。あまーくてねっとり系のものから、ほくほく系のものなど、いろいろな品種があるので、チャレンジしてみてほしいです。薄切りにして、自分で干し芋をつくるのもおすすめです。

Q 寒い季節におすすめの野菜や野菜料理があったら教えてください。

緒方さん:山形赤根ほうれんそうがおすすめです。山形県の伝統野菜ですが、寒い冬を超えたほうれん草は甘みをたっぷり蓄えていて、根っこの糖度はメロン並みともいわれています。ほうれん草が苦手な方でも、これはたべられるんじゃないかな?と思います。

赤根ほうれんそう

また、具材にも煮汁にもレンコンをたっぷり使うはす鍋もおすすめです。だし汁にすりおろしたレンコンを入れるととろみが出て、煮汁もおいしいです。
具材は野菜や豚肉など何でも合いますが、スライサーで薄切りにしたレンコンもたっぷりと入れます。こちらはシャキシャキとしておいしいです。

すぐに真似できそうな、栄養たっぷりのレンコン鍋

全国の伝統野菜などを作って守りたい

普段、当たり前に食べている野菜にも実は様々な種類があり、まだ口にしたことがないような伝統野菜もたくさんある。緒方さんのインタビューを通して、改めてそのことに気づかされ、野菜に対する興味が以前よりも高まったのを感じました。

現在も、学生生活の傍ら、野菜のおいしさと魅力を楽しく、わかりやすく伝える活動を続けている緒方さん。今後の夢をお伺いすると、全国の伝統野菜などを作って守り、その存在をより多くの人に知ってもらいたいと語ってくれました。新時代の野菜の伝道師、緒方湊さんの挑戦はまだ始まったばかり。今後の活躍から目が離せません。

 

緒方湊さんの公式サイト「みなとの野菜大辞典」

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文・構成/茂木雅世

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