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心室中隔欠損症とは何か
心室中隔欠損症は、心臓の心室の真ん中のところに穴が空いているために、血液が漏れている病気です。さまざまある先天性心疾患の中で一番多い心疾患が、心室中隔欠損症です。
穴が空いていると、血液が上手く全身に送れないので疲れやすく、ミルクの飲みが悪くなります。そのため、体重がなかなか増えないというのもこの病気の大きな特徴です。
穴の大きさによって症状や治療法は大きく異なりますが、1〜3mmほどの小さなものであれば、生活に制限はなく自然に穴が閉鎖するのを待ちます。しかし、穴が大きい場合は手術をして治療をします。
出典:メディカ出版「こどもの心臓病と手術」
娘の穴の大きさは3ミリ。1か月検診で心室中隔欠損症と診断される
ここからは昨年12月に誕生した筆者の娘が実際に診断された「心室中隔欠損症」の発覚から治療についての体験談をお話します。
よく眠り起こしてもなかなか起きず、周りから「穏やかな性格」と言われたわが子
昨年12月に生まれた娘は、新生児のときから授乳時間に起こしてもなかなか起きてくれない子でした。あまりに起きてくれないので、心配になり助産師さんに尋ねると「穏やかな性格ですね」と言われるだけでした。
退院後もやはり午前中はずっと寝ていて、午後もほぼ寝ている生活。授乳をすると多少の吐き戻しはあるものの体重は増えていたので、このときは助産師さんの言う通り穏やかな性格なのかなと思っていました。
沐浴後、娘の手足が紫色に
ところがある日、沐浴後の娘の手足が紫になっていることに気づきます。「きっと寒いからだよね、赤ちゃんって体温調節が苦手だからね……」と自分で自分に言い聞かせてみましたが、次の日もまた次の日も沐浴後は手足が紫になっていました。
そのまま2週間が経ち1ヶ月健診の時に、医師から「心臓の音に雑音があります、大きな病院で見てもらいましょう」と言われてしまったのです。
紹介状を持って大学病院へ行くと、心臓にエコーを当てて診てもらい「お母さん、娘さんの心臓に3mmの小さな穴が空いていました。心室中隔欠損症ですね。」と言われてしまいました。
このとき初めて娘が病気であることを知り、大変なショックを受けたことを覚えています。
続けて医師からは「でも、今その穴を閉じようと頑張っているところなので、経過を観察していきましょう」ということでした。
まさか自分の子の心臓に穴が空いているとは思わず、正直驚いてしまいました。と、同時に閉じようとしていると聞き、少しホッとしたのを覚えています。
病気の発覚後に気を付けていたこと
心疾患は、RSウイルスに感染すると重症化しやすいため、RSウイルスの予防接種(シナジス注射)を打ったほうがいいことを医師から教えてもらいました。RSウイルスとは、咳の症状が酷く出るウイルスのことで、シナジス注射を保険適用で接種できるのは先天性心疾患などの特定の条件がある人だそうです。
医師からは風邪をひかせないようにと言われたので、当分の間は極力外出を避け、買い物は夫に任せたりネットスーパーを利用したりして、風邪を外からもらってきそうな上の子達には、できるだけ風邪をひかせないように、手洗いの徹底や部屋を乾燥させないように加湿器をつけて予防を続けました。
病気に向き合う日々
医師には「心室中隔欠損症とは、心臓の音に雑音が混じっていると指摘を受けてから、だいたい1ヶ月健診までに発覚することが多く、2歳までに穴が自然に塞がる確率が高いと言われている病気」と聞きました。
わが家の娘が心室中隔欠損症と診断されてからは毎月1回のペースで通院し、そのたびにシナジス注射を打ちました。その間も夫婦の悩みが尽きることはなく、ネットで病気について調べては一喜一憂し、精神的にも切羽詰まった日々を送っていました。
そこでできるだけ信頼のできる情報で不安を解消していけるよう、夫婦で疑問に思っていることを話し合い、それをまとめて次の通院できちんと医師に聞けるよう準備をし、その場で答えてもらうということを繰り返していきました。
心臓の穴は1ミリに。毎月の通院から間隔をあけての通院に変わりほっと一安心
発覚してから3か月、医師から「もう心雑音はなくなりました。現在の穴の大きさは1mmくらい。これからは通院の間隔をあけましょう」と言われました。
たしかに、以前のようにずっと寝ているようなこともなくなり、ミルクもゴクゴクとたくさん飲めるようになり、入浴後に手足が紫色になることもなくなりました。
今、娘は生後5ヶ月になり、先日ついに穴が自然閉鎖したと伝えられ、通院は終わりました。
「心室中隔欠損症」のお子さんを持つパパママに筆者が伝えたいこと
病院で心雑音と言われ不安を感じている親御さんに筆者から伝えたいことがあります。それは、SNSの情報が全てではないということです。穴が小さければわが家のケースのように早めに塞がる場合もありますが、SNSで検索をすると「自然閉鎖に時間がかかった」「手術をした」などとさらに不安になるような情報も溢れています。
心室中隔欠損症は必ずしも自然閉鎖がゴールではないかもしれません。医師によると小さな穴と共に生きている人もいるようです。ですが必要以上の不安にとらわれすぎず、気になることは信頼のできる主治医にどんなことでも質問し、一つ一つ解消しながら病気に向き合っていくことが大切でしょう。
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文/安齋美咲