「血小板」が出血したときに血を止める! 血液の中の守護神の働きとは?【親子で人体を学ぶ】

血小板とは、赤血球や白血球などと一緒に、血液の中に含まれる成分。傷ついた部分の出血を止める役割があります。そんな血小板にはほかにどんな働きがあるでしょうか? 血小板はどうやって作られて、いつ寿命を迎えるのか、血液の不思議に迫ります。

血小板って何?その特別な存在

私たちがケガをすると、血が流れます。そのとき血が流れ続けていては、からだにある血液がいつか不足してしまいますよね。でも傷ができて血が流れても、しばらくするとその傷が治っていきます。そのときに活躍しているのが、血小板の存在です。

血小板とは

血小板(けっしょうばん)とは、血液に含まれている成分のひとつ。

血液は、細胞成分と液体成分からできていて、細胞成分は、赤血球と白血球など、液体成分は血漿(けっしょう)と呼ばれるものです。そして血小板は、細胞成分のひとつとして存在しています。

  • 細胞成分:赤血球、白血球、血小板
  • 液体成分:血漿

赤血球は、名前のとおり赤い血球で、ヘモグロビンという赤い色素を持っていて酸素を運びます。白血球は、からだに侵入した細菌やウイルスなどから守る働きを持っています。そして、血漿は栄養をからだ中に運び、老廃物を持って帰る働きがあるのです。血小板が血液全体に占める割合は、1%にも満たないほどです。

血小板の形とサイズ

血小板は細胞核を持たない細胞で、円盤のような形をしています。血小板の大きさは、直径1~3マイクロメートル。1マイクロメートルは、1ミリの1000分の1ですから、血小板がとても小さな存在であるとわかるでしょう。

ちなみに、赤血球の大きさは直径7~8マイクロメートル、白血球は直径10~15マイクロメートルなので、血小板は赤血球の3分の1、白血球の5分の1ほどと小さめです。

  • 血小板:直径1~3マイクロメートル
  • 赤血球:直径7~8マイクロメートル
  • 白血球:直径10~15マイクロメートル

体内での血小板の数

血小板は、1マイクロリットルの血液に15~45万個も存在します。女性は月経周期によって血小板の数が変化し、妊娠や出産でも変化します。

人のからだの中を流れる血液は、体重のおよそ8%と言われていて、体重1kgにつき80mlほど。つまり、体重50㎏の人なら4L近くの血液が流れていることになります。そして、その中に含まれる血小板の数は、果てしないほどの数になるのです。

血液検査でわかる

私たちがふだん受ける健康診断の血液検査。そこで、血小板の数も測定されています。

もし血小板の数が多いなら、鉄欠乏性貧血や慢性骨髄性白血病、血小板の数が少ないなら白血病、肝硬変などの病気が疑われることになります。赤血球数、白血球数などとあわせて、ぜひ注目してみるといいでしょう。

血液検査からは、健康状態に関するさまざまなことがわかる

血小板の主な役割:出血を止めるミッション

血小板にはどんな働きがあるのか、見てみましょう。

傷口での緊急対応:止血の仕組み

血小板の大きな役割は、出血を止めること。傷ができると血管の一部が破れて、そこから血液が流れて出血します。でも、しばらくすると血が自然とかたまります。このように血をかためて出血を止めるのが血小板の仕事です。

もし血小板のような機能がないと、傷ができて血が出てもずっと血が流れ続けてしまいます。血小板が適度にあることで、自然と止血できる仕組みになっているのです。

ただ、血小板が少ないと血がかたまりにくく、逆に血小板が多すぎると血管で血液のかたまりができてしまい脳梗塞のような障がいを引き起こすことにもなってしまいます。

凝固カスケード:血小板と共演する因子たち

ふだん、血液は血管の中を流れて、酸素や栄養分などをからだ中に運んでいきます。血管のなかで血液がかたまってしまっては、血液が流れないことになってしまいます。しかし、血管が破れて出血すると、血を止めなければなりません。

血小板による一次止血に引き続き、血液中の凝固因子であるタンパク質が働き、フィブリンの膜が血小板を上から固めて、二次止血(フィブリン血栓)が完了。血管が修復されると破れをおおっていた血栓を溶け流して除去する(繊維素溶解)

まず、出血すると血小板が活性化され、傷ついた部分に血小板が集まります。これを「血小板粘着」または「一次止血」と呼びます。

また、血漿のなかにある「フィブリノゲン」という物質が、繊維のようなフィブリンに変化。このフィブリンが血小板に絡みついていき血栓ができあがるのです。これを「血小板凝集」といいます。

血小板の生産と寿命:どこで生まれ、どこで終わる?

私たちのからだの中に驚くほどたくさんの数が存在する血小板。その血小板は、どこで生まれているのでしょうか?

骨髄:血小板の誕生地

血小板が作られている場所は「骨髄(こつずい)」です。骨髄は、骨の中心部にあるスポンジのようなやわらかい部位。

骨髄には「造血幹細胞」と呼ばれる細胞が豊富にあり、その名の通り、血を作る細胞です。この造血幹細胞が細胞分裂を起こして、血小板、赤血球、白血球になっていくのです。骨髄で作られている血小板は1日に約1000億個ともいわれており、膨大な数の血小板が毎日作り続けられているのです。

血小板の寿命と「老後」の行先

血小板には寿命があり、作られてから10日ほどで役割を終えます。赤血球の寿命は120日、白血球は数日ほどと、それぞれで寿命が違います。

血小板は寿命を迎えると、主に脾臓(ひぞう)で破壊されます。赤血球や白血球も同じように、脾臓で破壊されていきます。また、一部は血中などでも破壊されます。

血小板は、このように日々新しいものが生まれて、古くなったものは破壊されているのです。

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血小板の健康を維持するために

血小板が少なくなると、自然に鼻血が出やすくなったり、軽くぶつけただけで皮下出血を起こしてあざができたりします。では、血小板を健康に維持するためには、どんなことに気を付けていけばいいでしょうか?

必要な栄養素:ビタミンKや鉄分

血小板や止血のときに鍵となるのが、ビタミンKです。ビタミンKは「止血のビタミン」と呼ばれるように、血液凝固を助ける働きがあります。

ビタミンKを多く含む食品は、ブロッコリー、モロヘイヤ、ホウレンソウなどの緑葉野菜のほか、納豆、わかめ、海藻など。ビタミンKは脂溶性で熱にも強いため、油で炒めた料理で摂取するのがおすすめです。

また血液には鉄分も大切。鉄分が不足しないように、レバー、大豆食品、緑黄色野菜、海藻などもぜひ積極的にとるといいでしょう。

血小板数の変動:増えたり減ったりする原因

血小板の数はいつも一定というわけではなく、多くなったり少なくなったり変動します。とくに女性の場合は、月経周期にあわせて血小板の数が変わります。これは生理によって、出血して鉄分も不足しやすくなることが原因。鉄が欠乏すると、血小板が増加することが起こります。

健康的な生活と血小板の関係

そしてやっぱり大切なのが、健康的な生活を送ること。ジャンクフードを避けて栄養バランスのとれた食事をとり、適度な運動も行って、質のいい睡眠をしっかりとれていれば、血液がサラサラになってからだのあらゆるところも健康的になれるもの。血液も理想的な状態になっていくと期待できます。

血小板は傷を治してくれる大切な存在

血小板という名前は耳にしたことがあっても、何をするものなのか知っている方は少ないかもしれません。でもこの記事を読んで、血小板の大切な働きを理解していただけたのではないでしょうか。

ふだん血が出ても、しばらくすると血がかたまってかさぶたができるのは、血小板という小さな存在のおかげだったんですね。毎日のように骨髄で大量に作られている血小板。そんな存在に感謝して、健康的な血をキープできるようにしましょう。

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