「アルプスの少女ハイジ」ってどんなお話? 原作とアニメの違い、物語の舞台マイエンフェルトはこんなところ!【知ってるつもりの世界名作】

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スイスの作家ヨハンナ・スピリ著の「アルプスの少女ハイジ」について、あらすじ・作者といった基本情報から、原作とアニメの違い、舞台「マイエンフェルト」はどんなところか、などをまとめました。おじいさんの暗い過去、ドイツで夢遊病になるハイジ、クララに嫉妬するペーターなど、詳細なエピソードについても掘り下げてみました。

スイス発「アルプスの少女ハイジ」ってどんなお話?

「アルプスの少女ハイジ」は、スイスの女流作家ヨハンナ・スピリによって1880年に発表された、スイス・アルプス地方を舞台とした児童文学の名作です。

ヨハンナ・スピリ原作

アルプスの少女ハイジ(原題:Heidi, Lehr- und Wanderjahre、英語表記 :Heidi: Her Years of Wandering and Learning、邦題:ハイジの修行時代と遍歴時代)として、スイスの女流作家ヨハンナ・スピリにより1880年に出版されました。

物語は、孤児の少女ハイジが、山奥のアルプスに住む祖父と暮らすことになり、そこで自然と触れ合い、心豊かに成長していく様子が描かれています。

国:スイス
発表年:1880年
おすすめの年齢:小学校3年生ごろ~

スイスの村の風景

作者のヨハンナ・スピリってどんな人?

ヨハンナ・スピリ(Johanna Spyri、1827年-1901年)は、スイスの女流作家で、代表作「アルプスの少女ハイジ」の作者として知られています。

ヨハンナ・スピリはスイスのチューリヒ郊外の小さな村で生まれ育ち、幼少期から読書に親しんでいました。医者である父と、宗教詩人である母のもと高い教育を受けます。弁護士と結婚してからも、家族と一緒に本を読み、自分自身でも小説を書くことを楽しんでいました。

スピリが小説を書くようになったのは、40代の後半から最初の小説は1860年に発表されましたが、スピリが最も有名になったのは、1880年に発表した「アルプスの少女ハイジ」で、世界中で翻訳されています。

スピリは、スイスの文学史に大きな足跡を残した作家であり、その作品は現在でも多くの人々に愛され続けています。

日本ではアニメで有名に

日本で知れ渡るきっかけになったのは、1974年のアニメ「アルプスの少女ハイジ」の放映開始によってです。のちに、ヨーロッパ全土でも、日本のアニメが放映され、「ハイジ」は大人気となります。しかし、肝心のスイスでは放映されませんでした。原作との乖離(かいり)やスイス文化の描写などが、スイス人には違和感があったのかもしれません。

原作には、アニメ版では描ききれなかった詳細な描写や物語の続きが描かれているため、原作小説を読むことで、「アルプスの少女ハイジ」をより深く理解することができるでしょう。

「ハイジの家」としてスイス東部・マインフェルト村に再現されているヒュッテ

ハイジのモデルは実在する?

「アルプスの少女ハイジ」のモデルとされる人物については自身を投影おじいさんと一緒に暮らすハイジの気持ちや感情については、スピリ自身が幼い頃に住んでいた家庭教師と暮らした経験を反映させたと言われています。

また、当時スピリが傾倒していたドイツの文豪ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』や続編の『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』の影響もあったのではと言われています。

実際に、資産家のクララが住むお屋敷は、ゲーテの生家、ゲーテハウスがモデルになっているのです。しかし、スピリがハイジのモデル像について明言したわけではないため、これらは憶測の範囲となります。

クララの住むゼーゼマン邸のモデルとなったゲーテの生家、ゲーテハウス(フランクフルト)
クララの住むゼーゼマン邸のモデルとなったゲーテの生家、ゲーテハウス(フランクフルト)

あらすじ(原作)

早速、原作のあらすじを見てみましょう。

※以下では、物語の核心にも触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください。

アルプスでの生活

幼くして両親を亡くしたハイジは、5歳の時に母親の妹、デーテ叔母さんに引き取られます。しかし、デーテがフランクフルトで住み込みの仕事をすることになり、一緒に連れていけないハイジを、アルプスの山小屋に住むハイジの父方の祖父に預けるのが物語の始まりです。

頑固で偏屈なおじいさんは、急にやってきてハイジを押し付けるデーテに苛立ち、最初は嫌な顔をしますが、天真爛漫で明るいハイジの性格にだんだん心を開き、昔のような温かい気持ちを思い出していきます。

自然と動物たちとの触れ合いや、アルプスの美しい風景を満喫し、おじいさんや周囲の人々との交流を通じて、ハイジは成長していきます。また、村に住む羊飼いのペーターや、目の不自由なペーターのおばあさんとも仲良くなります。

スイス シルトホルンヒュッテ付近の牧場

村の牧師や村人たちは、ハイジを村の学校へ行かせるようにおじいさんに進言します。しかし、おじいさんは村に引っ越すことを拒絶します。学校へ行ってないハイジは8歳になっても文字が読めません。

そんなある日、デーテ叔母さんが仕える館に足の悪い孫娘がいて、友達がおらず寂しがっているので、ハイジをドイツに連れていくという話が提案されます。こんな幸運はないとデーテ叔母さんは突然アルプスに現れ、ハイジを連れて行ってしまいます。

ドイツでのクララとの出会い

デーテ叔母さんは、ハイジをクララの住むお屋敷に置いていきます。クララとはすぐに仲良くなりますが、女中のロッテンマイヤー女史は、字も読めず言葉遣いも作法もなっていないハイジを歓迎しません。

それでも、外の世界を知らないクララにとって、ハイジが話すアルプスのお話は魅力的で、クララはハイジが大好きになります。ハイジも、外の世界を知らないクララに驚くともに、外へ連れて行ってあげたいと思います。しかし、お屋敷の窓から見える景色は限られているし、空はどんより曇っていてアルプスとは違います。ハイジはアルプスの生活が恋しくてたまりません。

フランクフルトの街並み

ある日、クララのおばあさんが訪ねてきて、ハイジに羊飼いのお話の本をプレゼントしてくれます。アルプスを思い出させてくれるその本を読みたいと強く思ったハイジは、それまで身の入らなかった勉強を熱心にするようになり、一週間で本が読めるようになり家庭教師を驚かせます。

しかし、いつでもアルプスに帰れると信じていたハイジですが、帰れないと知りどんどん元気を失っていきます。ハイジはホームシックにかってしまい、痩せほそり、ついには夢遊病になってしまいます。

アルプスに戻る

ホームシックになったハイジの姿を見かねて、クララのかかりつけ医であるクラッセン先生はハイジをアルプスに戻すように言います。

ハイジは晴れてアルプスに戻ることになります。ペーターのおばあさんのために、クララの家からもらった白いパンをお土産に沢山持って帰ります。そして「私、字が読めるようになったの」とおばあさんに本を読んで聞かせ、喜ばせます。

おじいさんも、ハイジが急に戻ってきたことに喜びを隠せません。ハイジはおじいさんにも、クララのおばあさんにもらった本を読んで聞かせます。若いころに自分勝手な事ばかりしていた羊飼いが、心を入れ替え自分の家に戻りお父さんに謝るお話でした。

ハイジが寝た後、おじいさんは両手を組み、神様に祈りを捧げます。今まで自分勝手に生きてきたけれど、これからは正しい生き方をすると誓います。

山から村へ

秋になり、クラッセン先生がアルプスにやって来ます。実は、先生は大事な一人娘を亡くしたばかで大変なショックを受けていたのです。ひどく意気消沈しており、クララの父、ゼーゼマン氏にアルプスに行くよう勧められて来たのでした。山で過ごす間にクラッセン先生の気持ちは少しずつ癒されて、やがて穏やかな気持ちでフランクフルトへ戻っていきました。

秋が過ぎ、冬の足音が聞こえるころ、ハイジはおじいさんとデルフリ村に引っ越します。ハイジは学校へ通い、毎日熱心に勉強します。ときどき山へ戻り、ペーターのおばあさんに本を読んであげたりもしました。また、ハイジはペーターにも文字の読み方を教えます。ペーターも徐々に読めるようになり、ついに、おばあさんに本を読んであげられるようになります。

真冬のスイス、ツェルマット

クララがアルプスに来る

5月になり雪が解けると、ハイジとおじいさんは山小屋に戻りました。クララから「もうすぐスイスに行く」という手紙が届き、やがてクララがおばあさんと共にやってきます。

おじいさんやハイジがクララ中心の生活になり忙しくなると、ペーターと一緒に遊ぶ時間が少なくなりました。それに腹を立てたペーターは、ある日、ハイジの山小屋の外に置いてあったクララの車いすを谷底に突き落としてしまいます。車いすが無くなれば、クララはフランクフルトへ帰るだろうと思ったのです。

しかし、逆にクララにとっては車いすが無くなったことで、自力で歩かないといけない場面が多くなり、クララはハイジのように自由に走り回りたいと強く思うようになります。

クララが歩いた

四週間後、クララのおばあさんが山小屋を訪ねてきます。「車いすはどこにいったのだい」と戸惑うおばあさんでしたが、クララは「ほら、見て」と言うと、すっと立って歩きだしたのです。おばあさんは「おや、まあ!」と驚くと同時に、泣いて喜びます。やがてクララのお父さんもアルプスに到着し、クララに駆け寄り「本当にクララなのか?歩けるようになったのか?」と感激しました。

そこへ、ペーターもやってきます。びくびくして様子のおかしいペーターを不思議がるクララのおばあさんに、おじいさんはペーターが何をしたかを伝えます。おじいさんはペーターが犯人なのを知っていたのです。

すると、おばあさんはペーターに優しく「やった事は褒められる事ではなけれども、あなたのおかげでクララが歩く良いきっかけになったの、ありがとう」と感謝し、ペーターはホッとします。

しかし、ペーターにはもう一つ心配事がありました。クララ達に、このままハイジがフランクフルトへまた連れていかれてしまうのでは、と思っていたのです。それを知ったクララのおばあさんは、大笑いしながら、もうハイジを連れていくことはない、その代わりに毎夏私たちがここに来ます、と約束するのでした。

その後

クララのお父さんゼーゼマン氏は、ハイジのおじいさんに、なんとお礼をしたら良いかと尋ねます。おじいさんは、自分が死んだあとのハイジが何よりも心配だと伝えます。そこで、ゼーゼマン氏のとりなしでクラッセン先生がハイジの後見人となることが決まります。

やがて、クラッセン先生はデルフリ村に引っ越し、ハイジたちの山小屋で、おじいさんとハイジと3人で暮らすようになるのです。

スイスの牧草地

あらすじを簡単にまとめると…

簡単にまとめると、前半は、事情により祖父と慣れない山小屋の生活をすることになったハイジが、羊飼いのペーターやそのおばあさんとの交流をまじえながら山の生活に慣れていく過程が描かれます。

後半はアルプスの山の生活にようやく慣れたハイジが、フランクフルトの都会のお屋敷生活に適合できず、足の不自由な少女クララと友情を育みつつもふたたびアルプスに帰り、自然や動物とふれあいながら自分らしさを取り戻し成長していく物語です。

主な登場人物

「アルプスの少女ハイジ」の主な登場人物をいくつか紹介します。

  • ハイジ:主人公

  • 物語の主人公。幼くして両親を亡くし、母親の妹デーテに5歳まで育てられる。デーテがフランクフルトの住込みの仕事を得たためハイジを連れて行くことができず、山奥のアルプスに住む祖父に預けられる。自然や動物たちと触れ合い、心豊かに成長していく。
  • アルムのおじいさん:ハイジの祖父

  • 山奥のアルプスに住む老人。ハイジの父方の祖父。頑固で偏屈な性格であるが、ハイジとの交流を通じて心を開いていく。
  • ペーター:ハイジが山で出会った少年

  • 羊飼いで、ハイジと一緒に羊を見守るようになる。ハイジの祖父がハイジとの交流をよく思わない様子に悩んでいる。
  • クララ:ハイジがフランクフルトのお屋敷で出会った少女

  • 足が悪く車いすに乗っており、ハイジと親しくなる。
  • ロッテンマイヤー:ゼーゼンマン邸の使用人

  • 亡き母親に代わってクララの身の回りを指揮する女中。ハイジの教養が低いことでクララに悪影響があるのでは、とハイジに冷たく当たる。
  • セバスチャン:ゼーゼンマン邸の使用人

  • クララの実家、ゼーゼマン家のお屋敷で働く使用人。ハイジに冷たいロッテンマイヤー女史から守って、こっそり優しく接してくれる。ハイジが、フランクフルトからアルプスに帰るときは一緒に列車に乗ってついてきてくれる。

*  *  *

このほかにも、ハイジが住むアルプスの村には、村人たちや牧羊者たちが登場し、物語を彩っています。また、自然や動物たちも物語の重要な要素となっています。

舞台「マイエンフェルト」はどんなとこ?

では、お話の舞台となった「マイエンフェルト」とはどんな場所でしょう?

スイス東部の小さな村

「アルプスの少女ハイジ」の舞台は、スイスのマイエンフェルト近くの架空の「デルフリ村(小さな村)」です。マイエンフェルトは、スイス東部のオーストリアやリヒテンシュタインとの国境近く、グラウビュンデン州にある実在の町です。

マイエンフェルトは、山岳地帯に位置し、周囲を美しい自然に囲まれています。村には、木造の家屋が立ち並び、鮮やかな花々が咲き誇る風景が広がっています。また、山奥には、アルム(山小屋)があり、牧羊者たちが羊を飼育したり、牛が放牧されています。

原作小説には村の風習や習慣、食べ物などが細かく描かれています。ハイジはここでの生活を通して、自然や動物たちとの触れ合いや、人々との交流を深め、心豊かに成長していきます。

スイス、マインフェルト村

アルムの山はどこにある?

物語の中では、祖父とハイジが住む「アルム(山小屋という意味)」は、村から比較的近い場所にあり、山奥の静かな場所に位置すると記載されております。具体的な場所については明示されていませんが、マインフェルト近郊の村という設定です。

作者ヨハンナ・スピリは、息子の湯治治療のために、実際マインフェルト近郊の村イェニンスに長期滞在しており、そこでハイジの構想を練ったと言われています。それゆえ、イェニンス村、またはその近くローフェルス村が舞台と言われています。

現在、イェニンスやローフェルスには「ハイジの散歩道」「ハイジの家」などがあり、多くのお土産屋さんが立ち並びます。

「アルプスの少女ハイジ」を読むなら

ハイジの原作版を、ページ数の少ない順にご紹介します。訳者によっても、雰囲気が変わってきますので、いろいろな本を読み比べるのも面白いでしょう。

アルプスの少女ハイジ (徳間書店)

名作アニメが、絵本になりました。大型なのでお子さんと一緒に鮮やかな絵を楽しみにながらの読み聞かせに適しています。小学生中学年~。

アルプスの少女ハイジ (10歳までに読みたい世界名作)  (学研プラス)

漫画のような可愛いイラストと、分かりやすい図解や写真があり、ハイジの生活がとても分かりやすく書かれています。小学生の習う漢字が使われていますが、すべてにルビがふってあります。小学生低学年~。

アルプスの少女ハイジ (角川文庫)

挿絵もなく、文字も小さいうえに、漢字には時々ルビがふってある程度ですので、中学生以上がおすすめです。

アルプスの少女ハイジ (光文社古典新訳文庫)

漢字はありますが、すべてにルビがふってあります。原作と同じ挿絵が使われています。モノクロ印刷。和訳表現に難しいところがありますので、中学生以上におすすめ。

アニメと原作はここが違う(ネタバレ含む)

アニメ版と原作の違いを下記にまとめました。

アニメ版では、日本で作られたことや子ども向けであることから、宗教や戦争に関する部分はすべてカットされています。しかし、原作版では、キリスト教における礼拝や懺悔するシーン、戦争にまつわるおじいさんの過去など、さまざまな要素が絡み合っています。

原作には犬のヨーゼフは出てこない

アニメには、原作には登場しない「犬のヨーゼフ」がおじいさんの飼う犬として登場しています。

おじいさんの過去

アニメではほとんど触れられることのないおじいさんの過去ですが、原作では冒頭から暗い過去が詳しく語られ、過去に軍人をやっていて人を殺したことがあり、教会で懺悔するなど、宗教にもからんだ描写が書かれています。

ペーターの性格

アニメでは、年上の優しいお兄さん的存在でハイジとすごく仲良くしていますが、原作では粗野で乱暴、教養がなく、自分勝手に書かれています。ハイジと一緒にいるクララに嫉妬し、車いすを谷底に落とすなど暴力的なところもありますが、アニメではそういった部分はすべて削除または表現を変えて描写されています。

クララのお医者さん

アニメではほとんど存在感がないクララのお医者さん、クラッセン先生ですが、原作では、自分の死後のハイジを心配するおじいさんが、お医者さんをハイジの後見人として指名する、という重要なキーパーソンとなっています。

原作にない続編は・・・

原作には続編は存在しません。原作だとハイジはおじいさんとアルムの山で幸せに暮らしました、で終わり、アニメはクララが立てるようになり、迎えに来た両親と帰る場面で終わりますが

「それからのハイジ」
「ハイジのこどもたち」

が創作続編として存在します。これらは翻訳をしていたシャルル・トリッテンが続編を創作しました。

また作者のヨハンナ・スピリは、「ハイジの子供時代」や、「ハイジとアルムおじいさん」などの作品を発表しています。これらの作品は、続編というより前日譚や外伝に近い作品でハイジを中心とした物語世界を深め、背景や人物たちの過去を描くことで、物語の世界観をより充実させる役割を果たしています。

また、ハイジはシャルル・トリッテン以外にも、多くの映画化やテレビドラマ化がされており、さまざまな続きがあります。

ペーターが戦死!

原作ではなく、創作続編の一つに、ハイジが18歳の時、ペーターが徴兵されるお話があります。ハイジも山を下りて看護婦になることを決意します。クララを頼ってフランクフルトで猛勉強を始めますが、その時、おじいさんの訃報が届き、ハイジは泣き崩れます。しかし、悪いことは重なり、ペーターの部隊が全滅したと言う連絡も入ります。

ハイジとペーターは結婚する?

原作ではなく、創作続編の一つに、ハイジはおじいさんの死をきっかけに寄宿舎の学校へ通い、学校の先生として村へ戻り、その後、ペーターと結婚し幸せに暮らすお話があります。

ハイジが孤児院で酷使される

1990年の映画『Courage Mountain』(邦題:『チャーリー・シーンのアルプスを越えて』)では、14歳になったハイジは、アルプスを離れ、クララのおばあさんの遺産を一部継ぎ、イタリアの寄宿学校へ行きます。しかし、戦争が始まり寄宿学校は軍に接収され、生徒はみな家族に引き取られますが、孤児のハイジたち4人の女学生は残され、そのまま孤児院という名の工場で酷使されます。ハイジたちは脱走してアルプスへと向かうという、スピリの世界観とは全く違う、暗く辛い物語です。

アルプスの少女ハイジは、誰もが応援したくなるストーリー

ハイジは両親を亡くし、祖母を亡くしました。そして、唯一の頼りのはずの叔母には知らない土地へ連れて行かれ、初めて会う頑固で偏屈なおじいさんに預けられます。こんな過酷な環境でも、ハイジはめげることなく、持ち前の明るさで、徐々に暗い過去を背負ったおじいさんの重たい心の扉をも開き、みんなに愛されていきます。

そんなハイジを読者の誰もはきっと応援したくなるはず。お子さんのお誕生日プレゼントにも喜ばれる一冊でしょう。

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文/加藤敬子 構成/HugKum編集部

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