秋田県で「ぎばさ」と呼ばれる海藻は、伝統の郷土食として食べられてきました。近年、これまで食用とされなかった地域でもその価値が見直され、食用開発が広く進んでいるそうですよ。どんな食べ方をするのか、詳しくみていきます。
秋田のぎばさ
生命力の強さから、漁場での網や漁船のスクリューなどに絡みつくことがある、ぎばさ。地域によっては「邪魔モク」なんて呼ばれ方もされてきました。秘められた栄養成分が、昨今注目を集めています。
さまざまな名称
秋田県での呼び名は、昔から「ぎばさ」でしたが、山形県では「銀葉草(ぎんばそう)」、新潟県では「長藻(ながも)」と呼びます。他にも、富山県で「ながらも」、島根県は「はなたれ」と、食用にされる地域ごとに呼び名はさまざまです。正式名称は、「あかもく(赤藻屑)」です。
郷土食への注目
東北地方の沿岸部で好まれてきましたが、東日本大震災による被害から、漁船復興の一役を担い、最近ではスーパーや定食店、居酒屋などで広く扱われるようになりました。これまで食用としていなかった地域でも価値が見直され、食べる機会が増えています。
さらに、ぎばさを練り込んだ麺類の他、ふりかけやソーセージ、キャンディーのみならず、青汁やパウダー、サプリメントなどの健康食材としても活用が広がっています。
生で食べれば、ぬめりと歯ごたえが楽しめますが、パウダーにすると元の食材を邪魔せず、栄養素を取り入れられるメリットがあることから、近年は開発が加速しています。
効能
もずくや、めかぶと同様に、ポリフェノールや、フコキサンチン、ミネラル類、食物繊維を豊富に含み、低カロリーです。
フコキサンチンとは、赤褐色の天然色素で、抗肥満、抗糖尿病、抗ガン活性が期待されている栄養素です。水に溶けない脂溶性で、非常に貴重な栄養素です。
他の海藻と比べても超強力といえるネバネバは、水溶性食物繊維のフコイダンによるものです。その含有量は、わかめやもずくの数倍の量。腸の調子を整えたい方にはおすすめで、豊富なミネラルがダイエットの強い味方となってくれます。
旬の時期は
秋田県では冬から春に成長し、5月中下旬に収穫されますが、京都府北部では春、福岡県では2月が収穫時期とされます。フコイダンが豊富な期間がほんの2週間程度なので、この時期に合わせて各地で収穫が行われます。
ぎばさラーメン
ぎばさを練り込み、熟成乾燥させた麺を使ったラーメンがあります。これが、おいしいんです。
ぎばさラーメン 塩味 1人前
スープは秋田名産の比内地鶏と、しょっつる(魚のハタハタ)を使用しています。秋田の名産が凝縮された一品。
作ってみた!
脂を感じないあっさりした合わせスープが味わい深く、しょっつるの出汁が香る魚介系です。
なによりも特徴は麺の食感。ぎばさのトロトロ感をまとった麺が、一口目から口の中で転がります。見た目からはあまり感じませんが、インスタントでは、唯一無二の麺。
・作り方
【1】お鍋に550㏄の水を入れ、沸騰させます。麺を入れて4分間茹でてください。
途中で、麺を軽くほぐします。
【2】麺が茹で上がったら、火を止め、添付のスープを加えます。
器に盛り付け、お好みの具をのせていただきます。
チャーシューも合いますが、海苔やちくわなど、海のものをのせるのも、相性良し。
ぎばさのおいしい食べ方
収穫直後のぎばさは、赤褐色。その段階でも強い粘りをもちます。腐敗を防ぐためにすぐ茹でるため、鮮明な緑色のものが流通することが多いです。
ご家庭での食べ方をみていきましょう。
生ぎばさの下ごしらえ
産地の近くでは、生のぎばさが手に入ることもあります。
・下ごしらえ
よく水洗いしてから、真ん中にある固く長い茎を持ち、上から下まで指でしごくようにすると、可食部が採れます。
もう一度水洗いしてから、たっぷりの熱湯で数十秒ほどゆがきます。
これを水道水で冷やせば、めかぶのように食べることができます。
お味噌汁の具材
お出汁でサッと加熱して、味噌を加えれば簡単なお味噌汁が出来上がります。忙しい日々でも、食物繊維などの栄養は摂りたいものです。
ぎばさはグツグツ煮る必要はなく、器に盛り付ける直前に鍋に加え、軽く加熱するだけでOKです。
味付け
他の海藻類と同様に磯の香りがありますが、ぎばさ自体には味がありません。ポン酢などで味付けして、ネバネバとシャキシャキの食感を味わいます。
お豆腐と付け合わせても相性抜群。薬味はしょうが、ねぎ、みょうが、青しそなどお好きなものを。または、大根おろしやキムチなどで辛みを加えるのも。
ぎばさ納豆
最強のネバネバ食材、納豆と合わせて、ご飯と一緒に食べてみてください。ヘルシーで、お腹がいっぱいになりますよ。同じネバネバ素材のオクラやめかぶを合わせても、おいしいです。
お取り寄せ
通販でのお取り寄せと共に、お家での扱い方をみていきます。乾燥、冷凍、味付きの加工品があります。お好みを選んでくださいね。
乾燥ぎばさ
乾燥ぎばさは、水に浸して柔らかく戻してから熱湯をかけて洗います。強力な粘りが復活します。絞ってお召し上がりください。
冷凍ぎばさ(5袋セット)
ゆがいてから細かく刻まれた、冷凍食品です。解凍後は、そのまま食べることができます。
秋田 ぎばさ海苔 180g 佃煮
ピリッと辛い海苔の佃煮です。粘りが強く、扱いやすい特徴も。
未食の方はぜひお試しを
秋田県で食べられてきた郷土食ぎばさは、別名あかもくと呼ばれる海藻です。粘りが強く、栄養豊富な健康食なんですよ。ぎばさを練り込んだラーメンは、トロトロ感のある独特の食感です。お取り寄せで手軽に購入できるので、気になった方はぜひお試しください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)