日本の最北端・最南端・最東端・最西端を確認。それぞれの「端っこ」の諸事情に注目【親子で学ぶ日本地理】

日本の国土というと、北海道・本州・四国・九州の四つをイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし実際には、日本はこの四つの島のほか、大小7,000近い島々で構成されています。東西南北の最先端がわかれば、その広さに驚くでしょう。

日本の最北端はどこ?

まず、北の端からスタートしましょう。日本の最北端といえる場所は、北方領土と無人島と北海道本土の三つの考え方があります。

北海道「択捉島」

日本政府が主張している日本領土の最北端は、北緯45度33分・東経148度45分に位置する、北海道の択捉島(えとろふとう)です。面積は約3,167平方kmで、本州・北海道・九州・四国以外では日本一大きい島です。

長さは約203km、幅は約6~30kmの細長い形をしていて、北方領土といわれる四つの島の中で最も北東にあります。択捉島を含む北方領土は、現在ロシアが実効支配を続けていますが、日本固有の領土です。

日本とロシアの間で1855年(安政2年)に結ばれた日魯通好条約(日露和親条約・下田条約)は、択捉島とウルップ島の間の国境を確認するものでした。

太平洋戦争中の1945年(昭和20年)になると、当時のソ連が日ソ中立条約を一方的に破り、北方四島を占領しました。その後、何度も返還交渉が行われるも、現在まで北方領土問題として解決には至っていません。

北方領土を除くと「弁天島」

北方領土を除いて日本最北端に位置するのは、北緯45度32分に位置する北海道稚内市(わっかないし)の無人島「弁天島(べんてんじま)」です。

宗谷岬が北方領土を除いたときの最北端と思われがちですが、実は弁天島のほうが宗谷岬より1kmほど北に浮かんでいるのです。島名は、七福神の1柱・弁財天が祀られていたことに由来します。

弁天島には冬から春にかけて、サハリンから南下してくるトドが上陸します。その数は多いときでは2,000頭ともいわれ、ロシアと北海道を季節移動するときの中継地となっているようです。

現在、弁天島へわたる交通機関はないので、一般人は上陸できません。

一般交通でアクセスできる「宗谷岬」もチェック

宗谷岬の先端の「日本最北端の地の碑」。あくまでも一般人が到達できる意味での最北端。

一般人が訪れることができる日本の最北端は、アイヌ語で「磯岩の岸」を意味する「ソーヤ」が名前の由来になった「宗谷岬(そうやみさき)」です。宗谷岬は、最北端の地を踏もうと多くの人が訪れる観光地です。

北緯45度31分の地点には、「日本最北端の地の碑」があります。他にも、最北端のガソリンスタンドや最北端のお土産屋さん、最北端の神社など、宗谷岬にはさまざまな「最北端」があります。運がよければ、海岸を埋めつくすほどの流氷を見られるでしょう。

そして、宗谷岬でぜひ見てほしいのが宗谷丘陵です。20~200mものモコモコした丸みを帯びた隆起が連なり、樹木でかたどったかのような美しい景観を楽しめます。2~1万年ほど前に起こった最後の氷河期「ウルム氷河期」に形成され、2004年には北海道遺産に指定されました。

宗谷丘陵

日本の最南端はどこ?

「最北端が北海道であれば、最南端は沖縄?」と思いがちですが、最南端は東京都に属する沖ノ鳥島(おきのとりしま)です。

東京都「沖ノ鳥島」

沖ノ鳥島は北緯20度25分・東経136度04分に位置し、東京都心から南に約1,700km離れた太平洋上の島です。

水没してしまわないように、周囲を護岸コンクリートで保護されています。満潮時に水没してしまうと島として認められなくなり、日本の排他的経済水域の範囲が変わってしまうからです。

沖ノ鳥島によって守られている排他的経済水域は、国土面積よりも広い約42万平方kmです。現在は護岸工事により、満潮時でも東小島と北小島が海面上に残っているため、日本の島であることを維持しています。

最南端は沖縄に属する島ではなく、東京都の沖ノ鳥島。

人が住んでいる島では「波照間島」

人が暮らしている地域に限定すると、沖縄県の波照間島(はてるまじま)が日本の最南端になります。

波照間島の南東に位置する高那崎(たかなざき)には、1972年(昭和47年)の沖縄返還を記念して「日本最南端の碑」が造られました。1kmほど続く断崖絶壁の迫力ある景観を見に、多くの観光客が高那崎を訪れます。

波照間島といえば、海と空が大人気の観光地です。日中は「波照間ブルー」と賞賛される透き通った美しい海を、夜は満天の星空を堪能できます。12~6月には、日本最南端の天文台「星空観測タワー」から南十字星の全体像を観測できます。

波照間島の「日本最南端の碑」。あくまでも、人が住んでいる土地としての最南端。

日本の最東端はどこ?

日本で最も早く一日が始まる、東の端はどこでしょうか。

東京都「南鳥島」

日本の最東端は、北緯24度17分・東経153度59分に位置する南鳥島(みなみとりしま)です。都心から南東へ約1,950km離れた、太平洋上のサンゴ礁でできた島です。

面積は約1.5平方kmで皇居とほぼ同じ広さです。防衛省や国土交通省の施設があり、気象観測などが行われていますが、一般人の立ち入りは禁止されています。

南鳥島も排他的経済水域を守るための重要な拠点です。南鳥島が存在することによって、約43万平方kmにおよぶ排他的経済水域が確保されています。

本土最東端は「納沙布岬」

北海道根室市の納沙布岬にある「本土最東端」の碑。

一般人が訪れることのできる最東端は、北海道の納沙布岬(のさっぷみさき)です。元旦には、日本で一番早く初日の出を見られるため、全国各地から観光客が訪れます。天気がよければ北方領土も見られます。

納沙布岬のシンボル的な存在として、納沙布岬灯台があります。1872年(明治5年)に初めて点灯され、約150年間にわたって海の安全を守ってきました。現在のコンクリート造りの建物は、1930年(昭和5年)に改築されたものです。

本土の東西南北の先端を訪れた人には、「日本本土四極踏破証明書」をそれぞれの地で交付しています。最東端の踏破証明書は、根室市役所の商工労働観光課や根室市観光協会などで受け取ることが可能です。

日本の最西端はどこ?

最後は西の端を見てみましょう。最西端だけは無人島ではなく、一般人が行ける島という点にも注目です。

沖縄県の「与那国島」

与那国島の最西端の碑。

日本の最西端は、沖縄県八重山諸島の与那国島(よなくにじま)です。北緯24度27分・東経122度56分に位置し、沖縄本島よりも台湾のほうが近くに位置しています。

島の最西端の西崎(いりざき)は高さ50m以上の断崖絶壁に囲まれており、日本で最後に沈む夕日が見られます。年に数回ほど、はるか彼方の台湾が見えるそうです。

与那国島は海底遺跡でも有名です。遺跡といっても巨大な一枚岩のことで、形状が壁や通路に見えることから「遺跡」と呼ばれています。いまだ全貌が把握されておらず、わかっているだけで約100×60×25mもの規模で岩が広がっています。

イメージとの違いを楽しんでみて

日本の東西南北の端は、西端の与那国島を除き、現在は北方領土や無人島で一般人は入れない地域です。一方、本土の東西南北の端は人気の観光地になっており、いつか行ってみたいと憧れている人も多いでしょう。

「リアルな端っこ」と「本土の端っこ」という、イメージの違いを楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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