JPIC読書アドバイザーの児玉ひろ美さんと編集部が、読み聞かせにおすすめな絵本を厳選ピックアップ!定番人気の絵本や、小学校低学年におすすめの絵本&読み聞かせのコツもご紹介。さらに、編集部が英語の絵本や無料アプリを紹介します。
絵が人気!読み聞かせにおすすめな絵本
【1】『がたん ごとん がたん ごとん』
安西水丸/作 福音館書店
◆こんな本
がたん ごとん がたん ごとん のせてくださーい リズミカルな文章に、身近なもの。ページを繰ると、汽車が前へ前へと、進んでいくようにも見えます。そんな楽しさが「もっかい読んで!」の声を集めているのは、イラストレーターの安西水丸さんによる『がたんごとんがたんごとん』。1987年の出版以来、汽車から電車に時代が変わっても、なぜか「がたんごとんがたんごとん」のフレーズは子どもたちを魅了し続けています。その実力は、多くの児童図書館員から「困ったときのお助け本です。読み終えるとすぐもう一回っていわれます」と称されるほど。
0歳、1歳、2歳
『0・1・2歳児の保育』2016年夏号
【2】『せかいのひとびと』
ピーター・スピアー/文・絵 松川真弓/訳 評論社
◆こんな本
子どもたちに紹介したあと、数年たってから尋ねられる絵本は、ほかにもいろいろありますが、なんといっても人気なのは『せかいのひとびと』です。この絵本は、私がかかわった子どもたちには、必ず一回は紹介するよう心がけてきた1冊でもあり、子どもたちは楽しみながら読んでくれました。でも、最後のこの文章を読むとき、子どもたちは、楽しい気持ちを身にまといながらも、真剣な表情になって聞いてくれます。 「だれもが 思っていることも 食べるものも 着るものも なんでも ぜんぶ 同じだったら 死ぬほど たいくつ。ほらね わたしたち みんながみんな それぞれ こんなに ちがっているって すてきでしょ?」こんなにも大切なことを、誰が聞いてもわかりやすく、声に出して読みやすい文章で、楽しいイラストを見ながら読めるなんて! 平和であることの幸せを感ぜずにはいられません。
◆対象年齢
0歳、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳
『edu』2015年11・12月号
【3】『ぴょーん』
まつおか たつひで/作・絵 ポプラ社
◆こんな本
かえるが「ぴょーん」と得意の垂直跳び。すると、ジャンプが得意ではなさそうな動物までも、次々と「ぴょーん」とやってみせる様子に思わず笑ってしまいます。ビッグブックにもなっている人気作品です。本の向きを90度変え、下からめくることで動きを表現します。ページをめくりながら次のページの擬声語を読むようにすると、より効果的になります。本は事前に開き癖をつけ、位置(特に高さ)をずらさないようにしっかり持って読みましょう。ビッグブックを使用する場合は、本が重いので持ち方に気をつけて練習をしてください
◆対象年齢
2歳、3歳、4歳、5歳、6歳
『0・1・2歳児の保育』2014年春号
【4】『たなばたさま きららきらら』
長野ヒデ子/作・絵 世界文化社
◆こんな本
日本の行事を伝えたいときに。七夕の準備はこの絵本で。おばあちゃんが女の子とねことたこと小坊主に、七夕飾りの作り方を教えてくれます。七夕の一日の過ごし方が、具体的に絵で描かれています。読み聞かせ終了後は、ぜひ七夕飾りを作りましょう。
◆対象年齢
0歳、1歳、2歳~
『edu』2015年5・6月号
小学校低学年への読み聞かせにおすすめな絵本
【1】『こころとしんぞう』
中川ひろたか/文 村上康成/絵 保育社
◆こんな本
明日は運動会、心臓がドキドキして眠れない。かけっこのことを考えてもドキドキ。心臓にはどんな働きがあるのかな? そこで博士が詳しく説明します。走った後のドキドキとは違うドキドキ、好きな女の子のドキドキは、なんだろうな? いろいろなドキドキを考えます。知識の絵本を読み聞かせるときは、理解させることよりも不思議や発見を楽しむことを意識して読むとよいでしょう。
◆対象年齢
4歳、5歳、6歳
『新幼児と保育』2015年4・5月号
【2】『ねむい ねむい ちいさなライオン』
マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 イーラ/写真 ふしみみさを/訳 徳間書店
◆こんな本
表紙を見て懐かしいと思われた方もいることでしょう。原著は1947年の超ロ ングセラー作品ですが、訳が新しくなったことで古臭さを感じさせません。子どもたちは小さなライオンの冒険にハラハ ラしながらも、すぐ眠くなるライ オンの表情に気持ちが寄り添います。場面の展開に振り回されないよう、ゆったりと読んでください。いつでもどこでも眠ってばかりの動物園の小さいライオン。ある日お母さんに、冒険に出かけると宣言して出発します。犬に出会っても人間の男の子に出会っても、すぐ眠ってしまいます。目をさましたら母ライオンが恋しくなって……。さあ、どうするのかな。
◆対象年齢
4歳、5歳、6歳
『新幼児と保育』2015年6・7月号
【3】『まゆとおに やまんばのむすめ まゆのおはなし』
富安陽子/文 降矢なな/絵 福音館書店
◆こんな本
「きたの おやまの てっぺんの さんぼんすぎのしたに、ちいさな いえがありました」で始まる「やまんばの むすめの まゆ」のお話。ある日、雑木林の奥で、まゆはとんでもなく大きな人に出会い、あいさつをします。その大きな人=おには空腹で、まゆを食べようと策を練りますが、礼儀正しく怪力の持ち主のまゆは、なんなく乗り越えて……。少し長めのお話です。最初と最後をゆっくり読めば、途中はメリハリのつく程度に多少アップテンポで読んでもOKです。ただし、まゆとおにの立場が逆転するきっかけの「しんせつな ひとには、いつも、れいぎただしくしなさい」という、お母さんの言葉は、はっきりと丁寧に読みましょう。
◆対象年齢
4歳、5歳、6歳
『新幼児と保育』2016年2・3月号
【4】『みんなともだち』
中川ひろたか/文 村上康成/絵 童心社
◆こんな本
同名の歌と、そのまま同じ内容の絵本です。そのまま、うたいながら読んでもよいのですが、できれば、静かにゆっくりと読んでください。子どもたちに視線を合わせ、話しかけるように読むといいでしょう。明るい色彩の絵を見ながら、子どもたちは言葉の意味をしっかりと感じ取ります。
◆対象年齢
4歳、5歳、6歳
『新幼児と保育』2017年2・3月号
【5】『このあいだに なにがあった?』
佐藤雅彦+ユーフラテス/作 福音館書店
◆こんな本
表紙からすでに楽しい写真絵本です。クイズ形式にして楽しめます。答えはさまざまな表現の仕方がありますので、子どもたちの言葉をしっかり聞き取りましょう。裏見 返し部分に簡潔な答えが出ていますので活用するとよいでしょう。オリジナルを作るなど、いろいろな遊びに発展できます。
◆対象年齢
4歳、5歳、6歳
『新幼児と保育』2018年6・7月号
教えてくれたのは
JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
英語での読み聞かせにおすすめ!レオ・レオニの絵本4選
【1】Little blue and little yellow(あおくんときいろちゃん)
日本語版でも非常に有名ですが、ちょっと抽象的で取っつきにくいかもしれません。しかし、一ページに一文くらいなので、英語で読んでみるにはもってこいの一冊です。
<あらすじ>
あおくんとパパとママと登場するのは、絵具で描いたいぶつな丸と長丸二つです。仲良しのきいろちゃんとくっついていると緑になってしまいますが、家に帰るとどちらの家でも「うちの子じゃないよ」と分かってもらえないのです。ようやく元に戻れたので、家に帰ると何が起こったかようやく理解してもらえました。
英語読み聞かせのポイント
色の名前や、here and there(そちらやこちら)、Play at Hide-and-Seek (かくれんぼをして遊ぶ)、Play in the park(公園で遊ぶ)、ran though the tunnel(トンネルを走って)など日常で良く使う表現が登場します。
登場人物は、手や足だけでなく、目や鼻もないのですが、不思議と生き生きと動きまわるのがとっても魅力的です。また、仲良しのきいろちゃんとくっついていると緑になってしまうのも、色を混ぜるとどうなるの?という発見を読者に贈られています。
【2】The color of his own(じぶんだけのいろ:いろいろさがしたカメレオンのはなし)
日本語のタイトルは、「じぶんだけのいろ」というタイトルですので、英語のタイトルの直訳ですね。この作品も一ページ一文程度で、非常に読みやすい作品です。
<あらすじ>
様々な生き物はそれぞれの色があるけれど、いる場所によって色が変わってしまうカメレオンは、自分の色を持てないことを嘆いていました。だけどあるとき、もう1ぴきのカメレオンに出会います。2ひきは共に暮らすことで悲しみを共有し、克服しようとします。一緒に緑になり、紫になり、黄色になり……一緒に変わり続けるという「じぶんのいろ」を見つけることが出来たようです。
英語読み聞かせのポイント
動物や色の名前の単語が沢山出てくるので、一緒に指さしながら楽しめる一冊です。簡単ながらも、親から贈りたいメッセージが詰まった作品です。
【3】Swimmy(スイミー:ちいさなかしこいさかなのはなし)
日本ではこの作品も一、二を争う代表作です。少し長文なので、最初に日本語で読んでみたり、読み比べが出来るように一冊に日本語と英語が併記されている絵本を手に取ると良いかもしれません。
<あらすじ>
小さな魚スイミーは、兄弟たちみんな真っ赤な魚の中一人だけ真っ黒な魚でした。大きな海で暮らしていたある日、大きなマグロに兄弟を食べられてしまい、泳ぎが得意だったスイミーだけがなんとか助かります。兄弟を失ったスイミーはさまざまな海の生き物たちに出会いながら放浪するうちに、岩の陰に隠れてマグロに怯えながら暮らす兄弟そっくりの赤い魚たちを見つけます。マグロが怖いからと岩陰から出てこない小魚たちに、スイミーは、マグロに食べられることなく自由に海を泳げるように、みんなで集まって大きな魚のふりをして泳ぐことを提案します。そしてスイミーは自分だけが黒い魚なので、自分が目になることを申し出たのでした。
英語読み聞かせのポイント
Tuna Fish(まぐろ)、Jelly Fish(くらげ)、Lobster(ロブスター)、Eel(うなぎ)など海の生き物が沢山登場するので、一緒に覚えると楽しいですね。
周囲の仲間と色が違うことに不安を感じるのではなく、自分の特性を生かす提案が出来るスイミーに共感する人が沢山いることでしょう。
【4】Matthew’s Dream(マシューのゆめ:えかきになったねずみのはなし)
ネズミのシリーズで、日本では「フレデリック:ちょっとかわったねずみのはなし」が有名ですが、LITTLE ARTISTS LEAGUEからはえかきになるおはなしのこの一冊を強くご紹介したいです。スイミー同様少し文章が長めなので、日本語でまず最初に読んでみるのが良いかもしれません。
<あらすじ>
貧しいねずみ夫婦にはマシューという息子がいました。貧しい夫婦は息子に、将来は医者になるだろうと期待をします。ある日、マシューは美術館へ行き、その晩マシューは夢を見ます。大きな素晴らしい絵の中を歩いている夢。目が覚めて自分のいる屋根裏部屋の侘しい光景にマシューは涙を浮かべますが、屋根裏部屋のガラクタが魔法のように形を変え、色が輝き始めます。そして、マシューは絵描きになると両親に宣言し、絵描きになります。一生懸命仕事をし、マシューは有名になり、世界中からねずみたちがマシューの絵を見に、買いにやってきます。そして、彼の描いた一番大きな絵は、いまでは美術館に飾られています。
通常えかきのような職業は、大半が収入を得ることが難しく両親の意向とは違っても貫く大切さを伝えてくれます。また、美術館へ行って、肖像画から抽象画まで様々な絵の種類があること見せてくれるのも、発見が多いですね。
英語読み聞かせのポイント
I want to be a painter! (ぼくは、絵描きになりたいんだ!)
Doctor(医者)など、職業が登場しますので、是非親子で、What do you want to be in the future? (将来なにになりたいの?)という会話を楽しんでみましょう!
また、別の作品で、「フレデリック:ちょっとかわったねずみのはなし」は詩人になりたかったネズミの話で、「おんがくねずみジェラルディン」は音楽家のネズミの話なので、併せて読んでみると、子どもの世界が広がりそうです。
英語読み聞かせ初心者は、レオ・レオニの名作を【バイリンガルママの英語で絵本】オススメVol.2
読み聞かせビギナーパパママは、無料アプリで昔ばなしを楽しもう!
昔ばなしを絵本で読み聞かせるのはもちろんおすすめですが、「なにを買ったらいいのか分からない」「子どもが気に入ってくれるのか不安…」「何冊も揃えるのが大変そう」といったお悩みも、聞こえてきそうですね。
そんな読み聞かせビギナーパパママには、アプリで楽しめる昔ばなしの読み聞かせもおすすめ! アプリ「おやこであそぼ!じゃじゃじゃじゃん」には、昔話にオリジナルのアニメーションをつけた「おはなし」がいっぱい。無料で楽しめるものもあるので、まずはお子さんと一緒に楽しんでみてください。
『かさじぞう』
『きたかぜとたいよう』
※本記事は、保育者向け専門誌の記事を、パパやママ向けに再構成したものです。
再構成/HugKum編集部