くるみによるアレルギー症例は10年間で11倍にも
アレルギーを引き起こす恐れのある食品の表示の義務化は、2001年に乳、卵、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)の5品目。2008年にえび、かにが加わり、現在7品目が定められています。新たに「くるみ」が追加されるのは15年ぶりです。
消費者庁の報告によると、食物アレルギーの即時型症例件数は2012年度ではくるみは40例でしたが、2018年度は251例、2021年度は463例に激増しています。10年間で11倍以上に増えています。
食物アレルギーの原因のトップ3は、2017年までは鶏卵、牛乳、小麦の順でしたが、2020年は鶏卵、牛乳、木の実類になっており、食物アレルギーの3大要因の1つであった小麦を抜いています。
くるみなどの木の実類によるショック症状は17.4%
また、ショック症状を認めた660例中、木の実類によるアナフィラキシーショックなどの症状は鶏肉、牛乳に続き、3位で17.4%(115例)。ショック症状を起こした木の実類の内訳は、くるみがトップで58例。次いでカシューナッツ30例、アーモンド7例、ピスタチオ6例の順でした。
木の実類のアレルギー増加は、国内消費量の増加が一因
木の実類のアレルギーが急増した背景には、2005年以降から国内消費量が増えていることが一因と考えられます。特にくるみは、ナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸を多く含んでいるほか、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルなども豊富で人気です。
3~6歳では、木の実類によるアレルギーが1位! 気になるときは専門医に相談
食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応が現われる疾患です。成長に伴い、アレルギーの原因となる食べ物が変わっていく特徴があります。
消費者庁調べによると、年齢別の木の実類によるアレルギーは、1・2歳は1435人中約221人(15.4%)で3位。3~6歳は1525人中約424人(27.8%)で1位。7~17歳は906人中約152人(16.8%)で2位となっています。
食物アレルギーによる主な症状は、以下の通りです。
皮膚症状 かゆみ、じんましん、むくみ、湿疹など
呼吸器症状 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳など
粘膜症状 目の充血・腫れ、涙、かゆみ、口の中や唇、舌の違和感・腫れなど
消化器症状 下痢、吐き気・嘔吐など
神経症状 頭痛、元気がなくなる、意識がもうろうとするなど
くるみは、粉末で焼き菓子などにも入っています。気になる症状があるときは、専門医に診てもらいましょう。
ナッツアレルギーについてはこちらの記事も参考に!
参考:消費者庁サイト
文・構成/麻生珠恵