学校で子どもは何をどう学んでいる!?
最近、学校現場でも金融教育が注目され、さまざまな活動が行われています。たとえば、「株式学習ゲーム(日本証券業協会、東京証券取引所の共催)」。
これは、実際の株式の売買に近いシミュレーションゲームで、子どもの関心を引き出し、現実の経済や社会の動きを肌で感じるきっかけになることを目的としています。2021年度は、全国で約1,300校、約75,000名の子どもたちによって利用されています。
まず、子どもたちは3~4人でチームをつくり、話し合いながら株式の模擬売買を行います。各チームの仮想所持金は、1000万円。実際の株価に基づいて模擬売買を行います。
実際にこのゲームをした中学生(東京都/中3生)に、実際の話し合いの内容を聞いてみました。
「株価の推移・財源・成長度などを見て、どの企業の株を買うか、チームで話し合ったよね。私は、秋から冬にかけて音楽系のイベントが増えるから、そうした事業を手掛けている会社に投資したいなと思った」(T・Ⅿさん)
「人気ゲームのシリーズ最新作を発売した企業の株価が上がるかも!?」(F・Hさん)
「企業が多すぎて迷うよね。まずは名前を知っている企業なら、安定していていいのかな。毎日の暮らしに欠かせない大手スーパーはどう?」(Y・Tさん)
こうしてゲームを開始すること2か月。毎日、パソコンを立ち上げて株価をチェックしたり、ゲームでの売り買いのタイミングについて考えたり、新聞やテレビの経済ニュースを気にするようになったり…。個人的にもさまざまな変化が生まれたそうです。
現実の経済や社会の動きを肌で感じる体験型学習として、アメリカの学校教育で30年以上の実績を持つThe Stock Market Gameをモデルに、日本では1995年から中学校・高校を対象に提供されている株式学習教材。
初めての株の売買、その感想は?
「意外におもしろかった! それまで経済にはあまり興味はなかったけど、円安・円高のニュースが気になるようになりました。大人になったときに必要になる知識かも…と思いました」(Y・Tさん)
「2か月で、たった+1万円。投資でお金を儲けるって難しい…」(S・Yさん)
1000万円の元手で、+100万円を達成したチームもあれば、元本割れしたチームもあり、子どもたちは株式投資の難しさや投資に対するリスクを学んだようです。
ゲーム終了後、「実際の株式投資もやってみたいと思いました」「家族でやってみたいと思い、家庭用のシミュレーションゲームを探しました」などの感想もありました。
家庭でもできる投資シミュレーション
上で紹介した「株式学習ゲーム」は、株式投資のテクニックを学ぶものではなく、現実の経済や株式市場を土台としたゲームで、経済の仕組み・社会の動きなどについて体験するもの。学校用教材であるため、残念ながら個人(家庭)での利用はできませんが、同じ運営元が提供している「とうしくんとタイムトラベル 資産運用シミュレーター」はウェブ公開を行っているコンテンツであり、誰でも利用することができます。
このシミュレーターは、タイムマシンで過去にさかのぼり、株式・債券などの金融商品による資産形成を体験できる教材です。
過去の金融商品の値動きによって、投資した金融資産の価値が変化することを体験。そのプロセスを通じて、主な金融商品の特徴やリスク&リターン、資産形成における長期・積立・分散投資の効果について学ぶことができます。
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このように、子どもたちはすでに学校やオンライン教育の中で、企業情報の集め方、企業の成長度の見方、経済行為における自己責任原則の在り方を学習し、将来、自己の財産を管理していくことを奨励されています。
親の世代は、こうした子どもの学校での活動に対して「へ~、そうなの」と話を聞くことや、実際に家庭でこういったツールによる学びを促すことで、金融教育に取り組むことができます。
いざ、親子で投資ゲームに挑戦!
上でご紹介したもの以外にも、お金をかけずに投資体験をしたり、ゲーム感覚でお金を学んだりする家庭用の学習ツールはたくさんあります。さっそく、親子で投資ゲームに挑戦してみましょう。
【おすすめ①】子どもと一緒にスタート
任天堂が発売するNintendo Switch向けゲーム。もともとは、部屋や無人島を自分の好みに応じてカスタマイズするゲームですが、実は投資の勉強にも最適。
たとえば「カブ」は1週間たつと腐ってしまうため、1週間以内にベストな売り時で売ることで、ゲーム内のお金を増やすことができます。子どもと一緒に気軽に楽しめるゲーム。
【おすすめ②】初心者はこれをチェック♪
「トレダビ」
株式会社Finatextが提供する、会員登録50万人が利用する無料バーチャル株式投資ゲーム。実在する上場企業のリアル株価を使用し、証券会社の研修でも使用されるほどの本格派シミュレーションゲームです。
実際に株取引を体験したいけど、「いきなりはちょっと…」という初心者や、経験者が腕を磨く練習の場としての利用がおすすめ。
【おすすめ③】マンガやイラストがわかりやすい!
「株たす」
3,600社以上の銘柄から好きな株を選べるデモトレードアプリ。
初心者から上級者まで楽しめるシミュレーションゲームで、株式投資のノウハウをマンガやイラストでわかりやすく解説。
【おすすめ➃】つみたて練習に最適!
「トウシカ」
つみたてシミュレーションに対応したアプリ。つみたてシミュレーションに対応し、資産形成の基本を学べます。
毎月の投資額から、将来の期待リターンをチェックしてみては!?
【おすすめ⑤】アナログ派にはコレ!
「モノポリー」
レンタルや売買を通して資産を増やしていくボードゲーム。順番に2つのサイコロを振って、「チャンス」や「共同募金」と書かれたマスにとまった場合、カードを引いて指示に従い、土地や電力会社を購入しながら資産を競い合います。
土地の交渉や破産などがあるため、お金・投資の勉強をゲーム感覚で学べます。また、バンカー(銀行としてお金の配布、両替を行う役)になると、自然とお金について勉強することができます。
ゲームを通して株式・投資に親子で親しんで
日本は投資や資産運用に対しての意識がまだまだ低く、世界でもかなり遅れていると言われています。でも、学校や家庭での金融教育が当たり前になっていけば、有意義な投資ができる個人投資家は、もっと増えるでしょう。
未来を生きる子ども個人とその社会の幸せのために、株式について親子で学んでいきましょう!
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構成・文/ひだいますみ