「じゅんさい」のプルプルは貴重な天然ゼリー|高級食材の繊細な扱い方、食べ方、入手法ガイド

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透明でプルプルの膜をまとった植物、じゅんさいは、秋田県北西部の伝統野菜です。懐石料理の先付などにも使われる高級食材ですが、今では大変貴重になりました。その扱い方や、食べ方、また入手方法などについて、詳しくご覧ください。

じゅんさいは、ゼラチン質の粘質物は独特のぷるんとした食感で、天然の自然ゼリーとして味わうことができます。食べ方はあくまでシンプルですが、表面のプルプルを流さないよう、洗う際には気を配る必要があります。まずは基本的な酢の物への仕上げ方からみていきましょう。記事の後半では購入方法もご案内しますよ。

じゅんさいで作る人気レシピ

江戸時代の料理書には、洗ったじゅんさいに砂糖をかけたり、砂糖漬けにしたりする食べ方が記載されているそうです。現在では、酢の物やお吸い物にして食べることが多いじゅんさいのレシピをみていきます。

生のじゅんさいを酢の物に

じゅんさいの魅力は、プリッとした食感、シャキっとした歯触り、つるりとしたのど越しが挙げられます。生のじゅんさいを洗う際は、その繊細なぬめりを落としてしまわないよう、丁寧に扱うことが大切です。

・洗い方

【1】ザルの中にじゅんさいを入れ、ザルごと水を張ったボウルの中で洗います。ザルを少し揺らすようにして洗ってください。2~3回繰り返し、洗い水が澄んできれいになれば完了です。

この時、勢いよく混ぜてしまうと、せっかくの食感を損ないますから、注意してください。

【2】ザルにあげて、自然に水が落ちるのを待ちます。このまま、ポン酢の他、三杯酢、酢味噌などで食べることができます。

加熱するなら、サッと手早くすませることがポイントです。茹で方をみておきましょう。

・茹で方

【1】洗って水を落としたじゅんさいを、沸騰したお湯に入れてサッと茹でます。手早く進めることで、香りや食感を保つことができるので、沸騰したお湯の用意と同時に、あらかじめ氷水の用意もしてください。

こうして準備をしてから茹で始めると、食感を損ないません。

【2】沸騰したお湯に、じゅんさいが入ったザルごと浸けます。この時、しっかりとじゅんさいが浸かる量のお湯を用意しておくことが大切です。

【3】鮮やかな緑色に変わったらザルを引き上げ、すぐに氷水で冷やします。これも、ザルごとです。

これで、美しい色を保つことができます。茹で時間はじゅんさいの量にもよりますが、20秒~30秒ほどの長さです。

じゅんさいのお吸い物

出汁で茹でて、お吸い物に仕上げる工程をご覧ください。

・材料

(4人分)

じゅんさい 50g
しいたけ 2個
ねぎ 1本
出汁 800ml

【A】
酒 大さじ3
みりん 大さじ1
薄口醤油 大さじ1
塩 少々

・作り方

【1】しいたけは石づきをとって薄切りに、ネギは刻みます。

【2】鍋に出汁を入れて温めます。煮立ったら、しいたけと【A】を加えて味を整えます。

【3】水洗いしたじゅんさいをザルにあげて、水を落とします。【2】の鍋にネギと共に加えてください。鮮やかな色に変わったら火を止めます。器に盛り付けていただきます。

秋田のじゅんさい

スイレン科の多年草であるじゅんさいは、幼葉や葉柄を食用としますが、今では珍しい植物になりました。その不思議な生態をみてみましょう。

時期

じゅんさいは、夏になると葉の付け根から花柄を伸ばし、その先に花を咲かせます。水面で咲く花の色は、暗紅紫色です。

花、葉、若芽が寒天状の粘質物に包まれていて、これをひとつひとつ丁寧に手摘みで収穫し、食用とします。若芽を摘むと新しい若芽が再び生えてくるので、晩春から秋口まで収穫が続きます。

じゅんさいの成分の98%が、水分なんですよ。そのため、きれいな淡水でしか自生できず、絶滅危惧種として指定される地域もあります。

産地

秋田県三種町にある各助沼には、昔から自生しており、ヌナワ(沼縄)とも呼ばれました。「これを絶やしてはいけない」とのことから開墾整備が行われ、今では日本有数の産地となっています。

じゅんさいの花

一面、鮮やかな緑色の葉で覆われたじゅんさい沼に、小舟や盥(たらい)を浮かべ、これに乗って収穫する様子は、夏の風物詩のひとつに挙げられます。

現地では、手摘み作業の体験もできるそうですよ。また、「世界じゅんさい摘み取り選手権大会」が、毎年6月下旬または、7月上旬に開催されています。

じゅんさいは水底に枯れ葉などが堆積し、有機物がたまった酸性水質を好むことから、日本各地の沼や池でも自生しています。

昔は京都が本場とされましたが、水質の悪化や、環境の変化により激減し、現在は東北地方が主な産地です。

値段

国内産の生じゅんさい150g(総量)は、500円前後で流通します。水煮の瓶詰めは、300g(総量)×3本で15,000円を超えます。一方では海外産の水煮も手に入りますが、こちらは300g(総量)が1本1,000円程度です。国産は高価ですが、海外産になるとお手頃価格で手に入ります。

極小の若芽をひとつひとつ手で分別し、選び抜く手間暇は大変な作業ですが、口内で次々に押し寄せるプルプル感が抜群の食感です。料亭の懐石料理などで味わうと、その独特な食感にハッとさせられ、唯一無二の存在感を感じます。伝統食材として、後世に伝えていきたい植物のひとつです。

秋田では、じゅんさいをたっぷりと入れた「じゅんさい鍋」が、夏の鍋として親しまれています。鶏肉と相性がよいことからたっぷりと入れ、ごぼう、セリ、豆腐などを合わせます。

じゅんさいを茹でる時は、自分の食べる量だけを鍋に入れて、美しい緑色になったら引き上げます。ここでも、あまり火を通し過ぎないことが、おいしくいただくポイントです。

どこで買える?

秋田県では、多くの店舗、直売所などで生じゅんさいを購入できます。生は、収穫から1週間程度の賞味期限ですから、時期を逃さずにお買い求めください。一方、煮沸してアク抜きしたものが瓶詰めで市販され、こちらは通年入手可能です。

秋田森岳名産 じゅんさい 上級品 1袋150g 1本

国内生産量トップの、秋田県三種町森岳から産地直送です。アク抜き後、茹でたじゅんさいです。

【ふるさと納税】特選じゅんさい水煮瓶詰め 3本

こちらも三種町のふるさと納税対応商品です。国産の貴重な味わいをお楽しみください。

高級食材の食感を家庭でもぜひ

天然のゼリーを洗い流さないよう、丁寧に洗う方法をはじめ、じゅんさいをおいしくいただく方法をみてきました。貴重で高価な食材ですから、無駄が出ないよう扱いたいですね。味わう際には、一面に葉が広がる沼や手摘みの風景を思い浮かべながら味わうと、趣がありますね。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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