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「いい旦那さん」って何なんだろう? 言われるたびにモヤッとする
武智志穂さんのInstagramのこの投稿を見て、私は心を動かされた。頭がもげそうなくらい「わかる~」と頷いて、「同じ考えの人がいた」と嬉しい気持ちになった。
うちの夫はどこに行っても、誰に会っても決め打ちのように「本当にいい旦那さんだよね」と言われる。言われ過ぎて、もはや苦笑いしかできなくなっているのが現状。
「いい旦那さん」って何?
- 育児や家事を手伝ってくれる。
- たくさんお金を稼いでくれる。
- 子どもといっぱい遊んでくれる。
- 妻の話をよく聞いてくれる。
「いい旦那さん」の奥さんになって13年、私の思う「いい旦那さん」は、「自分の立場をわきまえてくれる旦那さん」だ。
例えば我が家のケースで言うと、シフト制の仕事ため、基本的に土日は不在なことが多く、平日は子どもが学校に行く時間に家を出て、寝る前後に帰宅する。学校行事は休みを取るが、あくまでも仕事>家庭。
夫が「いい旦那さん」と言われる理由
平日休みのため、園や学童、習い事の送り迎えはやる→みんなの声「うちの夫は送り迎えなんてしたことない」
土日は仕事で一日中家にいない。休みの日の送り迎えも「今行って!」とLINEしないと時間を覚えていない。
すれ違った人には基本全員に笑顔で挨拶→みんなの声「旦那さん、いつも笑顔で挨拶してくれるよ」
誰が知り合いで誰が知り合いじゃないか把握していない。「感じ悪い」と噂されるのも嫌だからとりあえずニコニコ。
夫の笑えない愚痴は人に話さない→みんなの声「そんなのかわいいもんだよ。うちの旦那なんて~」
オチのない愚痴は話さない(話しても意味がないと感じている)ので、「またお風呂で寝てた」「トマト缶をたのんだらケチャップ買ってきた」等の笑える愚痴しか話していない。
このあたりだろうか。今となっては子どもが小学2年生と6年生のため、送り迎えもほぼないようなものだが、園と学童のWお迎えのような時期だってあった。その時から今でも変わらない夫の家事と育児のスタンスは「できる時にやる」。
育児に「できる時にやる」が通用するのか?
掃除や洗濯は「できる時にやる」で全然OK。料理も作り置きや買い出しなんかは「できる時にやる」でも◎。でも、育児に関してはほぼほぼNG。
「できる時にやる」が通用しない育児
- 保育園に18時までに迎えに行く
- 17時から始まる習い事に送って行く
- 朝起きたら急な発熱で保育園を休む
- 学校から電話がきてケガをしたから迎えに来て欲しい
- 風呂に入って夕飯を食べて遅くても21時くらいには寝かせる
このあたりのことは「出来る時にやる」では片づけられない「今やる」案件。
ではどうするか?うちの場合は、言葉にはしないものの「お願いね」と華麗なスルーパスをかまされる。こちらが「今やる」案件をさばいている間も、それを知ってか知らずか自分時間(仕事含む)を過ごしている夫。そこにモヤモヤして、自分の中にモヤモヤポイントを貯めまくる。
帰宅した夫に「今日はごめんね、ありがとう」と言ってもらえれば、80点貯まっていたモヤモヤポイントは20点くらいまで急降下。しかし、帰って来るなり「疲れた~」なんて言われたら100点に急上昇。「まだこれやってないの?」なんて言われた日には、100点を優に通り越して1億点まで一気に急上昇し、沸点に達する。
そしてモヤモヤはイライラに姿を変え、私の態度や言葉となって放たれるのである。そんなこんなで1万回くらいの夫婦喧嘩(一方的に私が怒っていることを含む)を重ねてきた。
1カ月で10kg減!ダイエットよりカロリー消費が半端ない「夫婦喧嘩」
夫婦喧嘩のセオリー
- ①日常生活を送る中で相手に対しての“負”の感情がふと湧き上がる
- ②気付いてくれない、分かってくれない、聞いてくれないなどの「どうせ〇〇でしょ」という更なる“負”に陥る
- ③相手の放った言葉や態度がどうしても許せない(生理などホルモン事情も然り)
- ④①②の感情があふれ出す
- ⑤相手が自分に対して感じている①②があふれ出す
- ⑥「チン!」とゴングが打ち鳴らされ、試合開始
- ⑥は往々にして夜間の時間帯が多い。日中、別の場所で2試合も3試合も終えた後の〆の⑥は、肉体的にも精神的にもかなりこたえる。昭和55年生まれの私にとって、年齢的にもかなりのダメージを追うことになる。
そこで、ここまで書いたように自分が考えていることを冷静に、晩酌のつまみ感覚のウルトラライトなテンションで夫に話す。男性はビジネスライクに話を展開することで、理解してくれたりもするので、「ここがこうだから、こうなるでしょ?」みたいな原因と結果を明確にしたりもする。
もちろん、子どもが小さい時は寝かしつけながら寝落ちする日々だし、なんだかわからないイライラに支配されていたので、こんな建設的な話し合いをしようとも思えなかった。
子どもが成長し、介助がなくてもごはんを食べられるようになり、寝る時間になったら「おやすみ~」と寝室に行ってくれる今だからこそ、私はこういう話し合いをすることができる。
でも、考え方や時間の使い方によっては、寝落ちの日々の中でもこうできたのかもしれない。
お互いの立場をわきまえると夫婦関係は少しよくなる
夫の口からよく漏れ出る「仕事だから仕方がない」的な言葉。たしかに仕事だから仕方がないのかもしれないが、夫が「仕事だから~」と言っている間にも、お迎えに行かなくてはいけないし、誰かが仕事を休んで看病をしなくてはいけない。「仕事だから~」を免罪符のように使うのはよくない。
大事なのは、できなかったことに対して「ごめんね」の気持ち、やってくれた人にたいして「ありがとう」の気持ちを持つこと。そして、それを「相手に伝える」ことは何より大事なこと。気恥ずかしい部分もあるかもしれないけど、所詮、夫婦は他人。
なにか問題が起きた時、理想的なのは「一緒に解決する」こと。でも、それはなかなか難しく、だいたいが「解決した人」「解決してくれた人」になる。その時に「ごめんね」と「ありがとう」があれば、夫婦間に少し平和な風が流れる。実はとてもシンプルで簡単なことなんだと思う。
「いい旦那さん」を作り出しているのは「いい奥さん」かもしれない
私の夫は怒鳴ったり、キレたり、巻き舌でまくしたてたりはしないし、休みの日や出勤前は、掃除や洗濯もやってくれる。
でも、元々そうだったわけではない。「これやってもらえる?」「今日、こういうことがあって~」「明日これが必要だからお願い」など、最低限のことだけでも伝えてきた。直接ではなくメールでも、日々のコミュニケーションを取ることを諦めなかったことにも「いい旦那さん」呼ばれている原因があると思いたい。
もちろん、夫はベースとして温厚だし、暴力的なタイプではない。我が家の場合、家事や育児を日常的にやっている私と、「出来る時にやる」夫に見えているところは違う。だから、何も言わなければ気づかないのは当然。夫に知って欲しいこと、やって欲しいことは、伝えていかなくてはいけない。
もちろん、誰もがこの法則に合うとは思わないけど、ポジティブな意見もネガティブな意見も「相手に伝える」ということは、とても大事だと思う(伝え方には注意が必要)。何より、親である私たちにとって、人間関係の築き方は身をもって子どもにも伝えていきたいことでもある。
以前、性教育の本を作った時に監修の先生に「子どもにとって一番身近な性教育は、ママパパの仲の良さ」と言われたことがある。性教育の根底にも「相手を思いやる気持ち」が必須だし、そういう部分は言って聞かせるものではなく、姿を見せていけることが理想的。あくまでも理想ではあるけれど。
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文/本間綾