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焼いても!蒸しても!カラフル餃子~野菜パウダーが生み出した自然な色味
好みの野菜パウダーをプラスして、色鮮やかな餃子に。つるんとした口当たりは、蒸し餃子ならでは。焼き餃子にしてもおいしい!
カラフルな色の秘密は国産野菜100%の「野菜パウダー」
このカラフルな色のもとになっているのは野菜パウダー。使用しているのは、国産野菜100%の野菜パウダー(紫芋、にんじん、ほうれんそう)です。粒子が細かいので料理に混ぜて使ってもなじみやすく、舌触りもなめらか。加える分量によって、生地の色の濃淡を調節できます。野菜の栄養もプラスできるのも嬉しいですね。離乳食にも使えます。
米粉だけでは難しかった餃子の皮の「弾力」と「伸び」。プラスアルファの材料でクリア!
梅子さんにとっても「難題だった」というのが、うどんや餃子。これらは、小麦粉の特性を利用した、もっちりした独特の食感が命のため、レシピを完成させるまでにはかなりの工夫があったそうです。
米粉はグルテンを含まないことによる、さまざまなメリットがありますが、ひとつだけデメリットがあります。それは、「グルテンがないため生地のつながりが弱く、のびにくい」という点です。例えばうどんを作ろうとするとプチプチと切れてしまいますし、餃子の皮も、生地が切れやすいため、薄く丸く「伸ばす」ことできませんでした。
そこで、梅子さんは米粉にほかの粉を加えて、「伸びる」生地作りを研究。たどり着いたのが、「サイリウム」と「タピオカ粉」を加えたレシピです。
つなぎの役目を果たす「サイリウム」とは?
サイリウムとは、オオバコ属のプランタゴ・オバタ(英名がサイリウム)という植物の種子の外皮を粉末にしたもの。水に溶かすとゼリー状になり、米の粒子をつなげて伸びやすく、切れにくくしてくれるという、「つなぎ」の役割を果たします。
サイリウムを加えることで、米粉の生地が伸ばしやすくなります。サイリウムは、食物繊維が豊富なスーパーフードなので、腸活やダイエットを目的に、飲み物に混ぜてとる人もいるくらい、ヘルシーで安全な食材です(食物繊維が豊富なので、一度に大量にとるとお腹が緩くなることがあるので注意)。
タピオカが生み出した「もっちり感」
また、米粉は、水分を加えるともちもちとした食感になりますが、同時に「歯切れが良い」というのも特徴です。
そこで、もう少し弾力のある「もっちり感」を出すために「タピオカ粉」をプラス。タピオカ粉は台湾の飲み物「タピオカ」の原料で、キャッサバという芋の根茎から採取したでんぷんの粉です。米粉にタピオカ粉をプラスすることで、弾力のあるもっちり食感が生まれます。米粉のおいしさを保ちつつ、グルテンフリーでも、小麦粉製品と同様の形状・食感を出すことができます。
材料
餃子の具(16個分)
A 豚ひき肉 … 100g
A 塩 … 1g
A こしょう … 少々
A しょうがのすりおろし … 5g
A にんにくのすりおろし … 5g
A しょうゆ … 小さじ1
A オイスターソース … 小さじ1
A ごま油 … 小さじ2
キャベツのみじん切り … 80g
ニラのみじん切り … 20g
餃子の皮
B 米粉 … 80g
B タピオカ粉(または片栗粉) … 20g
B サイリウム*本文参照 … 2g
B 塩 … 少々
B 好みの野菜パウダー(紫芋、にんじん、ほうれんそう)… 2g
熱湯 … 88g
米油 … 適量
熱湯 … 100〜150ml
仕上げのごま油 … 大さじ1
道具
あれば直径78mmの丸い抜き型
作り方
①具を作る。ボウルにAを入れてよく混ぜる。粘りが出てきたら、キャベツとニラを加えて混ぜる。
②皮を作る。別のボウルにBを入れ、泡立て器でよく混ぜる。熱湯を加えてゴムべらで混ぜ、手で触れる温度になったら手でこねてひとまとめにする。
③②を12等分する(皮は最終的に16枚できる)。台に米粉(分量外)適量をふり、めん棒で大きめの円形にのばし、型で丸く抜く。余った生地を集めて同様にする。
*型がない場合は生地を16等分し、直径8cmくらいの円形にする。生地が温かいうちに手早く行う。
④具を16等分して皮にのせ、折りたたんでふちを指でしっかり閉じる。
*皮が台にくっついている場合は、カードで取るとよい。包む直前に、軽くめん棒で皮をのばすと包みやすい。
⑤蒸し器に水を入れて沸騰させ、蒸気が出たら火を止める。蒸し器に餃子を並べ、ふたをして7~8分強火で蒸す。
販売されているほとんどの米粉が安心の国産です。栄養バランスもバッチリ
米粉は、良質なタンパク質や糖質、ミネラル、食物繊維など、体に必要な栄養素がバランスよく含まれている優等生です。また、アミノ酸スコア(食べ物に含まれるタンパク質の量と必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを評価する指標で、100に近いほど理想的)も、小麦の41に対して、米は65※となっています。※ 農林水産省「米粉をめぐる状況について(令和5年1月)」より
また、約9割を外国から輸入している小麦粉に対し、米粉のほとんどが国産米から作られているというのも、うれしいポイントです。
グルテンを控えたいから…と諦めていた料理も、ときには、米粉を使ったレシピで存分に楽しんでみるのもいいですね。
この記事のレシピで使用している米粉
新潟県産の米を使った超微粒子の「米の粉」です。小麦粉よりも細かい超微粒子の粉なので、ダマになりにくく、きめの細かい生地に仕上がるのが特徴です。なめらかな口溶け、ふんわりと仕上げたいケーキ生地に最適です。 280gとお徳用の1㎏があります。
米粉初心者でもおいしく作れるレシピ本が発売中
『スイーツも料理も。グルテンフリーでおいしいを叶える 米粉のレシピ帖』
梅子さんが運営する、米粉レシピサイト「米粉のレシピ帖」が本になりました。梅子さんが追及した、作りやすくて米粉のおいしさを最大限にひきだしたレシピが満載です。この1冊でドーナツ、シフォンケーキ、シュークリーム、バースディケーキなどの絶品スイーツから、餃子、唐揚げ、パンケーキ、シチュー、ピザなどの食事メニューまで。どれも梅子さんの「米粉愛」が詰まったレシピ。米粉を使うのは「はじめて」という人も、失敗なしで、おいしくい作れるよう、親切丁寧なアドバイスも充実しています。
教えてくれたのは
梅子さん|管理栄養士・お米と米粉料理研究家
大好きだった小麦を食べるのをやめてから、長年苦しんでいた原因不明の体調不良がなくなるという経験から、その魅力に気付き、お米と米粉が大好きに。やがて、グルテンフリーの米粉レシピを考えるようになり、2018年から自作のWebサイト「米粉のレシピ帖」でレシピを発信開始。 ご主人と2人のお子さん(小学校3年生の男の子と年少の女の子)の4人家族。
「米粉のレシピ帖」でレシピや情報を発信していくことで、自分の子供たちや家族や友人にだけでなく、もっともっと多くの方々にお米(米粉)の魅力を知ってもらったり、米粉を使ってみようと思うきっかけを作ったりできるというのが何よりうれしいこと。今後は、お米の消費量を少しでも増やして、日本の食料自給率を増やしていく活動も行うのが目標。 Webサイト「米粉のレシピ帖」、YouTube「米粉のレシピ帖チャンネル」では、新作レシピも続々アップ。最新刊に『スイーツも料理も。グルテンフリーでおいしいを叶える 米粉のレシピ帖』(KADOKAWA)がある。
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取材・構成/瀬戸由美子