どの位の数字を見て四捨五入していいか分からなくなる
四捨五入の学習で、子どもがつまづくのは、大きく分けて次の2つです。
①どの数字を見て四捨五入していいのか、分からなくなる
②「切り上げ」ていいのか、「切り捨て」ていいのか、分からなくなる
①どの数字を見て四捨五入していいのか、分からなくなる
四捨五入の問題には「千の位で四捨五入して概数にしなさい」「千の位までの概数にしなさい」などの問題がよく出ます。
「千の位で」と書いてあれば、素直に千の位の数字を見て四捨五入します。
「千の位まで四捨五入」などと書かれていると、子どもは「千の位の数字」を見て四捨五入していのか、「百の位の数字」を見て四捨五入すればいいのか、分からなくなります。
「千の位まで四捨五入」とあれば、一つ下の位、百の位の数字に注目して四捨五入しないといけませんが、千の位で四捨五入してしまう子も出てきてしまうのです。
②「切り上げ」ていいのか、「切り捨て」ていいのか、分からなくなる
どの数字を見て四捨五入すればいいのかは分かっても、そのあと、どうすればいいのかで、つまづく子どももいます。
四捨五入では、四捨五入する数字が「5・6・7・8・9」であれば、切り上げ、「0・1・2・3・4」であれば、切り下げます。
「切り上げ」とは、ある数字の一つ上の位に「1」を足して、それ以下の数字を全部「0」にすることです。「切り下げ」とは、一つ上の位の数字はそのままで、それ以下を全部「0」にすることです。
以下に「例」をあげます。
「切り上げる」場合
◆四捨五入する位の数字が「5・6・7・8・9」の場合
1234567
「5」で四捨五入するときは、「5」の位の一つ上の位の「4」に「1」を足して「5」にする。
答え 1235000 となる。
「切り下げる」場合
◆四捨五入する位の数字が「0・1・2・3・4」の場合
1234567
「4」で四捨五入するときは、「4」の位の一つ上の位「3」はそのまま「3」にしておく。
答え 1230000 となる。
子どもに覚えさせるときには、「4より下の数字は、そのまま」「5より上の数字は、(左どなりの数字が)一つ上がる」と教えてもいいでしょう。
よくある「四捨五入」の学習での問題例
子どもたちは、どの数字に注目して四捨五入すれば良いのかでつまづきます。ここでは、どの数字に目をつければいいのいか、分かりやすくなる方法を中心に紹介します。
実際に「四捨五入」の学習で出る問題例を出しながら、解き方をお伝えします。
①「837645」を十の位で、四捨五入して概数にしましょう。
②「89764」を一万の位までの概数にしましょう。
「四捨五入」の問題は、「で」「まで」を書き込んで解く
例題の問題を解くときには、次のことを最初におさえておきます。
【「で」「まで」の書き込み方】
①「で」とあるとき
問題に「〇の位で四捨五入する」と書かれていたら、その位の数字の上に「で」を書いて、その数字を□で囲む。
(1)十の位で
(2)百の位で
②「まで」とあるとき
問題に「〇の位まで四捨五入する」と書かれていたら、その位の数字の上に「まで」を書き、一つ下の位の数字を□で囲む。
(1)千の位まで
(2)万の位まで
□で囲むのはその数字を見て、「切り上げ」るか「切り下げ」るか、判断するためです。
□の中の数字を見たあと、どうすればよいか、例題を解きながら説明します。
例題を「で」「まで」を書き込んで解いてみる
先ほどの2問を「で」「まで」を数字の上に書いて、解いてみましょう。
「837645」を十の位で、四捨五入して概数にしましょう。
- ①十の位の数字「4」の上に「で」と書かせます。
②「4」を□で囲ませます。
③ □の中の数字に注目させます。
・□の中の数字は「4」です。「4」以下は、切り捨てとなることに気付かせます。
・切り下げなので、一つ上の百の位の「6」は、そのまま「6」とすることを教えます。
・「4」以下の位の数字を全部「0」にすることも伝えます。
・「837」も、そのままにしておくと伝えます。
「89764」を一万の位までの概数にしましょう。
①一万の位の数字「8」の上に「まで」と書かせます。
- ②一万の位の一つ下の位の数字「9」を□で囲ませます。
③ □の中の数字に注目させます。
・□の中の数字は「9」です。切り上げとなることに気付かせます。
・切り上げるので、一つ上の万の位の「8」に「1」を足して「9」となることを教えます。
・千の位以下の位の数字を全部「0」にすることを教えます。
お家の人から子どもへのアドバイスのポイント
今まで書いてきた方法を先輩教師から教えてもらうまで、子どもに四捨五入の仕方を理解させるのは難しかったです。テストでも良い結果は得られませんでした。
「で」「まで」を書き込ませる方法を知ってからは、教えるのも楽になりました。子どもたちも、授業中に四捨五入の問題を黒板に書いて皆にやり方を説明できるまでになりました。
子どもに教えるときのポイントは、以下の5つです。
①「で」と書いたときは、その数字を□で囲ませること
②「まで」と書いたときは、「まで」の一つ下の数字を□で囲ませること
③□で囲んだ数字に注目して、四捨五入すること
④5以上は「切り上げる」こと(一つ上の位の数字に「1」を足す)
⑤4以下は「切り下げる」こと(一つ上の位の数字は、そのままにする)
この5つを教えて、あとは例題で行ったように問題を解かせていきましょう。いくつか問題を解いているうちに、四捨五入ができるようになるでしょう。
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文・構成/須貝 誠(すがいまこと)
塾国語科講師。教育・旅行ライター。現代ビジネス・マネー、コエテコサイト・ソクラテスのたまご、子ども学びラボに執筆あり。著者に「若手教師の働き方」(東洋館出版)がある。教育以外では年間100公演観劇したこともある劇団四季鑑賞マニア。斎藤一人の愛弟子でもある。